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【店長の脅迫】万引き一度の過ち:vol.1(万引きを見られて)
▶ 選んで結末が変わる物語(全111話・11結末)
深夜のコンビニエンスストア。冷ややかで無機質な蛍光灯の光が、陳列棚の影をくっきりと床に落としていた。外の暗闇とは対照的に白々しいその空間は、どこか現実味を欠いていて、まるで時間が止まっているかのような錯覚さえ覚えさせる。
バイト帰りの遥――女子大生は、バイト先の制服を着たまま、半ば放心したような状態でレジ横の通路に立っていた。彼女の足元は小刻みに震え、両手は不自然なほど強くスカートの脇を握りしめている。
さっきまで彼女の手の中にあった、小さなチョコレート菓子の箱。数百円にも満たない、ほんの些細な商品。それが今、制服のプリーツスカートの右ポケットに、ずしりとした異物感をもって収まっていることを――世界で自分だけが知っているという異常な緊張感が、遥の心臓を早鐘のように打たせていた。
出来心だった。ほんの魔が差したとしか言いようがない。ただ、指先が触れたものを無意識に隠し持ってしまっただけ。今すぐ棚に戻せば間に合うかもしれない。そう頭では分かっているのに、恐怖で足が床に縫い付けられたように動かなかった。
「……ちょっと、君」
唐突に、背後から低く、感情の読めない男の声が降ってきた。その瞬間、遥の心臓がどくん、と鼓膜を破りそうなほどの異音を立てる。血の気が一気に引き、指先から急速に体温が失われていくのがわかった。
恐る恐る振り返ると、そこには見覚えのある顔があった。このコンビニの店長である『ひろし』だった。普段は愛想よく客に応対しているはずの彼は今、完全な無表情のまま、鋭く冷ややかな視線で遥を上から見下ろしていた。
「それ、どうするつもり?」
淡々とした、しかし有無を言わせぬ響きを持った問いかけ。遥は咄嗟に言葉をごまかそうと口を開いたが、極度の緊張で喉がカラカラに乾き、空気が詰まって声にならない。
「あ……えっと……これは……」
制服の襟元から首筋にかけて、カーッと不快な熱が這い上がってくる。その一方で、スカートを握りしめる手の先は氷のように冷たかった。
「……ごめんなさい……っ」
蚊の鳴くような、震える声が、かろうじて遥の乾いた唇から漏れ出た。それは紛れもない自白だった。言い逃れができないと悟った彼女の目から、ポロポロと大粒の涙が零れ落ちる。
ひろしの口元が、ほんのわずかに、残酷な弧を描いて吊り上がった。
「警察、呼ぶから。ちょっと裏に来て」
その冷徹な宣告に、遥の足元がぐらりと大きく揺らいだ。膝の力が抜け、その場にへたり込みそうになるのを、制服の袖を強く握りしめることで必死に堪える。
「ま、待ってください……! お願いです、なんでもしますから……警察だけは……っ、大学に知られたら、私……っ!」
かすれた悲鳴のような懇願。遥の大きな瞳には、後悔と恐怖の涙がとめどなく溢れていた。しかし、ひろしの表情に同情の色は一切浮かばない。
「だったら、事務所で詳しく話を聞く。ついてきなさい」
有無を言わさぬ口調とともに、ひろしの分厚い手が、遥の華奢な肩をぐいっと乱暴に押した。抵抗する余裕など遥にあるはずもなく、彼女は夜のコンビニの裏側――従業員用の『事務所』へと、まるで罪人のように連行されていく。
バックヤードに通じる鉄扉の向こうは、店内の明るさとは打って変わって、薄暗く殺風景な空間だった。古びた蛍光灯の白い光が、怯える遥の青ざめた横顔と、少し乱れた制服の襟元を無慈悲に照らし出している。
心臓は胸郭を突き破りそうなほど激しく高鳴り、一歩足を踏み出すたびに、泥の中を歩いているかのように体が重かった。
――密室。
バタン、と重々しい音を立てて事務所のドアが閉まると、店内に微かに流れていた有線放送のBGMや、冷蔵ケースの低い駆動音すらも遮断され、完全な静寂が訪れた。まるで遥の世界から、すべての日常が切り離されてしまったかのような錯覚。
カチャリ、と無機質な音が響く。ひろしが内側からドアの鍵をかけた音だった。その小さな金属音が、遥の耳には死刑宣告のように大きく、恐ろしく響いた。
ひろしは部屋の中央にあるパイプ椅子を顎でしゃくった。
「そこに座って」
遥は反射的にその命令に従い、椅子の端にちょこんと、小さく腰を下ろした。震える両手で、制服のプリーツスカートの裾を膝の上で必死に押さえつける。その指の関節は、血の気が失せて真っ白に強ばっていた。
ひろしは腕組みをしたまま、怯える遥をじっくりと、まるで値踏みするかのように上からねっとりと見下ろしている。
「他にも、服の中に隠して盗ったもの、あるよな?」
その声は、相変わらず氷のように冷たく、そしてどこか別の熱を帯びているように感じられた。
「ち、違います……っ! 取ったのは、これだけです……本当に……っ」
遥は震える声で必死に否定する。恐ろしくて、男の視線を合わせることができない。うつむいたまま首を横に振るが、ひろしのねっとりとした視線が、遥の制服越しに全身の肌を舐め回すように這い回っているのが、見えなくてもはっきりと肌で感じ取れた。
ひろしは机の上に乱雑に積まれた書類を片手で払いのけると、座っている遥のすぐ目の前に、逃げ場を塞ぐようにして立った。
「ポケットの中身、全部出して見せて」
遥はびくりと肩を震わせ、スカートのポケットから、震える手で先ほどのチョコレート菓子を取り出し、差し出した。申し訳なさで胸が押し潰されそうだった。だが、男の威圧的な態度は、それだけで許してくれるような雰囲気では到底なかった。
ひろしは差し出された菓子を冷瞥し、次に、遥の制服の袖や、胸元へとゆっくりと手を伸ばしてきた。
分厚く無骨な指先が、遥の制服のブラウスの上から、柔らかな胸の膨らみをぞくりと這う。突然の接触に、遥の全身がびくりと大きく跳ねた。
「本当に、これだけか? ここにも何か隠してるんじゃないのか?」
「ひっ……! ほ、ほんとに……ほかには……ないです……っ! やめてください……っ」
遥の悲鳴まじりの返事は、完全な涙声だった。見知らぬ大人の男に胸を触られるという異常な状況。遥の身体は、極度の羞恥と恐怖でカチコチに硬直してしまう。
恐怖で震え上がる一方で、制服の生地越しに執拗に指先が擦られることで、うぶな胸の蕾が、ぴりりとした痛みを伴って無防備に硬く反応してしまう。それが男に伝わっていることが、遥自身にもどうしようもなく分かってしまい、恥ずかしさで顔から火が出そうだった。
心の中で絶望的な叫び声を上げながらも、逃げ出すことも声を上げることもできない。遥はただ、身をすくませてじっと耐え忍ぶしかなかった。
「……やっぱり、服の上からじゃよく分からないな。ちゃんと身体検査させてもらわないと」
ひろしの口から発せられたその言葉に、遥ははっと息を呑んだ。
心臓が耳の奥で激しく鳴り響き、全身からサァッと血の気が引いていく。男の要求が何を意味しているのか、未経験の遥にも痛いほど理解できたからだ。
「そ、そんな……いやです……っ、服なんて……っ」
「なら、今すぐここで警察に電話する。大学にも親にも連絡が行くことになるが、それでもいいのか?」
冷酷な二者択一。逃げ道など、最初から用意されてはいなかった。
警察という言葉に縛り付けられ、遥の瞳から再びボロボロと絶望の涙がこぼれ落ちる。制服のプリーツスカートを握りしめる手が、これ以上ないほど白く震えていた。
そして、服の上からとはいえ、男の体温とともに押し付けられる、硬く張り詰めた肉棒の気配。それは、これから彼女の身に降りかかる圧倒的な暴力と陵辱を無言で物語っていた。
万引きという一度の過ちが招いた、逃れられない密室。遥の純潔な世界は、この無機質な事務所の中で、ゆっくりと、そして残酷に暴かれようとしていた。
ここまで読んでくれてありがとう
選択を変えれば、結末は変わります。
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