まだ唇の奥に残る、ほの苦い残滓。
遥は、布団の上で小さく丸まりながら、震える指先でそれを拭った。
奉仕したはずなのに――
終わったはずなのに――
目の前の男の目は、まだ終わりを告げていなかった。
「よくやったな、遥」
ひろしの声は、ねっとりと絡みつくような甘さを帯びていた。
その言葉が、褒め言葉なのか、次への合図なのか――遥にはもう、判断がつかない。
「さて、今度は……おまえに選ばせてやるよ」
「……えっ?」
遥が顔を上げると、ひろしは無造作にマットの上へと腰を下ろしていた。
その目線は鋭く、じっと遥の全身を舐めるように見つめている。
「ここで、おまえを抱く。好きな体位を選べ」
「……っ」
「正直に言うと、無理やりにでも突っ込みたい。でもな……おまえが自分で選ぶってのが、興奮するんだよ」
遥の喉が、きゅっと鳴った。
背筋に冷たい汗が流れる。
選ぶ――自分で?
どの体位で、処女を奪われるかを?
そんな選択肢なんて、どれも地獄でしかない。
「……でも、もうひとつだけ、選択肢をやる」
ひろしの口元が、皮肉げに歪む。
「俺の前で、オナニーして絶頂してみせろ。そうすれば……今日は、それで終わりにしてやる」
「……っ!?」
思わず、遥は言葉を失った。
自分で……?
目の前で、男の前で……そんな、恥ずかしい――
しかも、遥は一度も……触れたことなんて、ない。
誰にも言えないが、そういうことは全て、**「知らずにきた」**のだ。
恋愛経験も、性的な知識も、頭の中のどこか遠くに追いやって生きてきた。
そんな遥にとって、「オナニー」という選択肢は、まさに未知の世界だった。
「選べよ。体を差し出すか、自分で見せるか」
「……っ、どっちも……無理……」
「じゃあ、俺が選ぶぞ? 後ろから、無理やり突いてやる」
その言葉が、遥の心を決定的に揺らした。
無理やり、処女を奪われる。
痛みと恐怖と、どうしようもない屈辱。
その未来を避けるためには、自分で触れるしかないのだと。
遥は、唇を噛みながら、かすかに頷いた。
「……わ、わたしが……します……自分で……」
「よし、いい子だ。さあ、全部脱いで、こっちに背を向けろ。明かりをつけてやる」
部屋のランタンが一段と明るさを増し、遥の白い肌を照らす。
ゆっくりと、震える指で下着を降ろしていく。
ショーツが太腿をすべり、足首でからまり、やがて足元に落ちる。
その瞬間、遥の身体に、ひどく冷たい空気が触れた。
自分の下腹部が、男の目にさらされている。
そう思っただけで、羞恥が全身を包んだ。
「指を使って。自分の、そこ……開いて見せてみろ」
ひろしの声は低く、命令するようでいて、どこか甘さを含んでいた。
遥は、膝を立てた姿勢で布団の上に座る。
太腿を開くのも、指をそこに伸ばすのも――すべて、人生で初めての動きだった。
震える指先が、自らの秘所に触れる。
じんわりと熱を持ったその部分に、指が触れた瞬間、びくんと腰が跳ねた。
「ん……ぁっ……」
こんなにも敏感な場所だったのか。
知らなかった。
「そう、そこだ……クリトリスの上……ゆっくり撫でてごらん」
誘導するような声が、遥の背中を押す。
かすかに濡れていた。
自分でもわかる。
口で奉仕していた時から、なぜか、身体が熱を持ち始めていた。
「くちゅ……んっ、あっ、な、なんか……変な感じ……」
「感じていい。それが女の本能だ。自分で確かめてみろ」
遥の指が、恐る恐るクリトリスの上を円を描くように撫でた。
ビリッと電気が走ったような衝撃に、思わず腰が浮く。
「やぁっ……あっ……こ、こんな……っ、やらしいの……っ」
「いいぞ、遥。もっと触っていい。濡れてきてる。感じてるんだ、おまえは」
声が、身体の奥に染み込んでいく。
羞恥が快感に変わるその刹那、遥の目から涙がひと筋、こぼれた。
「……んっ、あ……や、だめ……っ、でも、き、もちいい……っ」
中指が、ぬるぬるとした蜜を絡めながら、より深く、秘所の奥を探っていく。
ふいに膣口のあたりに触れた瞬間、遥はビクッと震え、思わず声を上げた。
「そっちはまだ、処女膜があるからな……無理しなくていい。外で、十分にいける」
その言葉が、どこか優しく感じたのが、悔しかった。
「くちゅ、くちゅ……はぁ、はぁっ……! な、なんか……くる、くる……っ!」
腰が勝手に動く。
指先が止まらない。
視界が揺れ、意識が遠のいていくような、甘くて苦しい感覚。
「遥……絶頂してごらん。その姿を、俺に見せてくれ」
「やぁっ……だめっ、でも……いっ、ちゃう……っ!!」
ビクンッ……!!
遥の身体が、弓なりに反り返る。
開いた足の間から、ぬめる蜜が溢れ、太腿をつたって布団を濡らす。
息が止まりそうなほどの快感――
それが、遥にとっての初めての絶頂だった。
全身が脱力し、ぐったりと布団に倒れこむ。
ひろしの視線を感じながら、遥は目を閉じた。
もう、何も言えなかった。
ただ、震える指先に残る余韻と、濡れた太腿の感触だけが、彼女に「現実」を突きつけていた。
だが、その選択が本当に”終わり”をもたらすものだったのか――
それは、まだ誰にもわからない。
オークとエルフ男の娘の雨宿り
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