愛の舌──溶けてゆく、私の奥
シーツの上に裸のまま身を横たえた寿子は、
課長の手のひらが自分の頬に触れるたび、
どこか夢の中にいるような気がしていた。
照明は落とされ、
淡い間接光だけがふたりの肌を柔らかく照らしている。
見慣れたスーツの下に隠されていた課長の肉体。
程よく鍛えられた胸筋、男らしい骨ばった指、
そして何よりも──
その視線が、寿子の全身を包み込むようにやさしかった。
ふたりとも、もう何も身にまとっていない。
肌と肌が重なり合い、
静かな空間に、体温と吐息だけが混ざっていく。
その密度が、
寿子の呼吸を浅くさせていた。
「……ほんとうに、裸になってしまった……」
羞恥がこみあげる。
でも、それ以上に。
「この人に……ぜんぶ、見られてもいい……」
そんな気持ちが胸の奥で広がっていた。
課長の指が、寿子の首筋から肩へ、
そして鎖骨をなぞる。
舌先が、後を追うように触れてきた。
ぴと、ぬる……ちゅっ……
細かく、繊細に。
焦らすようなキスの連続に、
寿子の背中がわずかに弓なりに反応した。
そのまま舌が、胸元へと下がる。
固く尖っていく乳首に、課長の唇が吸い付くと──
「っ……あっ……や……」
声にならない息が喉から漏れた。
ぬちゅっ、ちゅっ、んちゅ……
吸われるたびに、熱が下腹に下りていく。
腰が浮きそうになるのを、
寿子は自分の手でシーツを握ることで必死に堪えた。
「こんなに……優しくされるなんて……知らなかった……」
課長の唇は乳首から離れると、
そのまま腹部を伝い、
おへその下へ、ゆっくりと移動していく。
腰骨の内側を舐め、
太腿の付け根にキスを落とすたび、
寿子はくすぐったさと疼きの間で、
思考が薄くなっていった。
そして──
彼の舌が、秘所のすぐ近くに触れた。
寿子の身体がビクンと跳ねた。
腿を閉じようとしたそのとき、
課長の両手が太腿を支え、ゆっくりと開いていった。
「恥ずかしがらないで……ここも、愛したい」
寿子は顔を両手で覆いながら、
かすかに首を縦に振った。
そして──
舌が、花びらに触れた。
「あ……っ……や、あっ……!」
びくびくと震える腰。
開かれたままの脚の間で、
課長の舌が、ぬるりと秘裂を這う。
ぺろ、ちゅ……くちゅっ……ぬめっ……
ゆっくり、浅く。
何度も、優しく、粘り気を持った舌が
寿子の蜜口をなぞっていく。
「んんっ……ああっ……そんな……っ……やっ……!」
けれど、もう止められなかった。
過去、無理やり与えられた快感とは違う。
押し付けられるのではなく、
包まれていくこの愛撫に──
「……わたし……愛されてる……っ」
そんな思いが込み上げてきて、
胸が締め付けられるように苦しくなる。
課長の舌が、クリトリスをとらえた瞬間──
「ああああっ……!」
寿子の背が反る。
「……きもち……いい……っ、だめ……っ……だめなのに……っ」
なのに、涙が出てくる。
愛されながら、こんなにも舐められることが、
こんなにも甘くて、くるしくて、幸福だなんて……
課長は舌を止めない。
むしろ、ますます深く、丹念に、
寿子の中を愛してくる。
花弁を開き、
溢れた蜜を吸い上げ、
舌先で小さく震える核を優しく責めていく。
「んんっ……くちゅっ、ぬめ……あっ……あんっ……!」
声を殺していたはずが、
いつの間にか喘ぎ声になっていた。
腰が浮き、
膝が震え、
指先はシーツを握りしめたまま動けない。
「課長……お願い……そんなに、したら……壊れちゃう……」
そう言いながらも、
寿子の身体は、もっと欲しいと震えていた。
舌の動きは、止まることなく続く。
とろとろと溶けた蜜が、太腿に伝い、
課長の唇がそれを飲み込むたび、
愛されている実感が全身を包んだ。
「わたし……この人の舌で……感じてる……」
「……幸せって……こういうことなのかな……」
喉から洩れる、切なげな吐息。
声にならない愛の震え。
そして──
課長の舌が深く、入口を探るように押し入ると、
寿子の身体がびくびくと震えはじめた。
「っ……んあっ、ああっ、もう……っ!」
甘い絶頂が、
波のように、奥の奥から押し寄せてくる。
「いく……いっちゃう……あっ……課長……!」
その名を叫んだ瞬間──
寿子の身体が跳ねた。
「ああっ……!」
熱く、甘く、
張り詰めていた全てがほどけるような絶頂。
ベッドの上で息を荒げ、
ぐったりと脱力する彼女の足元で、
課長は静かに顔を上げた。
口元には、寿子の愛が、
静かに光を反射していた。


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