指定の部屋、支配と羞恥のはじまり――制服のままホテルで待つ二人
夜の街は、静かで、けれどどこかざわついていた。
遥は制服の襟をぎゅっと握りしめ、
震える足取りで、指定されたホテルの前に立っていた。
スマートフォンには、ひろしからの命令が何度も送られていた。
「制服で来い」「下着はつけるな」
「ホテルのロビーに着いたら、連絡しろ」
「約束を破れば、全部バラす」
駅前のネオンが、
遥の影を鮮やかに路上へ落とす。
胸は、
どくんどくんと激しく脈打ち、
喉は乾き、両手が冷たく強張っている。
制服のスカートの下には、
下着を何も着けていない。
外気に触れる太もも、
風が吹くだけで奥がぞくぞくと震える。
自分が、
これから「商品」として売られるのだ――
その現実が、
遥の心臓を針のように刺し続けていた。
ホテルの自動ドアが静かに開く。
中は、
ビジネスホテルに似た無機質なロビー。
明るい照明と薄い絨毯の匂い。
それなのに、
遥にはここがまるで牢獄のように感じられた。
「は、はぁ……」
声にならない吐息がこぼれる。
スマートフォンを握る手が、さらに震えた。
画面に「ひろし」の文字。
「着きました」とだけ送信する。
すぐに既読がつき、
「右奥のソファにいる」と返信が来る。
遥は意を決してロビーを歩き、
右奥の暗がりへと向かった。
そこには――
ひろし、
そして見知らぬ男。
太った体、油ぎった髪。
スーツのボタンは今にも弾けそうで、
小さな目が、遥の制服姿を舐めるように追いかけてきた。
ひろしは、
あの日と同じ、飄々とした笑みを浮かべていた。
「来たな、遥。偉いぞ」
その言葉に、
遥はうなずくしかできなかった。
「……こんばんは……」
か細い声、
喉が詰まって言葉にならない。
小太りのオヤジが、
にやにやと笑う。
「これが“商品”か。
ずいぶん可愛いじゃねぇか、なぁ、ひろし」
ひろしは薄く笑い、
「まあな。
純粋で男を知らない、
会社の制服のまま連れてきてやったよ」
遥は、
男たちの視線に全身を晒されていることを痛感する。
制服の下、
下着も何もつけていない。
スカートの裾が、少し揺れるだけで、
中身が全て見られてしまいそうだった。
オヤジの目線が、
脚から腰、胸元、
そして顔へと舐めまわすように這い上がる。
「ほぉ、可愛い顔してるじゃないか……
ほんとにノーパンか? 見せてみろよ」
遥は思わず両膝を閉じた。
ひろしが静かに言う。
「ここじゃダメだろ。
部屋、用意してあるから。
行くぞ」
ひろしが立ち上がり、
オヤジに合図を送る。
「部屋は1105。
先に入っててくれよ」
オヤジがカードキーを手に、
エレベーターへと向かう。
ひろしが、
遥の腕を掴んだ。
がしっ――
強い力、逃げられない。
「大丈夫だ。
お前はもう俺たちのものだ。
ちゃんと命令通りに動けば、
会社も家族も守ってやる」
その声に、遥は小さく頷いた。
エレベーターの中、
無言のまま三人。
ひろしは遥の肩に手を置き、
オヤジは飢えた獣のような目で、
制服の下の素肌を想像している。
数字のランプが一つずつ上がっていく。
遥の心臓は壊れそうだった。
「ほんとに……
やるんだ……」
制服の下、
太ももを這う風が冷たい。
オヤジがにやにやと笑い、
「可愛い声で挨拶してみな」と言う。
遥はうつむき、
かすれ声で呟く。
「……よろしく、お願いします……」
男たちはそれで十分とばかりに満足し、
エレベーターの扉が開いた。
廊下を歩くたび、
制服のスカートが太ももにまとわりつく。
オヤジが先に部屋へ入り、
ひろしがカードキーをかざし、
「ほら、入れ」と遥を押し込む。
ドアがカチリと閉まる音。
1105号室。
ベッドが一つ、
真っ白なシーツと、やけに整った室内。
明るい天井灯、
分厚いカーテン、
大きな鏡と、テレビの横にはガラスのコップ。
「さあ、
ここが今夜の“ステージ”だ。
なぁ、遥」
ひろしが背後から耳元で囁く。
「逃げられないぞ。
ちゃんと“商品”らしく振る舞え」
オヤジがベッドに腰掛け、
興奮した息を荒くしながら、
遥を上から下まで眺めている。
「まずは、
その制服姿、
ゆっくりこっちに見せてみな」
遥は膝を震わせながら、
部屋の真ん中に立たされた。
ひろしとオヤジ、
二人の男の前で、
制服姿のまま、
裸同然の自分を晒している。
羞恥、絶望、
足先から込み上げる恐怖。
下着を着けていないことが、
スカートの揺れやちょっとした動きでバレてしまう。
ひろしがスマートフォンを構える。
「写真も動画も、たっぷり撮らせてもらうからな。
可愛い顔、恥ずかしがってる顔、全部残すぞ」
オヤジがじっと、
遥の膝から太もも、
そして胸元へ、いやらしい目つきで舐め回すように眺めている。
「緊張してるのか?
そんなに怖がらなくてもいいぜ、
すぐに慣れるからよ」
ひろしが、
遥の背中に手を回す。
「ほら、
こっちに来い。
部屋の真ん中で、
スカートを少しめくってみろよ」
遥は必死に首を振る。
だが、ひろしの力強い手が、
静かに肩を押す。
「命令は絶対だぞ。
嫌ならどうなるか、分かってるよな?」
遥は、
涙をこらえながら、
言われるままにスカートの裾に手を添える。
部屋の空気が、
重く、ねっとりと絡みついてくる。
二人の男の視線、
カメラのレンズ、
絶望と屈辱、
全てが遥の心を突き刺していく。
スカートの裾を、
そっと指先で持ち上げようとした、その瞬間――
ひろしが静かに囁く。
「全部、見せてもらうからな。
ちゃんと脱がせる前に、
制服のまま、
可愛いところを全部な――」
遥は、
膝を震わせながら、
その夜の始まりを、
ただ絶望のなかで受け入れるしかなかった――
新しい地獄の扉が、静かに開かれていく。
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