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【精神支配の幕開け】課長の”能力”に操られ、自宅で堕とされる:vol.1(抗えぬ命令に開かれる扉)
ひろしには、他人には決して明かすことのできない恐るべき秘密があった。
それは、対象の精神の深層へと直接干渉し、肉体の支配権を完全に奪い取るという、おぞましい精神支配の能力である。
瞳を合わせ、静かに意識の奥底へと入り込むだけでいい。たったそれだけで、相手の身体は本人の意思とは全く無関係に、ひろしの思い描いた通りに動くようになるのだ。
表面上の意識はそのまま残される。理性を保ったまま、自分が何をされているかをすべて把握し、恐怖も、嫌悪も、凄絶な羞恥も、すべてを鮮明に感じ続けることができる。
だが、どれほど心の中で激しく拒絶し、泣き叫ぼうとも、身体だけは完全に彼の命令に従ってしまう。
声すらも奪われ、「やめて」と叫びたいはずの口からは、本心とは裏腹の従順な言葉しか出てこなくなる。
これが、ひろしという男の持つ、絶対的で残酷な支配の力の正体だった。
そして今夜、彼はその卑劣な力を、入社して間もない新入社員の遥へと向けようとしていた。
遥は、男性との交際経験が一切ない完全な処女であった。真面目で清楚、そして極度の恥ずかしがり屋である彼女は、男性に対して強い苦手意識を持っていた。他人の視線を集めることすら苦痛に感じるほど、自己主張の乏しい大人しい性格である。
もちろん、自らの身体を慰めるような経験など一度もなく、自分の身体に眠る快感すら知らない、純真無垢な存在であった。
数週間前から、ひろしは少しずつ遥への精神侵食を周到に進めていた。
オフィスですれ違うたびに、さりげなく視線を交わす。会議室で隣に座り、肩がわずかに触れるような距離で資料を覗き込む。彼女の生真面目さを利用し、逃げられない状況を巧みに作り出しては、少しずつ自分の意識を彼女の中に流し込んでいた。
そのたびに、遥の精神の壁に、目に見えない微細な亀裂が一本、また一本と深く刻み込まれていった。
(……最近……なんだか身体がだるい……。誰かにずっと見られているような……変な気分が抜けない……)
遥自身は、その違和感の正体にまったく気づいていなかった。慣れない仕事による日々の疲労と、梅雨時の低気圧のせいだと思い込んでいた。
けれど実際には、彼女の精神はもう半ば以上、ひろしの支配領域へと取り込まれていたのだ。
そして、今夜。すべてが幕を開ける。
六月の生ぬるい夜の雨は、柔らかな肌にまとわりつくように不快で、どこか心をざわつかせる嫌な予感を孕んでいた。
新入社員の遥は、駅からの暗い帰路を、傘を差しながら足早に急いでいた。入社して数ヶ月、生真面目な性格ゆえに仕事を一人で抱え込みがちな彼女は、今日も遅くまでの残業で心身ともに疲れ果てていた。
濡れたアスファルトの上に、自分のヒールの足音だけが静かに、そして規則正しく響いている。
その単調なリズムが、頭の奥に居座り続ける薄いもやのような重さを、かえって際立たせているように感じられた。
(……早く帰って……お風呂に入りたい……。ずっとこの頭の重さが取れない……気のせいだと思いたいけど……なんだか、怖い……)
ふと、自宅のアパートまであと少しの角を曲がったときだった。
「……おや、遥くん?」
聞き覚えのある、低く落ち着いた声。
その声が鼓膜を震わせた瞬間、遥の背筋にざわりと冷たいものが走った。心臓が、嫌なリズムで激しく跳ねる。まるで蛇に睨まれた蛙のように、全身の筋肉が硬直したのが分かった。
「……か、課長……?」
遥は思わず立ち止まり、声のする方へとぎこちなく視線を向けた。
この辺りは駅から離れた完全な住宅街であり、会社の人間と会うような場所では決してない。しかも、直属の上司である彼、ひろし課長が、こんな遅い時間に、雨の降る中を傘も差さずにぽつんと立っているなど、どう考えても不自然極まりなかった。
街灯の薄暗い光の下、スーツを濡らしたひろしは、いつも会社で見せる温厚な笑顔を浮かべていた。しかし、その笑顔の奥底にある真っ暗な闇に、遥の防衛本能が激しく警鐘を鳴らしていた。
「いやぁ、たまたま近くで会食があってね。こっちの道、抜け道だって聞いてたから使ってみたんだよ。そうしたら急に雨に降られてしまってね。参ったよ」
自然な笑み。優しげな口調。社会人としての完璧な仮面。
だがそれは、すべて計算された完璧な演技だった。ひろしは最初からこの夜のために、遥の帰宅時間を正確に把握し、この場所で待ち伏せていたのだ。彼女がどれほど怯え、どれほど自分を警戒しているかも、すべてお見通しだった。
遥の心は、嫌な冷や汗でじっとりと湿っていた。
(……本当に偶然……? いくら抜け道でも……ここはわたしの家のすぐ近くだし……どうしてこんな距離感で話しかけてくるの……)
警戒心が激しく警鐘を鳴らす。すぐに会釈だけして立ち去らなければならない。そう頭では分かっているのに、どうしてか、彼から目が離せない。
ひろしの黒い瞳が、蛇のように静かに遥を射抜いていた。
その視線が遥の瞳を捉えた瞬間、頭の奥で何かが、カチリ、と硬質な音を立てた気がした。
ここだ。
ひろしは遥の瞳の奥に、数週間かけて仕込んだ支配の糸が完全に繋がったことを確信した。もう、絶対に逃がしはしない。この美しくも生真面目な獲物は、完全に自分の手のひらの上にある。
「ちょっと雨宿りでもさせてもらえないかな? すぐ帰るよ。ほら、こんなに濡れちゃって、風邪を引いてしまいそうだ。少しだけでいいからさ」
笑顔のまま、ひろしは遥の顔をじっと見つめていた。
その瞳の奥には、明らかな支配の意志がどす黒く渦巻いている。遥の尊厳を踏みにじり、意のままに操りたいという歪んだ欲望が、静かに炎を上げていた。
「……あの、でも……うち、散らかってて……それに、女性の一人暮らしですし……本当に、困ります……」
必死に拒もうとした。正当な理由を並べて、何とかこの場を逃れようとした。男性への苦手意識と、本能的な恐怖が彼女の口を動かした。
けれど、口ではそう言いながら、遥の指先は。
無意識に、自分のカバンの中から部屋の鍵をカチャカチャと取り出していたのだ。
(……え……? なんで……どうして鍵を出してるの……? わたし……断ったはずなのに……!)
おかしい。身体が勝手に動く。
心は明確に拒絶している。この得体の知れない男を、絶対に自分の家に入れてはいけない。それなのに、自分の指が、まるで他人の手のように勝手に動き始めている。
遥の内側で、恐慌にも似た混乱が激しく渦を巻いた。頭が真っ白になるほどのパニック。
遥の震える指先は、自分のアパートのドアの前に立ち、鍵穴に鍵を差し込んで静かに回していた。ガチャリ、という無情な金属音が、夜の静寂に響き渡る。
「……どうぞ……お入りください。温かいお茶でも、淹れますから……」
自分の口から滑り出たその言葉に、遥自身が一番驚愕していた。
そんなつもりはまったくなかった。きっぱりと断るつもりだったのに。この男を家に入れるなんて、絶対にあり得ないことなのに。
なのに、その声はあまりにも自然で、まるで心から上司の訪問を歓迎しているような、優しく従順な響きを持っていた。営業用の、作り物の笑顔まで浮かべてしまっている。
(……違う……わたしが言ったんじゃない……口が勝手に……動いて……!)
「ありがとう、助かるよ。ちょっとだけ、雨が止むまでね」
何食わぬ顔で、ひろしは革靴を脱ぎ、遥の唯一の安全な居場所である部屋の中に、ずかずかと足を踏み入れた。
その横顔に浮かんでいたのは、獲物が自ら檻に入ったことを確信した、冷酷な捕食者の微笑だった。
(……違う……これはおかしい……入ってこないで……おねがい……)
心の中で絶叫する。激しく拒絶する。
けれど、ひろしが中に入ったことを確認した遥の手は、ごく自然に扉を閉め、自ら内鍵をかけてしまったのだ。
カチャリ。
その小さな金属音が、遥の逃げ道が完全に断たれたことを無慈悲に告げていた。密室の完成。もう誰の助けも呼ぶことはできない。
そして、リビングの照明をつけ、クローゼットから綺麗なバスタオルを取り出して手渡し、彼の濡れたスーツのジャケットを恭しく受け取る。
その一つひとつの動作が、まるで洗練されたメイドのように完璧で無駄がなかった。男性と接することすら苦手なはずの彼女が、甲斐甲斐しく男の世話を焼いている。
それどころか、遥は営業用の愛想のいい笑顔すら浮かべていた。自分の意思では、恐怖で顔が引きつっているはずなのに。筋肉の一つ一つまでが、ひろしの支配下に入ってしまっているのだ。
「遥くん、ずいぶん綺麗にしてるんだね。落ち着く部屋だ。君の生真面目な性格がよく出ているよ」
「……ありがとうございます。恐縮です」
再び、口が勝手に動いて謙遜の言葉を滑らかに紡ぐ。
この部屋は、遥の唯一の不可侵の聖域だ。同僚はおろか、これまで恋人すら一度も入れたことがない、彼女だけのプライベートな空間。処女である彼女の、秘密の城。
それなのに、ひろしはまるで自分の家であるかのように当たり前にソファへ深く腰を下ろし、獲物を品定めするように室内をねっとりと見渡していた。
遥はリビングの真ん中で立ち尽くしていた。
頭の中では、何十回、何百回と「早く追い出さなきゃ」「警察を呼ばなきゃ」と叫び続けている。
なのに、彼女の足は従順にキッチンへ向かい、手はお茶を淹れ始めていた。震える指でケトルの湯を沸かし、来客用の綺麗なティーカップを用意する。
淹れたての温かいお茶を完璧な笑顔でお盆に乗せ、優雅な仕草でひろしが座るソファ前のテーブルへそっと置く。
「……どうぞ、温かいうちに召し上がってください。タオルも、必要ならもっと出しますから……」
そこには、何の葛藤も見えない、部下から上司への完璧な接待があった。
しかし、その美しい所作の内側で、遥の精神は絶望的な悲鳴を上げ続けていた。
(……お願い……誰か止めて……わたし……動きたくない……どうして……自分の身体なのに言うことを聞かないの……!)
けれど、身体はひろしの視線に縫い付けられたように、ひたすら従順に動き続ける。
まるで、自分ではない誰か、目の前に座るこの悪魔のような男に完全に操られているかのように。
ひろしの視線は、ティーカップには目もくれず、じっと遥の怯えた瞳を見つめていた。ソファの背もたれに深く身を沈め、脚を組む。その姿勢には、この部屋の新たな主人としての余裕がはっきりと滲んでいた。
「……遥くん。座りなよ」
低い声で、短く命じた。たったそれだけだった。
だが、その言葉が遥の鼓膜を通過した瞬間、彼女の膝は力を失い、ひろしの正面のラグの上にすとんと座り込んでしまった。
椅子ではない。床の上に。まるで、主人の足元に跪く従者のように。
(……いや……なんで床に……? 椅子に座ればいいのに……どうして……足が……)
ひろしの口元に、初めてはっきりとした嗜虐的な笑みが浮かんだ。見下ろす形で遥の顔を覗き込みながら、ゆっくりと呟く。
「今夜は、ゆっくりしていこうかな」
その声音は優しかった。けれど、その奥に込められた真意を、遥の本能は正確に読み取っていた。
背筋を這い上がる凍りつくような恐怖と、身体の奥深くから湧き上がる得体の知れない淫靡な感覚が、同時に遥の精神を蝕んでいく。
まだ、彼の手は遥の純潔な肌のどこにも触れていない。
けれど、すでに遥の身体は、彼女自身の意思から完全に切り離され、彼の絶対的な所有物になりかけている。
生真面目で純潔な彼女が、これからこの密室で、どれほど抗いがたく、そして底知れぬ屈辱を受けることになるか。
自分がただの慰みモノとして、少しずつ理性を破壊され、卑しく堕とされていく。
その絶望の入り口に立たされていることを、このときの遥は、まだほんの少ししか理解していなかった。
逃げることなど絶対に許されない。ここから始まるのは、一方的で残酷な、精神と肉体の完全な支配の儀式なのだ。
ただ、悪夢のような夜の幕開けを告げる雨音だけが、静かに部屋の中に響いていた。


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