🔖 全ての物語の目次はこちら

契約書の罠、遥の撮影(裸の男優が出てくる)vol.3

撮影
▶ 名前変換:入力フォームを開く




見たことのないもの ― はじめて触れる男の肉体

  • 撮影現場で初めて男優と対面する遥と紗香
  • 無防備な裸身を前に、揺れる心と羞恥心
  • “知らないもの”を目の前にして、心が揺らぐ

「次のカット、男優入ります」

ひろしの一言に、スタジオ内の空気が変わった。

遥と紗香は一瞬、顔を見合わせた。

男優――?

扉が開く音。
そこから入ってきたのは、一人の男だった。

背が高く、筋肉質な体躯。無駄な脂肪のない引き締まった肉体。

そして――彼は、何も身につけていなかった

遥はその瞬間、呼吸を止めた。
視線が、一点に吸い寄せられる。

それが何であるか、もちろん知識では知っていた。
だが、実物を見るのは、遥にとっても紗香にとっても――初めてだった。

それは無骨で、生々しく、どこか暴力的ですらある存在。

「……っ」

遥の喉が、勝手に音を立てて鳴った。

まるでそれが、口に出してはいけない何かを見た時の反応のように。

隣を見ると、紗香も顔を真っ赤にして俯いている。
肩が小さく震えていた。

遥さん、視線をそらさないで。ちゃんと見てください

ひろしの言葉が、耳の奥に鋭く突き刺さる。

「……え……?」

遥の声は掠れていた。

視線が泳いでます。女優として、相手を直視してください

その命令は、遥の羞恥心を切り裂くようだった。

だが、契約書の文字が脳裏をよぎる。

演出に同意――
違約金――

遥は、恐る恐る顔を上げた。

男優は、無表情のまま、遥たちの方を見て立っていた。
堂々とした裸身。その中心にあるものは、遥の心をかき乱す。

こんなものが、男の身体にはあるのか。

遥は思った。

これが、入るということなのだろうか。
これが、自分の中に――と想像した瞬間、頭が真っ白になった。

遥さん、紗香さん、男優の周囲を回って。視線は胸元から下へ、ゆっくりと

ひろしの指示は、容赦がなかった。

遥と紗香は、下着姿のまま、裸の男の周りを歩き出す。

視線をどこに置いても、避けられない

男の肌。筋肉。呼吸に合わせて微かに動く下腹部。

遥は自分の足が震えているのを感じた。

近い。

こんな距離で、男の身体を見ることになるなんて――

紗香の手が、震えながら遥の指先に触れる。
まるで「怖い」と伝えてくるように。

遥も、無言でその指を握り返した。

羞恥戸惑いと、知らない興奮が、喉の奥で混ざり合う。


じゃあ次は、遥さんだけ前に出て。男優の前でしゃがんでください

その言葉に、遥の頭が真っ白になった。

「えっ……前に……?」

はい。膝をついて、男優の身体をよく観察するように

紗香が心配そうに遥を見る。

だが、遥はもう逃げられないとわかっていた。

恐る恐る、男優の前へと進む。

一歩ずつ。膝が笑う。

そして、目の前にそれが来る。

熱を帯びた男の象徴

手を伸ばせば届く距離。
ただ見るだけなのに、心臓は爆発しそうだ。

遥さん……その表情、すごくいい

ひろしの声が遠くで響く。

遥は、自分が震えながら、唇を噛んでいることに気づいた。

顔が熱い。
肌の奥から、何かが目覚めようとしている。

初めて知った、男の身体。

初めて見た、生々しい現実。

それは、遥の中に何かを植えつけるようだった。

自分は、まだ“知らない”ままでいたかった。

けれど――もう、戻れない。

コメント