密室の撮影スタジオで晒される少女たち ― 契約と羞恥のはじまり
- 撮影スタジオに招かれる遥と紗香
- ランジェリー衣装への着替えを強要される
- 契約書による逃げ場のない状況
- 羞恥と戸惑いに染まる初めての撮影
部屋の空気が、どこか重たく感じられた。
清掃の行き届いたフローリング。壁に立てかけられた無機質な白いスクリーン。無言で設置された三脚と、黒く艶やかなレンズが、こちらを睨むように構えている。
「では、遥さん、紗香さん、奥の控室でこちらの衣装に着替えてください。」
そう言って、ひろしが差し出したのは、乳白色のレースが繊細に縫い込まれたランジェリーだった。
布の面積は極端に少なく、透けるような薄さ。
上下ともに、まるで肌に溶けて消えそうなほど儚い。
遥は思わず手を引っ込めた。
「これ……イメージビデオ、ですよね?」
震える声で尋ねると、ひろしは無表情のまま契約書を指さした。
「演出に同意すること――そう書いてあります。拒否するなら、こちらに示された違約金が発生します。」
目の前に突き出されたのは、遥たちがサインしたあの紙。
そこには確かに、細かい文字で何十万、何百万という数字が並んでいた。
遥は紗香と顔を見合わせた。紗香も唇を噛みしめている。
幼い頃から知っているこの親友が、こんな表情をするのを見るのは初めてだった。
そして二人は、無言でうなずき、衣装を手に控室へと向かった。
薄暗い小部屋の中で、遥は制服のボタンを一つずつ外していく。
まるで心まで裸にされていくような錯覚。
紗香は背中を向け、黙ってスカートを脱いでいる。
「……大丈夫かな、遥」
震える声。遥も同じだった。
「大丈夫じゃないけど……逃げられないよね」
下着を手に取る。触れただけで指先がこそばゆくなるような感触。
下着というにはあまりに無防備な、純白の罠。
ブラは薄く、レース越しに形がわかるほどで、ショーツは一筋の紐のような作り。
こんなものを身に着けて他人の前に立つなんて、想像すらしたことがなかった。
遥は恐る恐る足を通し、レースのショーツを腰に引き上げる。
ひんやりとした感触が、否応なく身体の奥へと緊張を走らせる。
自分の肌がどこまでもさらけ出されていく。
鏡に映る自分は――知らない女だった。
赤く染まった頬。うるむ瞳。手の甲で胸元を隠そうとしながらも、布はそれを許してはくれない。
「遥……行こう」
紗香の声。彼女もまた、同じ衣装を纏っていた。
二人は肩を寄せ合いながら、撮影スタジオへと戻る。
「いいですね、そのまま立って。遥さんは左、紗香さんは右に」
ひろしの声が響く。
レンズが、じっと二人を見つめる。
「恥ずかしがらないで。背筋を伸ばして、胸を張ってください」
遥の心臓が爆発しそうなほど高鳴る。
言われるがままに胸を張ると、レース越しに形が浮き彫りになった。
「次は、腰に手を当てて……太ももを少し開いてみてください」
羞恥が全身を焼くように襲う。視線をどこに置いていいのかわからない。
紗香のほうを見れば、彼女もまた、顔を真っ赤にして命令に従っていた。
「もっと脱力して。緊張が顔に出てますよ、遥さん」
ひろしの声は冷たいが、なぜかその言葉が体の奥に残響として響く。
まるで、人格を一つずつ剥がされていくような錯覚。
この場にいる遥は、遥ではない。
ただ、契約に従って身体を晒す、存在。
シャッター音が鳴る。
「いいですね……その顔、すごくいい」
そう言われた瞬間、遥は初めて気づいた。
自分の表情が、恥じらいだけでなく、どこか――
ほんの少しだけ、濡れていたことに。


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