『救助者を装った罠 ― 跨がる処女』
息が荒い。
遥は、布団の上に脱力したまま、まだ痙攣する太腿の内側に、うっすらとした熱の名残を感じていた。
自分で触れ、自分の指で果てた。
それは、彼女にとって人生で初めての絶頂だった。
「これで、終わる……」
そう思った。
けれど――現実は、あまりに残酷だった。
「……やっぱ、無理だわ」
重く、低い声。
ひろしの吐き出すようなその一言が、遥の世界を音もなく壊した。
「え……?」
遥は、顔を上げる。
汗ばんだ前髪の隙間から、男の表情を見た。
そこには、欲望の炎がまだ赤々と燃えていた。
「おまえのオナニー、見てたらさ……我慢なんて、できるわけねえだろ」
「っ……うそ、約束……!」
「俺、約束なんか守るタイプに見えたか?」
ひろしの笑みは冷酷だった。
最初から、全ては仕組まれていたのだ。
見せて、濡らして、興奮させて、そして――奪う。
遥の瞳に、ふたたび涙が滲む。
「やめて……お願い、さっきので……もう十分でしょ……っ」
「でも、処女はまだいただいてねえし。あれじゃ、全然満足できねえよ」
逃げ道は、また塞がれた。
先ほど果てたばかりの遥の身体は、抵抗すらままならない。
そして。
ひろしは、にやりと笑いながら、無慈悲な提案を投げかけた。
「最後に、また選ばせてやるよ。おまえが、どの体位で処女を捧げたいかをな」
「……っ、やめてよ、そんなの……選べるわけないじゃん……っ」
「だったら、俺が選ぶ。後ろから突いて、動けなくなるまでやる」
その言葉が、遥の脳裏に突き刺さる。
背中を押しつけられ、無理やり脚を開かれて――
そんな姿で、処女を奪われるくらいなら。
遥の喉が、かすかに震えた。
「……わかった……」
「ほう?」
「……自分で……する。わたしが、上に乗る……」
その言葉がどれほどの羞恥と恐怖を伴うものだったか。
遥にしか、わからない。
だが、彼女は震える膝を支えに、ひろしの腰の上にまたがった。
男の肉は、すでに限界まで硬く膨れ上がっていた。
遥の熱と蜜を浴びたせいか、先端は赤黒く光っている。
「……こんなの、入るわけ……っ」
「自分で選んだんだろ。受け入れてごらん」
ひろしの両手が、遥の腰に添えられる。
逃げ場は、やはりどこにもなかった。
遥は、息を詰めながら、そっと膣口に男の先端を宛てがった。
ぞくり、と背筋を冷たい感覚が駆け抜ける。
「んっ……ふ、うっ……っ!!」
指では到底届かなかった場所へ。
遥の処女膜が、男の熱によって押し破られようとしていた。
「……っいた……い……っ!」
「ゆっくりでいい。でも、全部咥え込まないと、終わらないぞ」
遥は、唇を噛み締めた。
破れるという痛み。
そして、奥へ奥へと押し込まれる異物感。
足の付け根が震え、全身が汗ばみ、目の前が滲む。
だが――
「はぁっ、あっ……あああ……っ!!」
ずぷん……っ、と音を立てて、遥は男を根元まで迎え入れた。
その瞬間、身体の奥で「何か」が確かに裂けた。
「やったな……奥まで届いたぞ」
「……っ、う、うそ……こんな、苦しいのに……っ」
遥の目から、大粒の涙が零れ落ちる。
だが、もう元には戻れなかった。
「動いてごらん。自分から、腰を……振るんだよ」
「っ……!」
ひろしの手が、遥の尻を軽く押す。
その導きに従って、遥はゆっくりと腰を浮かせ、また沈めた。
「んっ……くぅ……っ、や、やだ……っこれ……っ」
「でも、おまえの中、すげぇ……きついし、熱い……最高だ……!」
男の言葉が、遥の羞恥に火をつける。
だが、確かに感じていた。
下腹部が、何か得体の知れない快感で満たされていくのを。
「うそ……っこんな、はずじゃ……っ」
「もっと腰を回してみろ。そう、ゆっくりだ……いいぞ、遥……!」
ぬちゅ、ぐちゅ……と生々しい音が、二人の身体の間から響き続ける。
遥は、自分の身体が犯されるそのすべてを、自分の意思で進めていた。
それが、たまらなく惨めで――けれど、どこか抗えないほど、熱かった。
「いや……っあぁ、わたし……おかしくなる……っ!」
「処女のくせに、腰振って、締め付けて……可愛いよ、遥……!」
「んんっ、やぁっ……もうっ、無理っ、なにか、くるっ、また……っ!!」
ガクガクと震える身体。
内壁が痙攣し、遥は再び、絶頂に突き落とされた。
そして――
「うっ……遥……っ、出すぞ、全部……っ!」
「だめっ、中はっ……やだっ、危険日なのに……っ!」
ひろしの腰が大きく打ちつけられ、びくびくと脈打つ肉が遥の奥へ、深く、何度も脈動する。
どろりと熱いものが、遥の最奥へ注がれた。
「やぁ……っ、そんな……中に……っ、ああぁぁっ……!」
遥はそのまま、ぐったりとひろしの胸に倒れ込んだ。
呼吸は荒く、目には涙が滲んでいた。
処女を捧げ、絶頂し、中に注がれた熱――
どこまでが自分の意志で、どこからが狂気だったのか。
遥にはもう、判断できなかった。
そして、夜はまだ、終わらなかった。


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