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戦国時代に転生し山賊に襲われる大学生の悪夢:vol.1(戦国時代にタイムスリップ)
大学の講義を終え、いつものように夜のコンビニでスイーツを買って帰路についていた。
慣れ親しんだアスファルトの道、一定間隔で並ぶ街灯の白い光、遠くから聞こえる車の走行音。
何も変わらない、ありふれた平和な日常のはずだった。
だが、ふいに足元が泥のように崩れ落ち、世界がぐにゃりと歪んだかと思うと、視界が唐突に真っ黒に塗り潰された。
次に目を開けた時、そこはもう現代日本ですらなかった。
(……え……どこ、ここ……)
鼻腔を突くのは、排気ガスやアスファルトの匂いではない。
湿った土と、腐りかけた落ち葉、そしてむせ返るような青臭い木々の匂いだった。
見上げれば、街灯など一つもなく、空を覆い隠すほどの巨大な木々が鬱蒼と生い茂っている。
自分が倒れ伏しているのは、コンクリートではなく、冷たく湿った腐葉土の上だった。
「……うっ……痛っ……」
遥は震える手で地面を突いて、ゆっくりと身を起こした。
お気に入りのスカートには泥がべっとりとこびりつき、生身の足は夜の冷気にさらされて芯から冷え切っている。
パニックになりそうな心を必死に落ち着かせながら、慌てて鞄の中からスマートフォンを取り出した。
しかし、画面には無情にも圏外の文字が表示されたままだ。
何度リロードを試みても、電波を探すアイコンが空しく回転するだけで、画面はただ暗闇の中で無機質な光を放つだけだった。
(……夢だよね……きっと、悪い夢……歩きスマホしてて、どこかの溝にでも落ちたんだ……)
そう自分に言い聞かせるが、ひんやりとした夜風が肌を撫でる感覚も、膝に走る擦り傷の生々しい痛みも、あまりにも現実的すぎた。
ここはどこかの山奥なのだろうか。
誘拐された? それとも遭難したのだろうか。
だとしたら、一刻も早くここを離れて、誰かに助けを求めなければならない。
その時だった。
ガサリ、と。
背後の茂みから、枯れ枝を踏み折る重々しい足音が響いた。
「……あっ……だ、誰か、いるんですか……? 助けてください、道に迷ってしまって……」
遥はすがるような思いで、声のした方へと振り返った。
しかし、木々の隙間から姿を現したのは、救助隊でも親切な村人でもなかった。
そこに立っていたのは、現代の人間とはかけ離れた異様な出で立ちの男たちだった。
ボロボロにすり切れた麻布のような着物を纏い、足元は泥まみれの裸足に粗末なわらじ。
顔は泥と煤にまみれて黒く汚れ、長く伸びた髪は油と垢でべっとりと固まり、不気味に顔に張り付いている。
手には鈍く光る錆びた刃物や、太い木の棒が握られていた。
「おお? なんだこの女。見たことねぇ妙ななりをしてやがる」
「へへっ……こりゃあ、たまげた。どこぞの姫君様が迷い込んだか? それとも神隠しか?」
野太く、そしてひどく濁った声。
言葉の端々から、彼らがまともな人間ではないこと、そして常識など一切通用しない存在であることがひしひしと伝わってくる。
そして何より、男たちから漂ってくる強烈な獣のような体臭と、血と泥の入り混じった異臭が、遥の生存本能に激しい警鐘を鳴らした。
(……だめ……逃げなきゃ……殺される……)
頭ではそう理解しているのに、極度の恐怖で足がすくんでしまい、一歩も動けない。
男たちのぎらついた視線が、遥の怯えた顔から、現代風のブラウス、そして泥に汚れたとはいえ露出している白い素足へと、ねっとりと這い回る。
まるで、獲物を品定めする飢えた獣の目だった。
「あ……あの、警察を……警察か、誰か呼んでください……」
震える声で紡いだ言葉は、彼らには全く通じなかった。
いや、言葉の意味など最初からどうでもよかったのだろう。
男たちは下卑た笑みを浮かべながら、じりじりと遥を追い詰めるように距離を詰めてきた。
「けいさつぅ? なんだそりゃ。ま、安心しろや。こんな山奥で野垂れ死ぬよりは、俺たちがたっぷり可愛がってやるからよ」
一人の男が、無造作に太い腕を伸ばしてきた。
逃げる間もなく、肩を乱暴に掴まれる。
「ひっ……! や、やめて……っ」
抗おうと身をよじったが、男の腕力は遥の細い体では到底太刀打ちできるものではなかった。
突き飛ばされるように地面に押さえつけられ、背中に冷たい土と小石の感触がめり込む。
「威勢がいいじゃねぇか。だがな、こんな山奥じゃ誰も助けに来ねぇぞ。叫んだって無駄だ」
男の巨大な顔が覆い被さってくる。
吐き出される息には、腐った酒と得体の知れない悪臭、そして内臓から込み上げるようなすえた匂いが混ざっており、遥は思わず顔を激しく背けた。
しかし、逃げることは許されない。
背けた頬を、もう一人の男が無理やり鷲掴みにし、正面を向かされる。
ギリッと顎の骨が鳴るほどの乱暴な扱いに、痛みの涙がじわりと滲んだ。
「いい匂いしやがるな、このアマ……。山の獣臭ぇ女とは大違いだ」
顔を近づけられ、男の無精髭が遥の柔らかな頬をザリザリと擦る。
その不潔な感触と、首筋に吹き付けられる熱く湿った吐息に、遥の全身の毛穴という毛穴が総毛立った。
胃の奥からこみ上げてくる吐き気を必死に飲み込みながら、遥は弱々しく首を振る。
(……お願い、やめて……誰か、助けて……お父さん、お母さん……)
声にならない悲鳴が頭の中をこだまするが、現実には一片の救いも差し伸べられない。
ただ、圧倒的な暴力と絶望だけが、彼女の華奢な体を地面へと縛り付けている。
男のザラザラとした汚い手が、遥の柔らかな頬をなぞり、そのまま首筋、そして華奢な鎖骨へと這い下りてくる。
指先にこびりついた土と泥が、大切に手入れしてきた肌を無情にも汚していく。
爪の間に詰まった黒い汚れが肌を引っ掻くたび、粟立つような強烈な嫌悪感が全身を駆け巡った。
(……いや……こんなの、嘘……誰か助けて……)
男のザラザラとした汚い手が、遥の柔らかな頬をなぞり、そのまま首筋へと這い下りてくる。
指先にこびりついた土と泥が、大切に手入れしてきた肌を無情にも汚していく。
触れられた部分から、粟立つような強烈な嫌悪感が全身を駆け巡った。
「……や、やだ……触らないで……お願い……っ」
声が喉の奥で引きつり、まともな悲鳴すら上げられない。
男性と付き合ったことすらなく、自分の体を他人に触れられたことなど一度もない遥にとって、この状況はあまりにも非現実的で、耐え難い恐怖だった。
ガタガタと全身が震え、目からはボロボロと大粒の涙が溢れ出していく。
「なんだこの布は。随分と薄くて手触りのいいもん着てやがるな。だが、こんなもん着てちゃ邪魔で仕方ねぇ」
男の太い指が、ブラウスの襟元に引っ掛けられる。
ビリッ、という鈍い音を立てて、布地が強引に引き裂かれそうになった。
「あ……だめっ……! やめて……!」
必死に両手で胸元を庇おうとするが、もう一人の男がその手首を両方まとめて片手で拘束してしまった。
自由を奪われ、万力のような力で手首を締め上げられる。
手首の骨が軋み、激しい痛みに顔が歪む。
「ほら、いい子にしてな。どうせここじゃ、俺たちの言う通りにするしか生きる道はねぇんだからよ」
「そうだそうだ。大人しく俺たちの慰み者になれば、命だけは助けてやるかもしれねぇぞ」
逃げ場のない深い森の底。
常識も倫理も通用しない無法の時代に放り出された遥の前に、圧倒的な暴力と醜悪な欲望が容赦なく牙を剥いていた。
誰一人として助けは来ない。
この得体の知れない汚れた男たちの欲望を満たすためだけの道具にされてしまう。
その絶望的な事実が、遥の心を黒く塗り潰していく。
男たちは、怯えてすくみ上がり、涙を流す遥を見下ろし、残酷な命令を口にした。
「さあ、まずはその妙な服を、自分で脱いでみろや」


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