第二夜──越えてしまった、取り返しのつかない一線
――夜は、まだ終わらない。
遥は兄の胸に顔を埋めたまま、かすかに震えていた。
涙が、濡れた頬をすべり落ちる。
汗と体液、熱気と罪悪の匂いが部屋のすべてに染みついて、窓の外の遠いネオンももう遥には見えない。
兄のものが、自分の奥深くで脈打つたび、
いま起きたことの現実が、彼女の体にじわじわと染み込んでいく。
「……遥」
ひろしの声は、息も絶え絶えだった。
さっきの絶頂の余韻が、まだ全身を包み込んでいる。
遥の中の熱さとぬめりが、なおも自分を締めつけ続けている。
しばらく、ふたりとも動けなかった。
やがて、遥がそっと兄から身体を離す。
唇の端に涙と涎が残り、
兄の胸の上に落ちる。
「……ほんとに、
……ひどいよ……」
遥の声は小さく、震えていた。
兄のものが、自分の奥に残した“証”の存在が、
逃れようのない現実として彼女を縛りつけていた。
シーツにうずくまりながら、
遥は膝を抱えて小さくなった。
太ももの奥から、とろりと溢れ出すもの。
兄の精液が、自分の一番深い場所に注がれたという、
信じられない実感。
しばらくして、遥はぼそりと呟いた。
「……お兄ちゃん、
……出した、よね。中に……」
ひろしは、言葉を失ったまま遥を見る。
罪悪感と、抗いがたい快感の余韻。
自分が“家族”の一線を越えてしまったという現実。
いまさら後悔しても、もう遅い。
「……ごめん。
でも……止まらなかった」
言い訳にもならない、本音だった。
遥は首を小さく横に振る。
涙がまた一粒、頬を伝う。
「……最悪だよ、
……今日、危険日だったのに……」
その言葉が、ひろしの心臓を一気に締めつける。
「……え?」
「……今日、……ほんとはダメな日だった。
わたし、……生理、終わったばかりだから……」
遥の声は震え、唇もかすかに青ざめていた。
兄はベッドの上で、愕然と遥を見つめる。
頭の中で警報が鳴る。
取り返しのつかないことをした現実が、静かに――しかし確実に――
自分たちの運命を変えようとしていた。
「……なんで、早く言わなかったんだよ……!」
思わず声を荒げてしまう。
だが、それは自分自身への怒りだった。
「言えるわけないじゃん……
お兄ちゃん、もう止まらなかったし……
……わたし、
ほんとに、ほんとにやりたくなかったのに……」
遥は声を詰まらせ、シーツに顔を押しつけた。
ひろしは、遥の肩に手を伸ばす。
だが、その指先にはぬるりとした体液の感触。
兄妹でなければ絶対に許されない、
生々しい証拠。
「……俺が悪かった。
本当に、全部俺が……」
いまさら何を言っても、
もう元には戻れない。
遥は、兄の腕を振り払う。
「やだ……触らないで……」
その言葉が、ナイフのようにひろしの胸を切り裂いた。
密室の空気は、ますます重たくなっていく。
沈黙が部屋を支配し、
ひろしの心臓は、後悔と恐怖で凍りついていった。
遥はしばらく何も言わず、シーツに埋もれて小さく震えていた。
しばらくして、やっと小さな声で囁く。
「……もし、できちゃったら、
どうするの……?」
ひろしは答えられなかった。
そんなこと、考えたこともなかった。
ただ欲望に身を任せ、
妹を女として、
一線を越えてしまった――
その事実しか、今はもう認められない。
「……全部、俺が責任とる」
そう言うしかなかった。
しかしその言葉が、
どれほどの重みを持つかを、ひろし自身も理解していなかった。
遥は震えながら、
兄の顔を睨む。
「できるわけ、ないじゃん……
……家族なのに……」
その涙が、
ふたりのすべてを物語っていた。
やがて遥は、ベッドから身体を起こし、
静かに服を拾い集めはじめた。
兄と目を合わせようとしない。
ひろしは、言葉を失ったまま、
ただ遥の背中を見つめていた。
「……お兄ちゃん、
今日のことは、
絶対に誰にも言わないで……
それだけは、
……お願いだから……」
遥は下着を直し、
乱れた髪を手櫛で直す。
その動作ひとつひとつが、
決して癒されることのない傷跡のようだった。
「……もし、何かあったら……
わたし、消えるから……」
遥の小さな声が、
部屋の隅で消えていった。
兄は何もできなかった。
ただ、後悔と絶望のなかで、
自分の犯した過ちの重さに押しつぶされそうになる。
遥は最後に一度だけ、
兄を振り返る。
その瞳には、
かつて兄妹だった頃の優しさも、
いままでの秘密も、
すべてが溶けていた。
「……さよなら、お兄ちゃん」
遥はドアを開け、
ゆっくりと消えていった。
その背中に、
ひろしは一歩も踏み出せなかった。
――夜明けの光が、
ベッドの上に乾ききらない涙と精液の跡を、
容赦なく照らしていく。
遥の体内に残された命の種と、
ふたりが交わした取り返しのつかない約束だけが、
静かに、確かに、
これからの運命を縛っていく。
それでも、
夜はいつか明ける。
誰にも知られずに、
誰にも癒されることなく――
ふたりだけの禁断の秘密だけを、
この密室に残して。
ギャルベヤ!?〜学校最寄りのギャルのたまり場〜
2,640円
おしまい

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