白いマスクの下、配信前夜――晒される屈辱と心の崩壊
カーテン越しの朝の光が、部屋の隅々にまで入り込んでくる。
寿子はシーツにくるまりながら、まだ全身が震えていた。
自分で自分を慰めさせられ、全てを録画された後の虚脱感と惨めさ。
涙で腫れた瞼は重く、唇は噛みしめすぎて痛む。
ひろし課長は、スマホの画面を見つめながら何かを考えていた。
寿子は横目でその様子をちらりと見て、
胸の奥がひやりと冷たくなるのを感じる。
「……寿子、今度はライブ配信、してみようか?」
課長のその言葉に、心臓がドクンと跳ね上がる。
「ライブ配信……?」
頭の中が真っ白になった。
「ほら、さっきの動画もすごくいい反応だと思うし。
マスクをして、顔は隠す。
でも、君の身体と声は、リアルタイムで何百人もの男に見せるんだ。
どうだ、やってみよう」
信じたくない現実。
身体が強張り、言葉も出なかった。
(そんなこと、絶対に無理――お願い、やめて……)
必死で首を振る寿子。
だが、課長の視線は一切ぶれることなく、
不気味なほど冷静な声で畳み掛ける。
「やるよな? やらなきゃさっきの動画、会社のサーバーにでもアップロードしてやる。
みんな、お前のあの顔と声、知ることになる」
言葉が凶器となり、寿子の胸を切り裂く。
嗚咽がこみ上げてきたが、反論することすら怖くてできない。
黙り込んだままの寿子に、課長が白いマスクを手渡してくる。
ごく普通の、使い捨てのマスク。
だが、これが“匿名”の最後の砦だと思うと、
同時にこの布一枚にすがる自分が、
いかに無力で哀れかを痛感する。
寿子はゆっくりとマスクをつけた。
鼻と口が覆われるだけで、顔の半分は隠れる。
けれど、涙で潤んだ目も、汗ばんだ肌も、
録画や配信のカメラにはすべて残されてしまう。
(私は……いったい何をしているんだろう……)
ふらふらとベッドの端に腰を下ろす。
太腿にはまだ、愛液と精液の混じった感触が残っている。
恥ずかしくて、脚を閉じることさえ許されなかった。
課長がスマホを配信アプリに切り替え、
「今からテストで、配信開始ボタンを押してみるよ」と告げる。
「……寿子、そのままカメラの前に正座して」
従うしかなかった。
寿子は膝をつき、布団の上で小さく正座した。
課長がスマホを三脚にセットする。
レンズが寿子の方をじっと見ている。
「ほら、もっと身体をよく見せて。
胸も、脚も、全部。
マスクはしてるんだから、平気だろ?」
心臓が激しく鼓動を打つ。
正座のまま、両膝をゆっくり開かされ、
全裸の身体をカメラの前に晒す。
羞恥に全身が震え、寒気が襲う。
「練習だ。少し触ってみて、どう映るか試そう」
課長の指示に、寿子はためらいながらも、
胸に手を当て、乳首を撫で、
腹の下に手を滑らせる。
(見ないで、見ないで……)
涙がマスクの内側に溜まり、
呼吸が熱く曇る。
「もう少し大きく声を出して。
男たちが君の喘ぎを待ってるからな」
絶望的な気持ちで、寿子は唇を震わせる。
「んっ……やだ……見ないでください……お願い……」
カメラの先に、何百人もの見知らぬ男たちの目があると想像しただけで、
心が恐怖と羞恥でちぎれそうになった。
配信のスタートボタンを押す直前――
課長がスマホの画面を寿子に見せる。
「ほら、もう待機してる人が十数人いる。
コメントも、もう流れ始めてるよ。
“新入り来た?”“どんな女?”“もっと見せろ”……
どうだ、緊張してきたか?」
寿子の心は限界だった。
指先は冷たく、太腿も小刻みに震えている。
(私は……私じゃない……)
マスクをしていても、
その向こうにいるのは「寿子」自身だ。
晒される恥ずかしさ、
絶望と、抗えない屈辱の混合――
涙はとめどなくマスクの内側を濡らした。
「配信始めるぞ。
始まったら、俺の指示通りにオナニーして。
声も、ちゃんと出して。
イクまでやめるな。
もし止めたら、顔も全部映すからな」
生きた心地がしなかった。
カメラの赤いライトがつき、
課長がライブ配信をスタートさせる。
画面越しに流れるコメント。
「新入りだ」「マスクえろい」「声出せよ」
心を貫くような言葉が、次々と押し寄せてくる。
寿子はマスクの奥で泣きながら、
震える指で太腿を開き、
胸を揉み、乳首をいじり、
股間をそっと撫で始めた。
何も感じない。
涙と屈辱で、快感なんてひとかけらも湧き上がらない。
それでも、配信されている現実が、
寿子の指を止めさせなかった。
「ほら、ちゃんと声を出せ」
課長の冷たい声。
「……ん、んんっ……やだ……お願い、やめて……」
か細い声がマスクの下から漏れる。
画面には、裸で震えながらオナニーを強いられる寿子の姿、
汗ばんだ肌と涙に濡れた目が、克明に映し出されている。
「もっと脚を開け」
「手を止めるな」
コメント欄にも、見知らぬ誰かが指示や下品な言葉を書き込む。
寿子の心はもう限界だった。
無理やり乳首をつまみ、膣の奥まで指を入れる。
涙を流しながら、
「ん、やだ、いや……」と恥ずかしい声を出す。
だが快感はほとんど訪れない。
身体は硬く、膣はしめつけ、
ただただ恥ずかしさと絶望だけが、
全身を埋め尽くしていく。
カメラの向こう、何十、何百という男たちが、
自分の裸体と泣き顔、かすかな喘ぎ声を見て興奮している。
その現実に、寿子の心は壊れていった。
(やめて、誰か、助けて――)
マスクの下で嗚咽を漏らし、
指は涙と愛液に濡れながら、
絶望の配信が続いていく。
もう元には戻れない。
寿子は配信カメラの前で、
壊れた自分を晒し続けるしかなかった。


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