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【新歓の罠】サークル罰ゲーム:vol.2(先輩宅へ移された二次会)
駅前の喧騒を抜け、タクシーで数メーター走った先にある閑静な住宅街。
高くそびえ立つ高級マンションのエントランスをくぐったときから、遥の心臓は警鐘を鳴らし続けていた。
ふわりと、むせ返るような甘い香水とタバコの入り混じった空気が部屋を包んでいた。
サークル「創作と語らいの会」の新歓コンパは、場所を変えて、先輩であるひろしの自宅で行われることになった。
「二次会は俺の部屋でやろうぜ」という彼の鶴の一声に、誰一人逆らう者はいなかった。
そして、遥と多香子もまた、逃げ出すタイミングを見失ったまま、羊の群れのように引きずり込まれていた。
金持ちの家庭に育ったというひろしの部屋は、大学生の一人暮らしとは思えないほど広大だった。
天井の高いリビングには黒い革張りの大きなソファがいくつも置かれ、間接照明が柔らかく、そしてどこか淫靡な光を落としている。
床に敷かれた毛足の長い絨毯が、足音さえも吸収してしまうようだった。
遥は多香子と身を寄せ合うようにしてソファの端に腰かけていた。
周囲を囲むのは、ひろしをはじめとする五、六人の上級生男子。
女子は、遥と多香子の二人だけだった。
「遥ちゃん、もっと飲んで飲んで〜」
ひろしの笑顔は優しくて、表面上はどこか包み込むようだった。
けれど、その奥にある爬虫類のような冷たい瞳が、遥の白いブラウスの胸元から脚のラインへと、じっと潜り込んでくる。
粘つくようなその視線が肌を這うたび、遥は腕をこすり合わせたい衝動に駆られた。
「えへへ……もう、あんまり飲めなくて……」
遥は曖昧に笑ってごまかすしかなかった。
断れなかった。
昔からそうだった。厳格な女子校で育ち、周囲との調和を何よりも重んじてきた彼女は、空気を読むことばかりに慣れてしまって、自分の気持ちを主張できない。
隣にいる多香子も、同じように引きつった笑いを浮かべ、グラスを握りしめていた。
最初は、普通の飲み会の延長だった。
乾杯をして、デリバリーのピザをつまみ、大学生活の他愛のない話をして――。
だが、時間が経ち、アルコールが深く回り始めるにつれて、先輩たちのテンションが徐々に上がり、部屋の空気が濁り始めた。
「そろそろ……罰ゲーム、始めよっか」
ひろしが低く通る声でそう言った瞬間、場の空気がピンと張り詰めた。
酔いのせいか、それとも本能的な危機感のせいか。
遥の頬が熱を持ち、心拍数が急激に跳ね上がるのが自分でもわかった。
「遥ちゃん、多香子ちゃん、じゃんけんしよっか。負けたほうは……サークルの伝統に従って、何か一つしてもらうから」
それが軽いノリに聞こえたのは、ただの錯覚だ。
ひろしの目には、あきらかな悪意と、処女をいたぶるための嗜虐的な光が宿っていた。
震える手を持ち上げ、男たちとじゃんけんをする。
残酷なまでの確率が、純潔な女性を標的に定めた。
じゃんけん――遥が負けた。
「あーあ、遥ちゃんの負けだ。じゃあ……とりあえず、上着脱いで?」
「……え……?」
冗談めいた声に、周囲の男たちが下品な笑い声を上げる。
けれど、そこに含まれる命令の重さは、絶対的なものだった。
『空気を読め』。
『たかが上着くらいで騒ぐな』。
無言の同調圧力が、鎖のように遥の身体を締め上げる。
遥は戸惑いながらも、断りきれず、そっとトレンチコートの下に着ていたカーディガンに手をかけた。
「大丈夫、みんなやってるし、ノリノリ〜」
そう言われれば、何も言い返せなかった。
遥はゆっくりと震える腕を動かし、白いカーディガンを肩から滑らせた。
生地がこすれる微かな音が、やけに大きく部屋に響いた。
下には、清楚な白いブラウスが一枚。
薄い生地が肌に密着し、ブラジャーに包まれた胸の柔らかなふくらみがうっすらと浮かび上がる。
まだ誰の手にも触れられたことのない、無防備な新入生の輪郭。
その瞬間、周囲の男たちの誰かが、ごくりと唾を飲み込む音が聞こえた。
「いいねえ……次、またじゃんけんしようか」
飲み会は、すでに常軌を逸していた。
だが遥も多香子も、途中で立ち上がって「帰ります」と告げる勇気など持ち合わせていなかった。
逃げれば、何をされるかわからないという本能的な恐怖があった。
「ほら遥、ちょっと前に出て。はい、ピースして」
ひろしがスマートフォンを構え、無遠慮にレンズを向けた。
。
シャッター音が、静まり返った部屋に響いた。
最初の一枚。
それが、果てしなく続く陵辱の、終わりの始まりだった。
シャッター音が切られた瞬間、遥の肩がびくりと震え、小さな悲鳴が漏れた。
スマートフォンを構えていたひろしが、にこりと嗤う。
「ほら、かわいい。こういう清楚で素朴な子って、逆にそそるんだよね」
何気ない一言のように聞こえたその言葉が、遥の胸の奥をざらりと汚らわしく撫で回した。
羞恥。
焦り。
混乱。
それらが熱となって喉元に溜まり、遥は自分の呼吸が少しずつ浅く、荒くなっていくのを感じていた。
カーディガンを脱がされ、ブラウス一枚になった自分の姿が、見られている。
それも、何人もの飢えた男たちに。
見つめられ、撮られ、嘲笑われている。
それが、どうしようもなく屈辱的で、恥ずかしかった。
「もう……やめたいです……っ」
その言葉は、口の端で消え入りそうなほど細いものだった。
男たちの分厚い笑い声にかき消され、誰の耳にも届かない。
逃げれば、空気が凍る。
その先にあるのは、もっと暴力的な支配かもしれない。
「さ、次いこうか。またじゃんけんね」
無情なテンポで進むゲーム。
次に負けたのは多香子だった。
彼女は顔を真っ赤にしながらも、男たちの視線に耐えきれず、震える手でスカートの裾をほんの少しだけまくりあげてみせた。
白い太ももが露わになり、男たちが歓声を上げる。
「よしよし。じゃあ次……あ、また遥ちゃんの負けだ」
ひろしの口角が、限界まで吊り上がる。
「遥ちゃんも、そろそろそのブラウス、脱いでみよっか?」
その一言に、遥の心臓が早鐘のように大きく跳ねた。
全身の血の気が引き、指先が氷のように冷たくなる。
「……え……?」
笑い声に紛れて、声にならない吐息が宙に溶けていく。
ひろしの目が、優しい笑みをたたえながらも、絶対に拒否を許さない爬虫類の温度で遥を射抜いていた。
「大丈夫だよ、嫌ならやらなくてもいいし。その代わり、多香子ちゃんに全部やってもらうけど」
そう言いながら、友人を人質にとるような卑劣な選択を突きつける。
それが一番残酷で、ずるいやり方だった。
遥の指先が激しく震える。
隣で多香子が涙目で首を振っている。
逃げられない。
遥は観念したように目を閉じ、静かに、第一ボタンに震える指をかけた。
ぷち。
小さな音がして、一つボタンが外れるたびに、部屋の空気がじっとりと重くなっていく。
二つ目、三つ目。
手が震えて、うまくボタンホールから布が抜けない。
「ほら、手伝ってやろうか?」
「ひっ……!」
男の手が伸びてきそうになり、遥は慌てて残りのボタンを外し、ブラウスを左右に開いた。
布が肩から滑り落ち、露わになる白い肌。
そして、純潔を象徴するような、純白のコットンブラジャーが、間接照明の下で浮かび上がった。
ひろしたちの目が、飢えた獣のようにそこに吸い寄せられていた。
ブラジャーに包まれたふくらみが、荒くなった呼吸に合わせて上下に揺れる。
遥は自分の胸元を腕で隠すように交差させ、深く視線を伏せた。
唇が震える。
顔面から火が出るほどに熱く、全身の毛穴から冷や汗が噴き出していた。
そして――限界を超えた羞恥に、目尻に涙がにじんだ。
「……ぅ……」
「遥……?」
多香子が小さく、掠れた声をかける。
遥は首を横に振る。何も言えない。
ただ、これ以上涙をこぼさないように、必死に奥歯を噛み締めて堪えていた。
恥ずかしい。つらい。帰りたい。
「ちょっと撮るね」
無慈悲に、ひろしがまたスマホを構えた。
。
その機械音が、遥の心を深く、決定的に切り裂く。
下着姿の自分が記録され、男たちの手の中に収められてしまった。
その事実が、羞恥の炎となって、ゆっくりと内側から広がっていく。
絶望的な屈辱感に、細い吐息が漏れる。
目線の先には、自分を舐め回す男たちの視線と、冷たく光るスマートフォンのレンズ。
遥は、自分がただの“見世物”として扱われていることを、肌で感じていた。
社会のルール、大学の人間関係、空気を読む文化。
それらが遥の四肢を縛り、声を奪い、身動きを完全に封じていた。
このまま、彼らの要求はさらにエスカレートしていくのだろう。
胸の奥が、圧倒的な恐怖と、そして……自分でも説明のつかない吐き気を伴う強い恐怖で、じんわりと熱を持っていた。
夜は、女性の純潔を飲み込むために、さらに暗く、深く口を開けていた。
ここまで読んでくれてありがとう
選択を変えれば、結末は変わります。
別のルートを試すか、他の物語へ。



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