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オフィスレディーが堕ちる夜:vol.44(優しい手付きで脱がされる服)
深夜のスイートルームは、ひどく静かだった。
高級ホテル特有の、わずかな空調の音だけが、二人の高鳴る鼓動と交差するように規則正しく聞こえてくる。外界の喧騒から完全に遮断された密室。この部屋にあるのは、自分とひろしの熱い体温だけだ。
遥は、ひろしの広く温かい腕の中にすっぽりと包まれたまま、ゆっくりと胸を上下させていた。
ちゅ…………っ。
彼から与えられる深いキスが続くたび、遥の身体の芯が甘く痺れ、見知らぬ男たちへの恐怖で凍りついていた心までが、熱い泥のようにに蕩けていくようだった。
「……もっと、わたしに……触れても、いいですか……?」
キスの合間に、遥はかすれた声で囁いた。それは、汚れてしまった自分が彼に抱かれることを恐る恐る許可する、悲痛な許しの言葉だった。
ひろしは言葉で答えず、代わりに遥の華奢な肩にそっと大きな手をかけた。
ゆっくりと、どこまでも慎重に。怯える小動物を驚かせないように、彼は遥のジャケットの襟を指先でそっと摘み、滑らせるようにして細い腕から脱がしていった。
ジャケットが床に落ち、肩のラインが露わになる。
薄いカットソー越しの素肌が冷たい空調の風に触れ、ほんのりと粟立つ。ひやりとした空気と、ひろしの火傷しそうなほど熱い指先の対比がひどく鮮明で、遥は無意識のうちにと身を竦めた。
「……寒くないか?」
「だいじょうぶ……です……っ」
強がるように答えた声には、明らかな震えが混ざっていた。それは決して寒さから来るものではない。愛する人に自分の裸を見られるという羞恥と、これから彼にめちゃくちゃにされるのだという圧倒的な期待が重なり合って生み出された、女としての強烈な熱だった。
ひろしは、もう片方の腕からもジャケットを完全に外し、それをソファに無造作に置いた。そして、遥のカットソーの裾に、そっと指を滑り込ませた。
「あっ……」
指の腹が、遥の下腹部の柔らかい肉に直接触れる。
あの忌まわしい警備員や見知らぬ男たちに、暴力的に引きちぎられた時とは全く違う。布越しに感じる温もり。ひろしはゆっくりと、まるで貴重な美術品を扱うように、布地を左右に開くようにして、上へ、上へと持ち上げていく。
至近距離で、無言のまま視線を交わす。
遥は顔を真っ赤に火照らせながら、彼の促しに応じるように、小さくこくりと頷いた。
(……全部、見せてあげる……。私の、汚れた身体を……)
それだけで、ひろしは迷うことなくカットソーを捲り上げ、遥の頭の上を通して完全に脱がせていった。
柔らかなブラジャーに包まれた双丘が、静かな部屋の明かりの下に露わになる。純白のレース。小ぶりで慎ましく、けれどどこか生々しい官能的なラインを描く胸元。
ひろしは一瞬、言葉を失ったように動きを止めた。その瞳には、単なる欲情を超えた、深い悲哀と愛おしさが入り混じった複雑な感情が浮かんでいる。
そして、遥の震える肩へと視線を落とし、滑らかな素肌の曲線を、まるで精巧な彫刻を愛でるかのように、熱い指先でそっとなぞり降ろした。
「……綺麗だ」
その低く掠れたひと言に、遥の身体が大きく跳ねた。極度の緊張で張り詰めていた目元が一気に潤み、頬が限界まで火照っていく。
「……そんな……。私なんて、全然綺麗じゃ……っ。いろんな人に、にされて……」
「綺麗だよ。君が、過去にどんな理不尽な暴力を受けて、どんなトラウマを抱えていても」
ひろしの声は、揺るぎない確信に満ちていた。
「今、俺の目の前で震えているこの身体が……どうしようもなく愛おしい」
それは飾られた言葉以上に、彼の手のひらの熱が、雄弁に語っていた。
彼はブラの細い肩紐を、そっと撫でるように指で滑らせて落とす。遥は目を伏せ、羞恥に耐えるようにゆっくりと背を丸めた。身を縮めて隠そうとするそのいじらしい姿が、ひろしの男としてのサディスティックな庇護欲をさらに煽っていく。
ひろしはフロントホックにそっと手をかけ、ゆるやかに、けれど確実に外していく。
カチッ……という小さなプラスチックの音と共に、純白のレースが左右に分かれ、遥の無防備な胸元がゆっくりと開かれた。
抜けるように白い肌。形の整った初々しいふくらみと、その先端で緊張のために硬く尖っている薄紅色の蕾。
震えながらも、ひろしの欲望に満ちた視線を受け入れようとする、健気な羞じらい。遥は無意識に、両腕で自分の胸を隠そうとした。だが、ひろしの大きな手が、そっとその細い手首を掴んで止めた。
「……隠さないで」
「恥ずかしがらないでくれ。……君のすべてが、愛おしいんだ」
その圧倒的な優しさに、遥の目からついに大粒の涙が溢れ落ちた。
「……こんなふうに、優しく見られるの……はじめて……っ」
ひろしの大きく温かい手が、そっと剥き出しになった胸元に添えられる。ザラリとした男の指先が円を描くように、柔らかな乳房の膨らみをなぞり、ゆっくりと、彼女の身体の奥深くに熱を広げていく。
その間も、濃密なキスは何度も、何度も重ねられた。
ちゅるっ…………じゅぷっ……。
熱い舌と舌が激しく這い回り、粘り気のある唾液が際限なく混じり合い、荒い吐息が交差する。遥は目を強く閉じたまま、彼の激しい口づけと愛撫に自分のすべてを委ねていた。唇の端から垂れる透明な糸さえ、今の遥にとっては彼と繋がっている証のように思えて愛おしかった。
そして──ひろしの手が、ついにタイトスカートの背中のファスナーにそっと添えられた。
遥はわずかに首を縦に振り、許可を出した。その瞬間、ゆっくりと下へ滑らせられたジッパーの金属音が、静寂の部屋の中にひどく官能的に響き渡った。
スカートが細い腰を通り、ストッキングに包まれた太腿をなぞりながら、ハラリと床へ落ちる。布が擦れるその微かな音さえ、空気が濡れているせいで信じられないほど淫らに感じられた。ひんやりとした空気が、下半身の無防備な素肌を撫でていく。
「……全部、見て……ください……っ」
「わたし……もう、課長には隠したくないんです……っ」
ひろしの血走った目が、下着一枚になった遥の全身を慈しむように、そして貪欲に見つめる。その視線が、指先が、ひとつひとつ、遥の身体にこびりついた羞恥心を丁寧に剥がしていく。
そのまま手を引かれ、ベッドサイドへとゆっくりと導かれる。
やがて遥は、ほとんどの衣服を脱がされ、下着だけの無防備な姿のまま、キングサイズのベッドの縁に腰を下ろしていた。純白のシーツの感触が太腿に触れ、これから起こる底知れぬ快楽を予感させる。
ひろしは彼女の前に跪くようにして、再び熱い唇を重ねる。
ちゅ……っ……んんっ。
舌と舌の生々しい絡み合い。力強く抱きしめられる腕。薄い下着越しに、彼のズボンが肉棒の硬さで大きく膨らみ、脈打っているのが直接伝わってくる。
遥は、彼から与えられる圧倒的な快感と愛情の濁流に、自分の心ごと完全に預けていくのだった。過去の凄惨な記憶も、未来の破滅の予感も、今はすべてこの甘い密室の空気に溶けていく。ただ、この身を焦がすような愛撫と、彼への狂おしいほどの依存だけが、今の遥にとっての全てだった。
ここまで読んでくれてありがとう
選択を変えれば、結末は変わります。
別のルートを試すか、他の物語へ。



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