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課長に操られ、自宅で処女喪失(撮影画像を送付)vol.4

操り
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部屋に残る余韻と絶望――遥の崩壊した夜

  • とおるが去り、静けさに包まれる部屋
  • 遥の身体に残る快感の残滓と羞恥
  • スマホに届いた“素材”という名の動画
  • 全てを記録された悦びと絶望
  • 抗えない快楽の記憶が遥を蝕む
  • 背徳と涙、そして新たな始まり

部屋の中は、異様な静けさに包まれていた。
玄関の扉が静かに閉まり、廊下を歩く革靴の音が遠のいていく。とおるが去ったその瞬間、時間だけがぽっかりと置き去りにされていた。

遥は、ソファの前のカーペットに仰向けで横たわったまま、動けなかった。
いや、動くことができなかった。

脱がされたままの裸身に、まだ男の視線が刺さっているような錯覚が残っている。
脚の付け根に残る微かな熱
触れられていないのに疼く乳首
そして、数十分前の絶頂の余韻が、皮膚の裏側でくすぶるように脈打っている。

指先の感覚すら、生々しすぎて怖かった。
あの瞬間、自分がどう腰を揺らし、どんな声を吐き、どれほど淫らに蕩けていたか——
すべてが記憶に焼き付いていて、むしろ「消したい」という願いを嘲笑うかのように、鮮明だった。

「……今度の撮影も、楽しみにしているよ」

とおるの声が、耳の奥で残響していた。
やわらかく、日常に溶け込むような口調で。
まるで“業務連絡”のようなテンションで、それを言い残して去っていった。

遥は、自分の脇腹に落ちた髪を払いながら、天井を見上げた。
静かな白。どこまでも無機質な天井が、今は拷問のように冷たく感じた。

そして——
不意に、音が鳴る。

ピリッとした短い振動。
遥の身体がびくんと跳ねる。
ベッドの上に放り出していたスマートフォンが、メッセージ着信を告げていた。

呼吸が浅くなる。
指が震える。
心臓が何かを察知したかのように、異常な速さで打ち始めた。

ディスプレイを見た。
送り主は、とおる。

たった一行の文。
素材、送っておくよ。編集はあとでね

添付されていたのは、動画ファイル
それも、高画質の重いデータだった。

震える親指で、再生ボタンを押す。
あるいは、押させられた。

画面に映ったのは、他でもない——遥自身だった。

ソファの前、脚を広げ、笑っている。
艶めいた視線でカメラを見上げながら、乳房を自分で揉みしだき、指で秘部を穿つ。
濡れた音、はしたない吐息、震える身体

——その瞬間。

遥の中で、何かが「ブツッ」と音を立てて途切れた。

操りが、解けた。
心の奥に掛かっていた靄が剥がれ落ち、視界がクリアになる。

けれど、それは救いではなかった。
正気を取り戻したその先に待っていたのは、むしろ地獄だった。

覚えている。
全部。
何もかも。
どこをどう触れ、どう喘ぎ、どう絶頂に達したか——
自分の身体が、自分の意思ではなかったはずの時間の、全記憶がある。

なのに。
悦んでいた。
紛れもなく、あの顔は“気持ちよくて仕方がない女”の顔だった。
目が蕩け、口元は崩れ、吐息は甘く濁って、震える脚で床を叩いていた。

「……うそ……うそでしょ……っ」

遥はスマホを手から放り投げた。
画面はソファの脚元でカタリと跳ね、そのまま再生を続けている。

スピーカーから流れるのは、自分の声。

課長ぉ……見てください……っ、イっちゃう……イって……しまいますぅっ……!

——なんて声を出していたの。

——どうして、あんなに嬉しそうに、乱れていたの。

遥は、頭を抱えた。
叫びたかった。でも声にならなかった。
心の底から恥ずかしくて、汚されて、でも——

でも——

下腹部が、また疼く

あり得ない。
あんなに壊されて、こんなにも絶望しているのに、なぜ身体だけが裏切る。
指先が、自分でも気づかぬうちに脚のあいだへと落ちていく。

《やめて……やめてって……っ》

心は悲鳴を上げる。
だが、身体は従わない。
記憶された“悦び”に、快感の残像に、勝てない。

どれだけ心が拒んでも、一度味わった快楽の残滓は、女を蝕み続ける。
それが、遥の肉体だった。

「……いやぁ……っ、こんなの……やだぁ……っ……」

涙が止まらない。
泣きじゃくりながら、遥は床に崩れ落ち、膝を抱えた。

「もう……普通に戻れない……っ」

誰にも触れられたくない。
でも、誰かにすべて見られている。
——すでに、記録されてしまったから。

あのカメラのレンズが、自分の全てを剥いた。
体も、心も、恥も、理性も、なにもかもを。

その“映像”は、とおるの手の中にある。

「また、撮影がある」

その一言が、遥の頭の中で、何度もリフレインする。
逃れられない。
忘れられない。
そしてきっと——抗えない

床にこぼれた涙が、じわじわとカーペットを染み込ませていく。
嗚咽が、声にならない音へと変わり、部屋の沈黙と溶け合っていく。

背徳という名の毒は、遥の骨の奥にまで、静かに、しかし確実に染み込んでいた。

そして彼女は、まだ知らなかった。

——これが終わりではなく、
——すべての始まりでしかなかったことを。

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