雨夜、少女は“操られる”運命と出会う
- 帰宅途中、課長と偶然の再会
- 不可解な“招き入れ”と、肉体支配の始まり
- 抵抗できない遥の純潔と、部屋に満ちる張り詰めた空気
濡れたアスファルトの上に、静かに足音がにじんでいた。
六月の雨は温く、だが心には冷たい。遥は傘を差しながら駅からの帰路を急いでいた。
ふと、角を曲がったときだった。
「……おや、遥くん?」
聞き覚えのある、低く落ち着いた声。
背筋に、ざわりと冷たいものが走る。
「課長……?」
遥は思わず立ち止まった。どうして……? この辺りは完全な住宅街で、会社の誰かと会うような場所じゃない。しかも、彼——課長が、こんな時間にこの雨の中、傘も差さずに立っているなど。
「いやぁ、たまたま近くで会食があってね。こっちの道、抜け道だって聞いてたから使ってみたんだよ」
自然な笑み。優しげな口調。
でも、遥の心は冷や汗で湿っていた。
本当に偶然? どうしてこんな距離感で話してくるの?
どうして——どうして、目が離せない?
「ちょっと雨宿りでもさせてもらえないかな? すぐ帰るよ。ほら、こんなに濡れちゃって」
笑顔のまま、課長は遥の顔をじっと見つめていた。
「……あの、でも……うち、散らかってて……」
言い訳のつもりだった。必死に拒もうとした。
けれど、口ではそう言いながら、遥の指先は——
無意識に、自分の部屋の鍵をカバンから取り出していた。
おかしい。身体が勝手に……動く。
心は、明確に警戒している。
この男を家に入れてはいけない。
それなのに——
遥の指先は、鍵を静かに回してドアを開いた。
「どうぞ……お入りください」
自分の口から出た言葉に、遥自身が驚いた。
そんなつもりはまったくなかった。
なのに、その声はあまりにも自然で、まるで心から歓迎しているような響きだった。
「ありがとう、助かるよ。ちょっとだけ、雨が止むまでね」
何食わぬ顔で、課長は靴を脱ぎ、部屋の中に足を踏み入れた。
——違う。これはおかしい。
心の中で叫ぶ。拒絶する。
けれど、扉を閉めているのは、他でもない遥自身の手。
そして、リビングの照明をつけ、濡れたタオルを手渡し、課長のコートを受け取る。
その一つひとつが、まるで演技のように完璧だった。
笑顔すら浮かべていた。——自分の意思では、決してそんな顔はできないのに。
「遥くん、ずいぶん綺麗にしてるんだね。落ち着く部屋だ」
「……ありがとうございます」
再び、口が勝手に動く。
この部屋は、遥の唯一の聖域。誰も入れたことがない。
それなのに、課長は当たり前のようにソファへ腰を下ろし、室内を見渡していた。
そして、言葉とは裏腹に、遥の心の内を正確に見抜いているかのような眼差しを、ちらりと向ける。
まるで「次」が決まっているかのように——
遥は立ち尽くしていた。
頭の中で、何十回も「追い出さなきゃ」と叫び続けている。
なのに、手はお茶を淹れにキッチンへ向かっていた。
震える指で湯を沸かし、カップを用意する。
笑顔でお盆を持ち、優雅な仕草でソファ前のテーブルへ置く。
そこには、何の葛藤も見えない完璧な“接待”があった。
しかし、内側では悲鳴が上がっていた。
《お願い、誰か止めて……わたし、動きたくない……》
けれど、身体は従順に動き続ける。
まるで、自分ではない誰かに操られているかのように——
課長の視線は、じっと遥を見つめていた。
その表情は冷静そのもので、まるで一切の暴力も加えていないように見える。
だが遥にとっては、何よりも恐ろしい力がそこにあった。
その力に、自分が完全に“侵されている”ことを、否応なく理解させられながら——
静かに、部屋の空気はねっとりと絡まり始めていた。
まだ、彼の手は触れていない。
けれど、すでに遥の「身体」は、彼の所有になりかけている。
それが、どれほど抗いがたいものかを、これから痛いほど知らされることになると——
このときの遥は、まだ知らなかった。
げーみんぐはーれむ総集編I
1,375円


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