絶望の夜明け――晒される記録と新たな命令
ホテルの部屋を出たとき、
寿子の足は震えていた
太ももから膣の奥にかけて
まだ熱い液体がじわじわと流れている
下着はすでに履く気力もなく
コートの裾を握りしめて
夜の風に晒された
涙はもう涸れて
ただ下腹部の重さと、
ベッドに残されたシーツの濡れ痕の感触が
全て現実だということを
否応なしに思い知らせてくる
家に帰っても
身体を何度洗っても
奥に満ちた精液は全て拭い去ることはできない
ベッドに倒れ込み
ぼんやりと天井を見つめる
携帯電話が
震えた
メッセージアプリの通知
そこには、警備員からの無機質な一文と
見慣れない動画ファイルが添付されていた
『今夜の記念。もしサボったり口答えしたりしたら、課長にも社内にも全部流すからな』
開くことすら怖かった
しかし恐怖に負けて
画面をタップしてしまう
無音で始まる動画
そこには自分の泣き顔、喘ぎ声、
そして中に注がれる瞬間の表情
カメラ越しに晒され続けた自分の全てが
克明に映し出されていた
身体の奥が冷えていく
自分が自分じゃないような現実
どれだけ抵抗しても消せない記録
絶望と羞恥と恐怖が
全身を痺れさせた
「消して……お願い、消して……」
小さな声で何度も呟くが
誰にも届かない
着信が鳴る
メッセージには
『明日も同じ時間、同じホテル。逃げたら動画を会社に送る。今度はセクシーな下着で来い』
現実感が遠のいていく
「セクシーな下着……?」
寿子はクローゼットを開け
手持ちの下着を無意識に探す
だがどれも、
子供っぽいレースや可愛い色味ばかり
「違う……違う……」
頭の中で警備員の言葉がリフレインする
『課長のために』
そう思って大切にしてきたはずの自分の身体が
誰かの道具になっていく
身体の奥はまだ重く、
精液がこぽこぽと零れ続けている
また明日も
同じことを強いられる恐怖
全てが録画され
全てが証拠として
消されることのないまま、
自分を脅し続ける枷になっていく
「やだ……いやだ……」
それでも
従うしかない
『もし逆らったら動画をばらまく』
その一文が
寿子の心を静かに締めつける
時間がどれほど経ったかわからない
眠ることもできず
涙ももう出ない
夜明け前の薄暗い部屋で
寿子は一人、膝を抱えて
小さく震えていた
スマートフォンには
再生を繰り返す自分の悲鳴
泣き顔
脚を開かされ、奥まで貫かれる姿
明日着ていくべき
“セクシーな下着”のイメージを
頭の中で何度も浮かべては
また恐怖と屈辱で全身が痺れていく
「どうして……課長にしか、見せたくなかったのに……」
クローゼットの奥に手を伸ばし
普段なら絶対に着ないような
レースの多い下着を引っ張り出す
それでも、
あの命令に背くわけにはいかない
自分を守るためでも
課長を守るためでもなく
もうただ、
動画がばら撒かれることだけが怖かった
部屋の静寂のなかで
通知音が響き
また新たな命令がスマートフォンに届く
『明日はホテルで下着だけの姿、まずカメラに映してもらう。課長よりエロい顔で頼むな』
指先が冷たくなる
部屋の奥
明かりの消えかけた鏡に映る自分の顔は
どこか遠くを見つめる
もう他人のような表情
自分が消えていく
絶望と屈辱に塗れた夜の中で
寿子は
明日の恐怖に怯えながら
静かに身体を丸めていた
げーみんぐはーれむ総集編I
1,375円

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