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【職場・OL】オフィスレディーが堕ちる夜:END(静かなる罰と罪深い抱擁)
車が向かう先は、街灯の光すら届かない、もっと深い闇の底だった。
深夜、誰も通ることのない人気のない山間の裏道。ひろしはハザードを点滅させ、未舗装の空き地に車を止めた。ヘッドライトを消すと、完全な暗闇が周囲を包み込む。
ゆっくりとドアを開け、車の外に出る。ひろしは無言のまま車の後ろへと回り、トランクを乱暴に開けた。
「これから、お前に……償ってもらう」
ひろしの瞳には、冷たく静かな、底知れぬ怒りの炎が燃えていた。
トランクの中に転がされているのは、あの夜、全ての元凶を作った警備員の男だった。後部座席から引きずり出され、手足を太い結束バンドで拘束された男の口からは、布の猿轡越しにくぐもった呻き声が漏れ続けている。
男は目隠しをされており、今自分がどこに連れてこられ、何が起きているのか、まだ完全には理解していないようだった。ただ、目の前に立つひろしの放つ異様な殺気に震え、芋虫のように身をよじっている。
だが、現実の恐怖はすぐに迫ってくる。
ひろしはトランクの隅から、ひとつの工具を取り出した。黒く油の染み込んだ厚手の布の中に、それは重々しく収まっていた。
大型のペンチ。
電線や太いワイヤーを切断するための工具ではない。それは、明らかに人間の肉体に“触れる”、あるいは“潰す”ことを目的とした無骨な鉄の塊だった。
ひろしの目は極めて冷たく、これ以上の言葉はなかった。
ただ――「遥に二度と、汚らわしい指一本触れさせない」。
その強烈な想いだけが、彼の全身の血を沸騰させていた。あの純真で可愛らしかった遥。彼女の純白の肌を暴力で蹂躙し、未開だった蕾を無理やりこじ開け、汚らわしい精液の海に沈めたこの男だけは、絶対に許すわけにはいかなかった。
革の手袋をつけ、ひろしは警備員のズボンを乱暴に引き裂いた。布が破れる嫌な音が響き、下着ごとひん剥かれた男の下半身が、冷たい夜気に晒される。
「むぐっ!? んーっ、んんーっ!!」
恐怖で縮み上がった男の卑小な肉塊に、ひろしはペンチの冷たく重い鉄の顎を容赦なく添えた。遥の柔らかな粘膜を無惨に引き裂き、一生消えない絶望のトラウマを植え付けた凶器。その忌まわしい肉棒の根元を、鉄の歯でがっちりと挟み込む。
「……自分のしてきたことを……その身体で償え」
金属が急所に食い込んだ瞬間、警備員の身体が感電したように激しく跳ね上がった。
「んぐあぁぁぁぁっっ!!!」
猿轡越しの絶叫が、密閉された夜の山中に虚しく響き渡る。男の全身が限界を超えた恐怖と痛みで痙攣し、目隠しの下からボロボロと涙と鼻水が溢れ出す。
そして。
ひろしは一切の躊躇なく、ペンチの柄に全体重をかけて握りしめた。
メリッ……ミシッ……グチュッ……!
硬い海綿体が潰れ、肉が破裂する生々しい音が響く。
「んがっ……! がはっ、あぁぁぁっっ!!!」
鼓膜を破るほどの絶叫。凄まじい振動と痙攣。強烈な血の匂いと、排泄物の臭いが混ざり合って漂う。
だが、ひろしは目を逸らさなかった。遥が受けた肉体的、精神的な痛みに比べれば、こんなものは到底罰には値しない。容赦もなく、ただ静かに、淡々と――男の急所を完全に破壊していく。
「もうお前は……二度と、女を踏みにじれない」
全てが終わった時、警備員は完全に意識を失い、白目を剥いて血と失禁の海の中で静かに痙攣しているだけだった。もはや男としての機能は完全に失われ、二度と回復することはないだろう。
ひろしは血まみれになったペンチを投げ捨て、男をトランクの奥に押し込んだ。しばらくその場で車のボディに手をつき、荒い呼吸を繰り返す。
心臓が早鐘のように打ち鳴らされている。手が震えている。
だが、後悔は微塵もなかった。
「……知らなくていい。遥には……」
この手が血に染まり、修羅の道に堕ちようとも構わない。遥の壊れた心を少しでも守れるのなら、それでいい――ひろしは本気でそう思っていた。
車は再びエンジンをかけ、暗闇の山道から、白み始めた街へと戻っていく。
同じ頃、遥は自室で一人、冷たいベッドの上にたたずんでいた。
スマートフォンを握りしめたまま、画面を見つめる。メッセージも着信もないまま、時間だけが虚しく過ぎていく。
「どうして……来ないの……?」
昨夜、あの警備員から「いつもの地下駐車場で待っている」という脅迫めいたメッセージが来ていたのだ。しかし、震えながら駐車場に向かった遥の前に、男はとうとう現れなかった。
また何か新しい絶望の種を仕掛けられているのではないか。恐怖、安堵、不安……すべてがドロドロに交じり合い、一睡もできないまま朝を迎えていた。
それでも、今日は会社に行かなくてはならない。逃げる場所など、今の遥にはどこにもないのだから。
重い足取りで会社に向かう通勤路。少しだけ俯きながら歩いていた遥は、ふと前方に立つ人影に気づいて足を止めた。
ひろしだった。
彼は何も言わず、朝の冷たい空気の中で、ただ静かに遥を見つめていた。その姿を見た瞬間、遥の心臓が小さく跳ねる。
驚きと戸惑いがない交ぜになりながら、遥は震える声で挨拶をした。
「……お、おはようございます」
「おはよう」
たったそれだけの会話。いつもの、上司と部下の挨拶。
だけど、その数秒の沈黙の間にふたりの間に流れる空気は、昨日までとはまるで違っていた。昨夜、彼の車の中で犯したあの行為。汚れた自分を受け入れてくれた彼の温もりが、遥の記憶に焼き付いている。
「昨日、ちゃんと……眠れた?」
ひろしの静かな問いに、遥はふと顔を伏せて小さく頷いた。
「……はい……」
嘘だった。眠れるわけなどなかった。でも、彼にこれ以上心配をかけたくなかった。
ひろしは、遥の嘘を見透かしたように、静かにうなずいた。
「……なら、よかった」
遥がおずおずと視線を上げた時、彼の目に、決して揺らぐことのない決意のような、そしてどこか深い哀しみのような光が見えた。
次の瞬間だった。
周囲の目も気にせず、ひろしは無言のまま一歩踏み出し、そっと遥の華奢な肩を抱き寄せた。
「……あっ……」
真新しいスーツの微かな香り。しなやかで、しっかりとした大人の男の腕。遥は、その広い胸の中で思わず息を止めた。
決して強くはない。乱暴でもない。でも、この世界から遥を隠し、全てから包み込むような、絶対的な抱擁だった。
「……課長……?」
戸惑う遥の声に、ひろしは言葉を返さなかった。ただ、遥の頭に優しく大きな手を置き、その髪を慈しむように撫でるだけだった。
遥は知らなかった。
自分がずっと怯えていたあの忌まわしい警備員が、もう二度と自分の前に現れることはないということを。自分を優しく包み込んでいるこの温かい腕が、たった数時間前にどれほど凄惨な闇と血の匂いを通ってきたのかということも。
ただ、遥の心に浮かんだのは、絶対的な安心感だった。
(――たとえ、この関係が正しくなくても。この人に抱かれるなら、きっと私は……)
ひろしには妻がいる。帰るべき温かい家庭がある。それでも、傷つき壊れた遥の存在が、彼の心を狂わせ、動かしてしまったのだ。
守りたい。汚れたこの残酷な世界から、あの細く震える肩をどうにかして引き離してやりたい。
それが、決して許されない大罪だとしても。家族に対する裏切りだとしても。
「この腕の中だけは、誰にも汚させない」
ひろしの瞳には、後戻りできない深い決意と覚悟が宿っていた。
そして遥は、その罪深い腕の中で、ほんのわずかに、けれど確かな安らかな息を吐いた。
何も知らずに。何も問わずに。ただ、狂気に満ちた歪な純愛という名の鳥籠の中で、永遠に目を閉じることを選んだのだ。

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