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オフィスレディーが堕ちる夜―純愛か絶望か・・・(この様子を警備員に見られており、手紙を後日もらう)vol.3

職場・OL

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オフィスレディーが堕ちる夜―純愛か絶望か・・・(この様子を警備員に見られており、手紙を後日もらう)vol.3

オフィスの入り口のガラス扉の向こう、暗闇に紛れた巡回中の警備員の影が、コピー機の裏で重なり合うふたりのシルエットを、じっと見つめていたことを。

それから数日後。寿子のデスクに、差出人不明の茶封筒が置かれていた。

中に入っていたのは、一枚のプリントアウトされた写真と、短いメモ書きだった。写真を見た瞬間、寿子の目の前が一瞬、真っ白になった。

そこには、あの深夜のオフィスで、コピー機の影に隠れてひろしの背中にしがみつき、彼のスラックス越しにその熱に触れている寿子自身の姿が、信じられないほど鮮明に写し出されていたのだ。監視カメラの映像を切り取ったものではない。明らかに、意図して至近距離からスマートフォンか何かで撮影された画角だった。

『この写真が会社中に、そして課長の奥さんにバラされたくなければ、今夜十時、指定のホテルへ一人で来ること』

印字された無機質な文字が、寿子の脳内を暴力的にかき回す。

手が小さく震え、心臓が耳の奥でバクバクと破裂しそうなほどに高鳴る。息がうまく吸えず、過呼吸のような状態になりながら、寿子は慌ててその写真をバッグの底深くにねじ込んだ。

あれは、ふたりきりの秘密のはずだった。誰にも見られていないと、信じていた。だが、現実は違った。誰かがあのガラス越しに、息を殺して自分たちの痴態を覗き見ていたのだ。

(どうしよう……課長に迷惑かけちゃう……)

トイレの個室に駆け込み、寿子は便座に座り込んで頭を抱えた。もしこんな写真が会社中に広まったら、新入社員の自分だけでなく、妻子あるひろしのキャリアも、人生も、すべてが終わってしまう。それだけは絶対に避けなければならなかった。

その夜――。

寿子は、迷いに迷った末に、冷たい夜風が吹きすさぶ歓楽街の外れにある、ひなびたビジネスホテルの前に立っていた。

逃げ出したい。警察に駆け込みたい。だが、あの写真が送信ボタン一つでばら撒かれるかもしれないという恐怖が、寿子の両足をコンクリートに縫い付けていた。

夜の冷たい風にさらされながら、ホテルのネオン看板の下で凍えていると、不意に背後から声がした。

「……よく来たな。感心だよ、あんた」

低く、ぬめりのある不快な声。振り返った寿子の目に飛び込んできたのは、夜間のオフィスで何度かすれ違ったことのある、警備員の男の顔だった。

年齢は五十歳に近いだろう。無精ひげが目立ち、制服の着こなしもだらしがない。その濁った目の奥には、あからさまな劣情といやらしい光がギラギラと灯っていた。

「……な、なんで……あなたが……」

恐怖と羞恥、そして絶望が入り混じった声が、寿子の喉から細く漏れる。咄嗟に後ずさろうとしたが、男はにやりと笑い、自分のスマートフォンを寿子の顔の前に突き出した。

画面には、先ほど封筒に入っていたのと同じ、ひろしに抱きつく寿子の姿が映っていた。

「全部、俺のスマホにデータが入ってるんだよ。可愛いね、あんた……あんな真面目そうな顔して、深夜のオフィスで発情するなんてさ。こんなこと、会社にバレたら……あのエリート課長さん、どうなるだろうな?」

その瞬間、寿子の頬から完全に血の気が引いた。逃げ出したい気持ちを必死に抑えつける。強く握りしめたバッグのハンドルが、冷や汗で滑りそうだった。

「……で、どうすれば……あの写真を、消してくれますか……」

自分でも驚くほど、声が小さく震えている。

警備員の男は、品のない笑いを浮かべながら、ホテルのカードキーを寿子の胸元に無理やり押し付けた。

「ここに来たってことは、どういうことか覚悟できてるってことだよな?」

「……っ」

「あんたさ、あんな色っぽいことして……男に媚びてるくせに、俺みたいな底辺の言うことは聞けないってのか? 本当は、あんな固いの触って、下の方も濡れて感じてたんだろ?」

下劣極まりない言葉に、寿子は深く俯き、血が滲むほどに自分の唇を噛みしめた。身体の奥が、恐怖と、女性としての尊厳を踏みにじられる屈辱でガタガタと震える。

「やめて……お願いです。お金なら……少しなら払えます。だから……」

だが、警備員は一歩も引かず、寿子の肩を乱暴に小突いた。

「だったら、今すぐこの写真を全社員のメールアドレスに一斉送信してやるよ。どうなるか見物だな」

「やめっ……待って、ください……!」

寿子の心が、限界を迎えてひび割れる音を立てた。

(課長にだけは、迷惑をかけたくない――)

その一心だけで、寿子は死地に赴くような覚悟を決め、震える手で男からカードキーを受け取った。

ホテルのエレベーターに乗り込むと、ステンレスの扉に映る自分の顔が、まるで死人のように蒼白に見えた。

(どうしてこんなことに……。私、ただ……)

心のなかで何度も叫びながら、薄暗い廊下を歩き、305号室の前に立つ。

重いドアを開けると、すでに警備員の男は部屋の奥のベッドに腰掛けていた。安っぽい芳香剤と、タバコの染み付いた重苦しい空気が、狭い密室に充満している。窓のカーテンは固く閉ざされ、外の光は一切入ってこない。

「ここで素直に言うこと聞いてくれたら、誰にも写真は渡さないし、データも消してやる。……さ、こっちに来いよ」

寿子は唇を噛み、大粒の涙を床にこぼしながら、ゆっくりと、処刑台に向かう罪人のように警備員の前へ歩み寄った。

男は、近づいてきた寿子の細い手首を無遠慮に強く掴み、乱暴にホテルの硬いベッドの上へと引き倒した。

「……きゃっ……!」

「綺麗だな、あんた。近くで見ると余計にそそるぜ。普段から、ああやって男を誘ってんのか?」

タバコ臭い息と共に、ザラザラとした荒い手が寿子の白い頬をなぞる。ひろし以外の男性にこうして至近距離に迫られ、を直接触れられるのは寿子の人生で初めてのことだった。ひろしの時に感じたような温かいや安心感は微塵もない。ただただ不潔で、吐き気がするほどの嫌悪感と、圧倒的な暴力の恐怖で息が詰まりそうになる。

「……ひぐっ……どうして……」

私はただ、好きな人と、ほんの少しの時間を共有して、幸せになりたかっただけなのに。

声にならない絶望が、寿子の胸を締め付ける。警備員の男は、怯えて固まる寿子の上に馬乗りになると、彼女が大切に着ていた職場のブラウスのボタンを、引きちぎるような乱暴な手つきで外し始めた。

「やめっ……あ……!」

「大丈夫だ。あの課長さんより、俺のほうがちゃんと優しくしてやるよ」

男の卑しい手が、寿子の純潔な下着と、その奥にある未成熟な柔らかな胸元を無残に露わにする。寿子は抵抗してその手を振り払おうとするが、すぐ目の前にあるスマートフォンの画面が、脅迫の恐怖となって彼女の身体を金縛りにしていた。

「やっぱり、いい身体してるな……若くて張りがあって、最高だぜ……」

ズクリと、下腹部に嫌な痛みが走る。警備員の卑猥な視線と、品定するような執拗な手つきに、寿子の心はどんどん細かく砕かれ、壊れていく。

このまま、自分は男の欲望の捌け口として、どうなってしまうのか――。

あの夜、自分の内に芽生えた無垢で純粋な好意が、こんな悪夢のような凄惨な夜を呼んでしまったのだろうか。ひろしの背中に触れたことへの罰なのだろうか。

涙で完全に滲み、蛍光灯の光がぼやける視界の中、寿子は男の不潔な手が自分のスカートの裾をめくり上げるのを感じながら、必死に声を殺して耐えようと、自分の唇から血が滲むほどに強く噛みしめ続けた。

(課長……助けて……ひろしさん……っ!)

決して届くことのない、愛しい人の名前。

密室に響くのは、男の荒い呼吸音と、衣類が乱暴に擦れる音、そして寿子の絶望に満ちた嗚咽だけだった。

誰も助けに来ない冷たいベッドの上で、寿子はただひろしの温かい大きな手を思い出しながら、心の奥底で何度も何度も、彼の名を呼び続けていた。

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