青の誘惑、白の夜――寿子とひろし課長の、密やかな衝動
寿子は隣で軽やかな足取り。
白いズボンのラインが、街灯に浮かび上がる。
青のセーターの下、柔らかな体温がすぐそこにある気がした。
——このとき、ひろし課長は己の「力」を発動させる。
(この力……寿子の心も、身体も、俺の思い通りに……)
「課長、ちょっと……今夜、少しだけ付き合ってくれませんか?」
彼女の声は、酔いと甘さが入り混じった囁きだった。
寿子の明るい瞳が、一瞬だけ虚ろに揺れる。
だがその奥には、彼女の意識がしっかりと息づいていた。
操られながらも、すべてを「感じて」いる寿子。
夜の街角、二人は柏駅前のホテル街へと向かった。
寿子は、自分の意思ではないのに、自分の口で誘いの言葉を紡ぐ。
「課長……わたし、課長と一緒にいたいです……ホテル、行きませんか?」
自分が何をしているのか、うっすらわかっている。
けれど、身体が勝手に動く。
その背徳感が、全身に妙な熱を呼ぶ。
ホテルのロビーに足を踏み入れ、
エレベーターの鏡に二人の姿が映る。
寿子はふと、自分の頬が紅潮しているのに気づいた。
操られているはずなのに、どうしてこんなに、胸が高鳴ってしまうのか。
部屋のドアが静かに閉まり、
二人きりの密室——
寿子は、課長に向かって正面から立つ。
「課長、わたし……ずっと課長のこと、好きでした……」
それは、本心からの告白なのか。
それとも、「操られて」口にしてしまったものなのか。
自分でももう、わからない。
ひろし課長の瞳が、激しく揺れる。
「寿子……俺は……俺は既婚者だ。いけないことだと、分かってる……」
(だけど、もう理性は限界だ……)
寿子の指先が、課長のシャツの裾にそっと触れる。
操られているはずなのに、自分で動いている感覚もどこかに残る。
「課長……わたしに、キスしてください」
寿子の声は、かすかなためらいと羞恥、
そして消せない高揚を帯びていた。
ひろし課長は、その呼吸の荒さを押し殺すように、
ゆっくりと寿子の唇に自分の唇を重ねた。
——柔らかい。温かい。ずっと夢見ていた、彼女の唇の味。
その瞬間、寿子の頭の中に、白い光が弾けた。
操られているだけのはずなのに、自分の意志で課長を求めてしまう。
「……課長、もっと……」
二人の距離が、どんどん近づいていく。
寿子は自分で服を脱ぐことすら、どこか夢うつつの中で受け入れていく。
(なにをしてるんだろう、わたし……なのに、身体が、心まで熱い……)
ひろし課長は寿子の頬をそっと撫で、
「ずっと、君に触れたかった……でも、俺には家庭があって……」
その声は、渇いた欲望と抑えきれない衝動が絡み合う。
寿子の青いセーターが、ひろしの手でゆっくりと肩から滑り落ちる。
白のズボンが、足元でそっとほどけていく。
白い肌、露わになった胸元が、ベッドサイドの灯りに浮かび上がる。
寿子は自分が何をしているのか分からないまま、
だけど、課長に抱きしめられることだけを、
心の奥で強く、強く望んでしまっていた。
「課長……わたし、止まらない……」
ひろし課長は、寿子の熱を全身で受け止めながら、
「……ごめん。だけど、今夜だけは、全部を君にあげたい。」
そう、囁いた。
二人は互いの身体を、ゆっくりと、確かめ合う。
操られているはずなのに、寿子の奥底から湧き上がる快感が、
ひろし課長のすべてを、受け入れていく。
(もう、どうなってもいい……今夜だけは、課長のものになりたい……)
ベッドのシーツに指を絡め、
寿子は自分の名前を、課長の腕の中で何度も呼ばれる。
そのたび、身体がビクンと跳ね、
頭の中が真っ白になっていく。
「課長……なにをしてるのか、わからない。でも、嬉しい……」
彼女の瞳に涙が浮かび、
けれどその口元は、安堵と陶酔に微かに微笑んでいた。
時が過ぎていく。
操られたままの意識で、
寿子は自分が女であること、部下であることすら忘れそうになる。
ひろし課長は、罪悪感と幸福の間で何度も言葉を詰まらせ、
最後はただ、寿子の名を何度も抱きしめながら呼び続けた。
夜が明ける頃、
寿子は課長の胸の中で、「わたし、本当はずっと、課長に……」と、
涙混じりに囁いた。
操りの力が消え、
静かな朝焼けが、二人の身体を優しく包み込む。
寿子は自分が何をしたのか、
それでも、もう後戻りはできないということだけは、
確かに感じていた。
——そしてまた、新しい日が始まる。
別冊コミックアンリアル 超能力でやりたい放題 Vol.1
1,480円


コメント