目隠しと配信ランプ、羞恥に沈む夜の序章
朝から重たい雲が垂れこめていた
夜、305号室
寿子は、前夜の命令どおり
ピンクのレース下着を身にまとい
ホテルの一室に静かに佇んでいた
顔は青白く
目の奥は不安と羞恥に揺れている
警備員はすでに準備を整えていた
三脚に据えられたビデオカメラ、
スマートフォン、
そしてノートパソコンには見たことのない配信サイトのページ
寿子は、部屋の端で震えていた
ベッドサイドの明かりが彼女の輪郭をやわらかく照らし出している
「今日は目隠しだ」
「配信もやるからな。カメラの前でオナニーしてもらう。自己紹介から始めてな」
低い声が部屋に響く
寿子の心臓が一気に早鐘のように暴れ出す
「配信……? やだ、無理……絶対無理です……」
涙が浮かぶ
「黙れ。嫌なら例の動画を今すぐ会社に送る」
「課長にもな」
脅迫の一言で
寿子の小さな抵抗は完全に砕かれる
「……お願いします、やめて……でも……」
呟く声は弱く震えていた
「それなら言うこと聞け」
「配信、始めるぞ」
男は黒いシルクのアイマスクを取り出し
寿子の目元にやさしく、けれど容赦なく結びつける
世界が暗くなる
視界を失ったことで
触覚と聴覚だけが鋭く際立つ
寿子の心は、絶望と羞恥で満たされた
「ベッドの真ん中に座れ」
「膝を開け」
「下着のままでいい。カメラに脚を向けろ」
命令に逆らえず、寿子は手探りでベッドに腰掛ける
自分がどんなふうにカメラに映っているかもわからない
それがかえって恐怖を煽る
警備員は寿子の髪をやさしく撫で
「いい子だ、そのままな」
「配信、スタート」
カチ、とクリック音
「じゃあ、まずは自己紹介からだ」
寿子の喉が詰まる
羞恥と恐怖で言葉が出てこない
「早くしろ。
名前と年齢、
自分でなぜここにいるかもちゃんと言うんだ」
「……」
深呼吸をひとつ
「す、寿子……です」
「二十三歳……」
「今日、命令されて、ここで……
え、オナニー配信、させられます……」
「……すみません……」
その声は小さく震えて
今にも涙が溢れそうだった
「もっと大きな声でだ」
「恥ずかしがる顔が見えないのは残念だな。
でもその分、声でみんなに伝わるからな」
「……」
寿子は震える手で膝を握る
警備員の気配がすぐそばにあり
目隠し越しに彼の視線や
レンズの向こうにいる無数の“誰か”の存在が
じっと肌に突き刺さってくる
「さあ、下着の上から自分で触ってみろ」
「配信見てるやつも楽しみにしてるからな」
「やだ……本当に無理です……」
必死の拒絶も
男の手に肩を押されて、
寿子は抗えなかった
「ここで断ったら今すぐ配信で全部バラす」
「会社名も本名もな」
恐怖に打ちのめされ
寿子の手はゆっくりと
自分の腿へと降りていった
太ももの柔らかな感触
下着越しに触れる自分の指先
その全てが現実感を伴わない
「お願いです……やめてください……」
呟きながらも
指先はレースの布越しに
膣のあたりをなぞる
「もっといやらしい声出せ」
「本当に感じてるみたいにだ」
寿子は
目隠しの下で歯を食いしばる
でも
心の奥底は既に絶望しか残っていない
指先がショーツ越しに膨らみをなぞるたび
布地が少しずつ湿っていくのを感じる
羞恥と恐怖で
息が詰まりそうになる
「……ん……やぁ……」
声が喉の奥で詰まり
涙がアイマスクの下に溜まる
「もっとだ、今度は自分でショーツをずらして直接触れ」
男の冷たい命令
寿子の手は震えながら
ピンクのレースをずらし
ゆっくりと自分の指で膣の入口をなぞる
感触はいつもと違う
カメラと男、
見えない“視聴者”たちが見ている
その事実だけで、身体は緊張で固まっていく
「指を中に入れてみろ」
「ちゃんと声に出せ。今どこをどう触ってるか実況するんだ」
寿子は嗚咽混じりに
自分の指で膣の中をなぞり
その全てを配信の向こうにいる誰かに
震える声で報告する
「い、今、指を……中に……入れました……」
「すごく、恥ずかしいです……」
「……あつい……こわい……」
目隠しの闇の中で
自分の心と体だけがはっきりと浮かび上がる
指を少しだけ動かすと
布越しに男がじっと見ている気配が伝わる
「もっと動かせ」
「二本、三本と増やしてみろ」
寿子は
心のなかで必死に抵抗しながらも
命令どおりに指を増やしていく
膣の中は、
痛みと違和感でぎゅっと締まり
そこに指を押し入れる度
涙が溢れる
「今、二本……中に……」
声がかすれて、震える
「もっといやらしい声を出してみろ」
「“気持ちいい”って言え」
寿子は声にならない嗚咽を飲み込み
唇を濡らしながら
「き、気持ちいい……です……」
そう言わされることが
どれだけ惨めで、
どれだけ屈辱的なのか
その痛みと苦しみが
全身を締め付ける
「ライブでコメントも来てるぞ」
警備員が楽しそうに言う
「“声が可愛い”“もっと指を深く入れて”だってさ。
ほら、ファンのために頑張れ」
寿子は
コメントが読まれている現実に
全身の血が凍る
「恥ずかしい……無理です……」
だけど、
“サボったら配信を課長にも社内にも送る”
その言葉が頭を離れない
指をゆっくりと膣の奥まで動かし
カメラの前で、見えない視聴者たちのために
自分を慰め続ける
「今……三本……」
「痛い……少し、痛いです……」
「でも、ちゃんと……動かします……」
涙が頬を伝い
唇が濡れていく
警備員は
「その顔、ほんとエロいな」
「次はクリも触れ。声を出しながらな」
そう命じる
寿子の手は小刻みに震え
目隠しの下で唇を噛みしめる
「……ん、はぁ……んっ……」
声が震え、
膣の奥が熱くなる
羞恥と恐怖だけで身体が反応していく
「もっとエロい声だ」
「“イキそう”って言ってみろ」
寿子はもう
自分が自分でないみたいだった
「……イキそう……です……」
「恥ずかしい……です……」
その言葉を言いながら
涙が止まらなかった
配信のランプが赤く光る
コメントは次々と流れていく
寿子は闇の中で
どこまでも壊れていく自分を
感じるしかなかった
「課長……助けてください……」
心の奥の祈りは
誰にも届かなかった
配信は止まらない
男はそのまま寿子の肩を抱いて
「今日はここまで」
「次はもっとエロいことを見せてもらうぞ」
そう耳元で囁く
寿子は目隠しのまま
震える身体をベッドに沈める
絶望と羞恥、
そしてライブ配信という終わらない脅し
新たな夜が、
静かに幕を開けていた


コメント