次の犠牲者 — 明日、三人目を
静まり返った控え室。
スタジオ撮影の全てが終わったあと、遥と綾香はバスローブを羽織ったまま、ぐったりとソファに沈み込んでいた。
太腿には、まだ乾ききっていない精液のぬめり。
舌の奥には、男たちの体液の苦味が残っている。
身体の震えも、収まらない。
だが——ひろしの声が、それを一蹴するように響いた。
「……ふたりとも、ご苦労さん。いい画、撮れたよ」
褒め言葉など、何の慰めにもならなかった。
ただ、ふたりは無言で俯いたまま、喉の奥を鳴らす。
「さて、次の撮影なんだけどさ。明日、**“三人目”**を連れてきてもらうよ」
「……えっ?」
遥が、顔を上げる。
綾香も目を見開いたまま、固まっていた。
「ふたりの友達でいい。“同じ系統”が理想だな。
清楚で、処女っぽくて、ちょっと男慣れしてない子。
ね? ふたりの周りにいるでしょ、そういう子」
「……そんな……っ。そんなの、ムリ……!」
綾香が拒絶する。
だが、ひろしは静かに微笑んだ。
「無理じゃないよ。
だってさ——お前たち、もう**“そっち側の人間”**なんだから」
ぞくり、と背筋が冷える。
「今日、カメラ回ってる前で中出しされて、顔に精液つけて喘いだ女が、
今さら“私は清純派”なんて言えるわけないよな?」
「っ……!」
「だからさ。次は**“勧誘する側”**に回ってもらうんだよ。
言い訳はいらない。こっちはもう撮影スケジュール、明日で組んでるから」
遥は息を呑んだ。
「……そ、んな……勝手に……!」
「勝手に? そっちこそ勝手だったじゃん。
“契約内容、よく読まずにサインした”のは誰?
“自分の意思で腰振ってイッた”のは、どっち?」
反論できなかった。
すべて——事実だった。
ひろしは、手元のファイルを開き、1枚の書類を取り出す。
そこには、今日撮影された遥と綾香の写真、そして——
「推薦モデル:紹介者責任制度」と記された新たな契約書。
「次の子を連れてきたら、今回の撮影分の違約金は“免除”してやる。
その代わり——紹介者責任。つまり、もしその子が逃げたら、
“お前ら二人がその分、身を張って支払ってもらう”って契約」
「……っ」
「さあ、誰を連れてくる?」
沈黙が落ちた。
遥も綾香も、目を逸らしたまま言葉を失っていた。
しかし——頭の中に、名前が浮かぶ。
——里佳(りか)。
同じサークルの後輩。
純粋で、男と目も合わせられないような子。
自分たちと同じ、“最初の自分”を持っている子。
(……もし、里佳だったら……)
遥の中で、何かが動いた。
(自分たちだけが、こんな目に遭うなんて、不公平……)
その感情は、明らかに“正義”ではなかった。
だが、壊れた心にとって、それは唯一の逃げ道だった。
ふと、綾香と目が合った。
綾香も、同じ名前を思い浮かべていた。
「……明日、連れてきます……」
遥が呟くように言った。
綾香も、ただ黙ってうなずいた。
その瞬間、ひろしは満足げに笑う。
「いい子だ。じゃあ、明日。
楽しみにしてるよ、“三人目の処女”を」
扉が閉まる音が、重く響いた。
ソファに残されたふたりの少女は、
もう“友達”ではなかった。
明日、友達を売る。
その現実が、彼女たちの魂を静かに蝕んでいく。
サインの罠 — 3人目の少女「里佳」
翌日、スタジオのドアが再び開かれる。
中に入ってきたのは、遥と綾香、そして——新たな少女。
「……こんにちは。あの……今日、ちょっとだけって……」
ぎこちなく笑う少女の名前は、里佳(りか)。
大学の同じゼミで知り合った後輩。
大人しそうな服装に、地味なメイク。
男と目を合わせるのも苦手な、まさに“素材”として理想的なタイプ。
遥は、引きつった笑顔で肩に手を置いた。
「大丈夫。最初はね、ほんとに“ポーズだけ”。
この前、わたしたちもやったから」
「う、うん……ちょっと緊張するけど、頑張ってみる……」
ひろしがカウンターに書類を並べる。
「これ、撮影に必要な契約書ね。内容は軽く目を通して。
もし読みにくかったら、簡単な説明もできるから」
テーブルの上に置かれたのは、
かつて遥と綾香がサインしたのと同じ“罠”の契約書だった。
【演出に同意すること】
【撮影進行に伴う内容変更は現場判断により可能】
【拒否による撮影中止は違約金が発生】
小さな文字でびっしりと並んだ項目を、里佳は首を傾げながら目で追う。
「……えっと、これ……つまり?」
遥がすかさず笑顔で答える。
「ポーズとか、衣装とか、その場でちょっと変わることがあるってだけ。
変な内容じゃないから、大丈夫だよ」
——遥自身、昨日まで“同じ立場”だった。
だが今は、自分が“連れてくる側”にいる。
里佳は不安げな表情のまま、ボールペンを手に取り、サインを書いた。
——その瞬間、運命は決まった。
* * *
控え室で着替えを終えた里佳が出てきたとき、
スタジオの空気が一変した。
彼女が着ていたのは、水着というにはあまりに過激すぎる極小ビキニ。
乳首ギリギリを布が覆い、下半身も紐のようなデザイン。
まるで“見せるため”だけに設計された衣装だった。
「え……ちょ、ちょっと、これ……!?」
「可愛いよ。スタイルいいから、こういうのも映える」
ひろしがにこやかに褒める。
だが、スタッフの目線が舐め回すように彼女の身体を見ているのを、里佳は感じ取っていた。
「こ、こんなの、恥ずかしすぎて……!」
「でもサインしたよね?
契約上、演出には同意したことになってる。
今さら“着たくない”は通らないよ?」
遥と綾香が、遠巻きに見守っている。
その視線に、里佳は混乱する。
——どうして、ふたりは何も言わないの?
「じゃ、ポージングから。脚を開いて、手は頭の後ろね。
腰をくいっと反らせて。そうそう、カメラ目線で。笑って」
カシャッ。
カメラのシャッターが鳴るたびに、羞恥が増す。
脚の付け根ギリギリ。
ビキニの中が浮かび上がり、乳首の輪郭がライトに透ける。
「次、四つん這いになって。お尻をもっと突き出して。
カメラマン、後ろからズームいける?」
「ひっ……や、やだ……!」
「演出だよ。契約、読んだでしょ?」
完全に“逃げ道”を塞がれていた。
脚を開き、尻を突き出し、男たちの視線とカメラに晒される。
パンツの隙間から、うっすらと秘部の柔らかさが覗いていた。
「はい、次の演出いこうか。
今度は、“フェラ”だね」
「……え……?」
一瞬、時間が止まった。
「そこに座ってる男優に、膝をついて、咥えてあげて。
大丈夫、咥えるだけでいいから。舐めなくても、最初はね」
「そ、そんな……無理です……っ!!」
「でも、断ったら違約金。
サインしたのはあなた自身。しかも今日は動画撮影も入ってる。
もしキャンセルされたら、その分の損害も発生するよ?」
遥が、ゆっくりと近づいた。
「里佳……大丈夫だよ。最初はわたしも怖かったけど……
やってみたら、平気だった」
綾香もそっと寄り添う。
「咥えるだけ、だから。舐めなくてもいい。
わたしたちも、最初そうだったから……ね?」
友達に言われて、里佳の心は崩れる。
「……ほんとに……咥えるだけ?」
「うん……そう」
男優の前に、里佳が跪く。
ビキニの谷間から、震える胸が溢れそうに揺れている。
目の前に突き出されたのは、怒張した男の性器。
ずしりと重そうなそれに、恐る恐る顔を近づける。
「ひっ……く、くさ……い……」
鼻をくすぐる男の匂い。
それでも、逃げられない。
そして——
「……んっ……ふ……」
唇を開き、先端を咥える。
男の吐息が漏れ、スタッフたちのシャッター音が響く。
遥と綾香が、その光景を見つめながら、
どこか安心したような、狂気に近い表情を浮かべていた。
——これで、“自分たちだけじゃない”。
「はい、もうちょっと深く咥えて。舌、使って。
あとは慣れだよ、里佳ちゃん。撮影は、まだまだこれからなんだからね」
ゆれる視線と濡れた唇
「……ほんとに……咥えるだけで、いいんですか……?」
声は、小さく震えていた。
スタジオの空気が、異様に静かだった。
スタッフたちはカメラを構えたまま無言。
遥と綾香は、控えめな笑みを浮かべながら、
ゆっくりと里佳の背に手を添えていた。
里佳の視線の先。
男優の足元、その股間にそびえるモノは、
肉厚で、熱く、まるで意思を持つように脈動していた。
目を逸らしたくなる。
けれど……視線が、勝手に吸い寄せられる。
遥がそっと囁いた。
「だいじょうぶ。わたしも綾香も、最初は怖かったから……。
でもね、ちゃんと最後までできた。ちゃんと“女優”になれたんだよ」
綾香もうなずく。
「里佳なら、できると思う。見てたけど……キレイだった。
肌も、姿勢も、ポーズも。だから、ほんとに、もう一歩だよ」
ふたりの言葉は、慰めにも感じた。
でも同時に、優しい檻のようでもあった。
(……逃げられない。けど……)
——ほんとうに、わたし、やれるの?
男の目が、何も言わずに里佳を見つめている。
あからさまな欲望。
けれど、どこかで「黙って任せる」という無言の期待も感じた。
(この人の……コレを、咥えるの……?)
顔が熱くなる。
恥ずかしい。気持ち悪い。怖い。
でも、どこかで——“選ばれてる”ような気もしていた。
「……やってみます……」
声は、自分のものとは思えなかった。
遥が静かにうなずいた。
「……うん。じゃあ、ゆっくりでいいよ。ほんとに」
綾香が、水を含ませたタオルを差し出してくれる。
里佳は、それで唇をそっと濡らした。
たったそれだけの動作なのに、口の中が熱く痺れるように感じる。
男優の前に膝をつく。
乳首の先が震え、極小のビキニが肌に張りつく。
近い。
男の匂い、肌の熱、汗、そして——性の気配。
(これが……ふたりが、昨日まで……してたこと)
遥と綾香の目の奥に、かすかな哀しみと興奮が交差している。
その目が、今の自分にも注がれている。
指先が震えながら伸びて、
男の根元に触れた。
ぬるりと、生きているような弾力。
熱い。
「はぁ……っ」
知らずに吐息が漏れる。
遥が、そっと囁く。
「ゆっくり、口にあてて……。焦らなくていいよ」
里佳は頷き、目を閉じた。
(いくよ……もう、戻れない)
唇を押し当てる。
先端が、湿った口内に触れる。
その瞬間——
ビクッと、男の身体が小さく跳ねた。
「ん……っ、ふ……」
咥える。
少しだけ。けれど、確かに自分の口に、それがある。
唇をすぼめ、舌をそっと添えてみる。
味は、想像よりも生々しく、重かった。
(これが、男の人の……)
「上手……だよ。里佳、ちゃんとできてる」
遥の声が優しく響く。
綾香も、そっと後ろから背中に触れる。
「もうちょっと舌、動かしてみて……。なめる、って感じで……」
言われるまま、舌を小さく上下に動かす。
ヌチ……と音が鳴る。
喉の奥が痺れ、熱が下半身にまで広がっていく。
男の吐息が、荒くなる。
ぐっと腰が前に動き、自然と奥まで入りそうになる。
「んっ、んんっ……っ!」
唾液が垂れ、顎からこぼれ落ちる。
けれど、もう止められなかった。
里佳の心の中で、
なにかが“越えてはいけない線”を超えていった。
「……すごいな、ほんとに初めて?
ここまでやれる子、なかなかいないよ」
ひろしの声が響いたとき、
里佳の頭の中は、もう言葉でいっぱいだった。
(……わたし……もう、戻れない。だけど……)
(身体が、もう、次を……)
男のモノが、ますます熱を帯びて膨らんでいく。
里佳の唇の端から、光る糸が伸びていた。
】喉奥で弾ける — 境界を超えた日
男の吐息が、次第に粗くなっていく。
その音が、里佳の耳に直接響いてくる。
膝を床につき、唇をすぼめたまま、彼のモノをくわえた姿勢。
照明の光が、舌にまとわりついた唾液を艶めかしく照らし出していた。
「んっ……んん……ふっ、くっ……」
顎が少しずつ痛くなる。
喉の奥がくすぐったく、息をするたびに体内の熱が上がっていく。
(……なんで、わたし……こんなこと……)
心の中では、何度もそう繰り返していた。
けれど、そのたびに——遥と綾香の視線が胸を締めつけてくる。
「大丈夫。……すごく、うまいよ」
遥が小さく微笑みながら言う。
綾香も、ほんの少しだけ、心配そうに、けれどどこか誇らしげにうなずいていた。
(……ふたりも……こうやって、やったんだ)
自分だけじゃない。
そう思った瞬間、ほんの少し、孤独感が和らいだ。
——でも、それは同時に、
**“もう後戻りできない”**という静かな実感でもあった。
男の手が、ゆっくりと彼女の頭に添えられる。
「くっ……そろそろ……っ」
その声に、里佳は本能的に察した。
(——出る……!?)
逃げようかと思った。
けれど、その瞬間、なぜか頭のどこかで、別の声が囁いた。
(ここで逃げたら、“本物”になれない)
遥と綾香と、同じ場所に立てない。
そんな気がして、目を閉じて、覚悟を決めた。
次の瞬間だった。
ビクンッ、と男の身体が震え、
ぐっ、と奥まで差し込まれた。
「ん……っ!? んぐっ、ぅぅっ……!!」
ドクッ、ドクッと熱い液体が舌に叩きつけられる。
粘度のある、ぬるぬるとした感触が口いっぱいに広がる。
(あ……くさい……っ)
生臭さと塩気、そして喉を通る重み。
飲み込むこともできず、舌の上で溺れるような感覚。
「くふっ……んんんっ……!」
喉の奥に数回跳ねてから、最後の一滴まで押し込まれるように流し込まれた。
口の中で精液が混ざり、だらりと顎を伝って垂れた。
遥がそっとティッシュを差し出してくれる。
震える手で口元をぬぐいながら、
里佳は、吐き出すことも、飲み込むこともできず、ただ——呆然としていた。
男が息を整えながら離れる。
静かなスタジオの中で、
精液を口に含んだままの自分だけが、取り残されていた。
「里佳……すごいよ。
……わたしより、ちゃんとできてたかも」
遥が、やわらかく微笑む。
綾香も、小さく手を握ってくれた。
「もう、完全に“こっち側”だね」
その言葉に、里佳の胸がドクンと脈打つ。
(……そう、なのかな)
さっきまであった拒絶も、羞恥も、
いまはただ、遠くの景色のように感じる。
残っているのは、
唇の内側にまとわりついた、ぬるい精液の味。
舌先が、それを確かめるように動く。
(……わたし、もう戻れない……)
だけど、その“戻れない感覚”は、なぜか冷たくなかった。
「さあ、これで全員揃ったね。遥、綾香、里佳。
この3人で、次のパッケージ撮るよ」
ひろしの声が、事務的に響いた。
「テーマは、“純情大学生、全員中出し3P”。
妊娠リスク? いいじゃん、リアルでさ」
その言葉に、遥と綾香が小さく笑い、
そして、里佳も——かすかに口元を歪めた。
微笑ではなかった。
だけど、それはもう、拒絶でもなかった。
こうして、
3人目の少女は完全に越えてはいけない境界を、越えた。


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