三度目の静寂――解かれていく青いセーター
寿子は駅の片隅、
まだ消えない熱に胸を押さえたまま、深く息を吸い込んでいた。
唇には、知らない誰かの残り香。
胸の奥では、まだ奇妙なときめきが脈打っている。
(どうして……私、こんなに……)
それは、彼女自身も知らない感覚。
温度も、形も、記憶さえ曖昧な「快感」の余韻が、
セーターの下でじわりと広がっていく。
ひろし課長は、そんな寿子の背中を遠くから見つめていた。
背徳感と渇望が、またしても胸を灼く。
(これ以上は、いけない。
だけど、どうしても……この想いを止められない)
ひろしの指先には、まだ寿子の柔らかな輪郭が残っている。
青いセーターの下、
(この先には、どんな柔らかさが隠されているのだろう)
そんな想像が、酒よりも強く、彼の理性を焼き尽くしていく。
(もう一度だけ……今夜だけは……)
駅の時計が静かに時を刻む。
寿子の姿が小さく震えた、その瞬間――
ひろしは再び、心のなかで静かに呟いた。
「時よ、止まれ――」
音も、光も、すべてが凍りつく。
ホームに響いていた電車の発車メロディも、
遠くで響くアナウンスも、
行き交う人の流れも、すべてが真冬の氷壁のなかで静止する。
(また、止まった……誰にも、邪魔されない)
ひろしはゆっくりと寿子に近づいた。
青いセーターに包まれた背中が、ほんのわずかに揺れている。
寿子の頬はまだ赤く、唇はほんのり濡れていた。
今、彼女は完全に無防備だ。
ひろしの欲望だけが、この世界で脈打っている。
そっと、寿子の肩を抱く。
彼女の体温が、手のひらをじんわりと温める。
(もっと近くで、君のすべてを……)
ひろしは震える指で、
寿子の青いセーターの裾へと手を伸ばした。
セーターの生地を、ゆっくりとたくし上げる。
白く滑らかな肌が、静かな夜の駅の光に晒されていく。
お腹から、肋骨、そして丸みを帯びた胸の輪郭があらわになる。
青いセーターの柔らかな生地が、
寿子の小さな胸をそっと押し上げる。
(ああ、なんて……綺麗なんだ)
胸元に触れる瞬間、ひろしの手は震えていた。
それは、罪と悦び、渇望と愛情、すべてがない交ぜになった証拠。
彼の手が、寿子の胸元をそっと包み込む。
やわらかい。温かい。誰にも触れられたことのない、
純粋で、無垢な膨らみ。
ひろしは、そっと親指で乳房の輪郭をなぞる。
そのたびに、寿子の身体が微かに震えているように見えた。
(もし、彼女がこの感覚を知ったら……どんな顔をするだろう)
ひろしは、寿子の胸を包み込んだ手で、
軽く揉み、優しく撫で、時に指先で乳首の先端を探し出す。
セーターの下、下着ごしにふくらむ小さな突起。
(寿子、感じてくれ……今はまだ眠るだけの感覚でも、
時が動いたとき、全身を貫くほどの快感に変わるんだ)
ひろしは、そっと乳首の先端に指をすべらせ、
下着ごしにゆっくりと円を描く。
徐々に固くなっていく乳首を、親指で摘み上げる。
くすぐるように、優しく撫で、
ときおり、ほんの少し力を込めて弾く。
(寿子、今、君はどんな夢を見ているのか)
ひろしは青いセーターをさらに持ち上げ、
胸元をあらわにして、顔を近づけた。
柔らかな乳房に、唇をそっと押し当てる。
温かい吐息が、乳首のまわりをくすぐる。
「寿子……愛してる」
彼は乳首に舌を這わせ、
甘く舐め上げ、時に吸い、時に軽く歯で甘噛みする。
そのたびに、乳首がピンと立ち、
唇の熱に反応して、肌が微かに赤く染まっていく。
何度も、何度も、
ひろしは寿子の胸を愛撫し、
唇で痕跡を残していく。
下着のレース越しに、乳首を軽く摘まむ。
(この感覚が、君の全身に焼きつきますように――)
ひろしはもう一度、胸全体を包み、
右手で優しく揉みしだきながら、
左手で乳首の先端を愛しむように円を描く。
乳房の柔らかさ、
乳首の固さ、
そのすべてがひろしの欲望をさらに刺激していく。
耳元に顔を近づけ、囁く。
「寿子……もっと、感じてくれ。俺のすべてを、受け止めてくれ」
駅のホーム、
誰も知らない静寂のなかで――
二人だけの秘密が、青いセーターの下で甘く熟れていく。
やがて、ひろしは名残惜しそうに、
そっとセーターを下ろす。
(もう十分……これ以上は、さすがに……)
でも、彼の手は寿子の腰へとまわり、
もう一度だけ、後ろから彼女をしっかりと抱きしめた。
「時よ、動け――」
世界が、ふたたび動き出す。
寿子はその場で小さく息を呑み、
身体を抱え込むようにして立ちすくむ。
(あれ……? 胸が、熱い……
なにこれ、すごく……じんじんする……)
胸元には、誰にも触られていないはずの快感が
まるで余韻のように波紋を広げていた。
(私、どうしちゃったの……?)
青いセーターの下で、
乳首はまだ固く、敏感に疼き続けている。
寿子は慌てて胸元を手で覆い、
その場にしゃがみこんでしまった。
(だれかに、見られてる? まさか……課長?)
ふと、ひろしの姿を探す。
でも、彼はただ静かに、離れた場所で寿子の余韻を見守っていた。
今夜の駅の静寂。
誰にも知られない甘い罪。
――背徳と官能、
愛しさと苦しさ、
すべてが胸の奥で溶けていく。
二人だけの、
決して明かされることのない夜が、
こうしてまた深まっていく――


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