【初めての自慰】秘めた欲望:vol.2(録音された絶頂)

撮影・露出

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【初めての自慰】秘めた欲望:vol.2(録音された絶頂)

廊下で止まっていた足音の直後、玄関のドアが二度、控えめに叩かれた。

ベッドの上で掛け布団を握っていた遥の肩が跳ねた。下着とパジャマは戻してある。濡れたシーツにはタオルをかぶせたが、火照った頬と乱れた呼吸までは隠せない。時計は深夜二時を過ぎ、隣室の明かりも消えている。遥は口元を手で覆い、ドアの方へ顔を向けた。

もう一度、先ほどより短くノックが続いた。ドアの下の隙間には、廊下の照明と、人の靴が作る細い影が伸びている。影は動かず、立ち去る気配もない。

「遥さん。起きてるよね。明かり、点いてるから」

同じ大学で顔を合わせるひろしの声だった。講義の終わりに何度か話しかけられ、そのたびに遥が距離を取っていた男である。住所を教えたことはない。遥は布団を押しのけ、足を床へ下ろした。膝に力が入らず、立ち上がるまでにベッドの縁へ手をついた。

「どうして……ここが分かったの」

ドアまで届かないほど小さな声だった。返答の代わりに、薄い板の向こうでスマートフォンを操作する乾いた接触音がした。続いて、廊下から女の声が流れた。

息を詰め、途切れた言葉を漏らし、最後に長く震える声。それは数分前、遥が枕へ押し込めたはずの自分の声だった。壁越しに録音された音は輪郭が荒く、それでも本人には聞き違えようがない。遥の手から掛け布団が落ちた。

「壁、薄いんだな。最初は具合でも悪いのかと思った。でも、途中から何をしてるか分かったよ」

音声は停止された。静けさが戻ると、再生されていた声の余韻だけが耳に残った。遥はパジャマの腰を両手で押さえ、ドアへ一歩近づく。足裏が冷えた床へ触れるたび、先ほどまで身体に残っていた熱が引いていった。

「開けてくれない? 廊下でこれを流したまま話してもいいけど」

「やめて。それ、消して」

「だったら顔を見せてよ」

遥は玄関脇の壁へ手をついた。チェーンを外さないまま錠だけを回し、数センチだけドアを開ける。隙間の向こうに、パーカー姿のひろしが立っていた。片手にはスマートフォンがあり、画面には音声ファイルの波形と、長さを示す数字が表示されている。

ひろしは端末をドアの隙間へ寄せた。遥が閉めようとすると、靴の先がドアと枠の間へ差し込まれる。力を込めても閉じられない。廊下の冷気が隙間から流れ込み、パジャマの胸元を冷やした。

「全部入ってる。最初の小さい声から、最後の声まで。大学のグループに送ったら、誰の声か分かるかな」

遥は首を振り、チェーンを握る手へさらに力を込めた。

遥は首を横に振り、チェーンを握った。金具が指へ食い込み、手の甲が白くなる。ひろしは画面を操作し、共有先を選ぶ表示を見せた。大学の学部名が付いたグループが一覧に現れ、その下には同級生たちの名前が並んでいる。

「ここを押せば終わり。廊下にいる間に決めて」

隣の部屋で何かが動き、床が小さく軋んだ。遥の視線が壁へ向く。廊下で話し続ければ、別の住人が出てくる可能性がある。ひろしはその動きを見て、スマートフォンの音量を一段上げた。

「中で話して。ここで声、出さないで」

遥の指がチェーンへ触れたまま止まった。金具を溝から外すと、ひろしは待っていたようにドアを押した。遥は押し戻せず、壁に沿って後ずさる。ひろしが入るとドアは背後で閉まり、狭い玄関に外気と、煙草の残り香を含んだ衣服の匂いが入り込んだ。

「鍵、閉めて」

遥は動かなかった。ひろしが振り返り、自分で錠とチェーンを掛ける。金属が重なる音を聞いた瞬間、遥は居室側へ一歩下がった。背中が壁に触れ、それ以上距離を取れなくなる。

ひろしの視線は、乱れたベッドへ移った。タオルで覆ったシーツ、床に落ちたティッシュ、枕元に伏せられたスマートフォン。遥はその視線を遮るように前へ出たが、ひろしは肩越しに部屋の中を見回した。

「さっきまで、あそこでしてたんだ」

「帰って……見ないで」

声を絞り出す間も、遥の両腕は腹部を隠すように重なっていた。ひろしは靴を脱ぎ、許可を待たずに居室へ上がった。遥が進路を塞ぐと、スマートフォンの再生ボタンへ親指を置く。

「帰ってもいいよ。この音を残したままでいいなら」

端末から、息を乱す遥の声が再び流れた。音量は小さい。それでも密室では、ベッドの軋みまで聞き取れるほど近い。遥は両手を伸ばして端末を取ろうとしたが、ひろしは腕を上げて届かない位置へ移した。

遥は端末へ両手を伸ばし、届かないと分かると胸元へ引き戻した。

「ただ消せって言われても困るな。俺は、これを聞いて眠れなくなったんだから」

遥は手を下ろし、ベッドとひろしの間に立った。裸足の爪先が内側へ向き、膝が触れ合うほど脚が閉じている。ひろしは画面を遥へ向け、ファイル名を変更する欄に文字を打ち込んだ。「遥・深夜」という短い名前が表示された。

「複製も簡単なんだ。今ここで消しても、別に残してあるかもしれない。俺が誰にも送らないって約束する方が確実だろ」

遥の呼吸が速くなった。唇を開いても声が出ず、首だけが細かく横へ動く。ひろしはベッドの端へ座り、タオルの下からわずかに見える濡れた跡へ視線を落とした。遥はすぐタオルを引き寄せ、両手で隠した。

「条件は一つ。さっき、一人でやっていたことを、今度は俺の前で見せる」

「無理。できない」

「できないなら、送る。選ぶのは遥さんだよ」

ひろしは共有先の画面を開き、学部のグループ名へ指を近づけた。遥は反射的にその手首を両手でつかんだ。すぐに離したが、端末の画面には送信確認の表示が残っている。

「ここで触れば送られる」

遥は壁へ背中をつけたまま、何度も浅く息を吸った。指先はパジャマの裾をつかみ、布を皺になるほど握っている。ひろしは端末を膝の上へ置き、画面が遥から見える角度に固定した。

「服を脱いで、ベッドへ座って。俺はここで見てる。言うことを聞けば、今夜は誰にも送らない」

遥は返事の代わりに何度も首を振った。

「だったら、始めて」

遥の手が裾から離れ、ベッドの端へ置かれた。先ほど一人で触れた場所には、衣服越しにも熱が残っている。男の視線と、送信画面を開いた端末に挟まれたまま、遥は膝を閉じ、動けずに立ち尽くした。

窓の外を車が通り、カーテンの隙間に白い光が滑った。その一瞬だけ、ひろしの影が壁の上で大きく伸びる。光が消えると、部屋には卓上灯の弱い明かりと、端末の青白い画面だけが残った。送信ボタンのすぐ上で、ひろしの親指が待っている。

遥はベッドへ腰を下ろした。スプリングが沈み、タオルの下に隠していた湿りが腿の裏へ触れる。自分しか知らなかった痕跡を他人の前で感じたことで、肩が耳に触れるほど縮こまった。両手で膝を覆うと、ひろしが端末を持ち上げた。

「手で隠したままじゃ分からない。さっきと同じ格好にして」

「先に消して。ちゃんと見せて」

遥は顔を上げられず、画面だけを見た。ひろしは音声ファイルを選び、削除の確認欄まで進める。しかし確定には触れない。代わりに共有先へ戻り、大学のグループ名をもう一度表示した。約束が最初から遥の手の届かない場所にあることだけが、はっきりした。

「終わったら考える。今は俺の言ったことをして」

ひろしは椅子をベッドの正面へ引いた。脚が床を擦る音が狭い部屋に長く残る。玄関までは数歩なのに、男の膝と椅子が通路を塞いでいた。遥がドアへ視線を送ると、その動きを追うようにひろしも顔を向けた。

「大声を出して人を呼ぶ? その前に送れるよ」

端末が持ち替えられ、画面が遥へ向けられる。録音の波形の下に、送信先と自分の名前が並んでいた。遥は息を吸いかけて止め、唇を内側へ噛んだ。声を上げる代わりに、閉じた膝へ指を押しつけた。

遥は男の視線から逃れるように肩を丸め、顔を伏せた。

「見せるのが条件だ」

掛け時計の秒針が三つ進んだ。遥はパジャマの上着の裾をつまんだが、指が震えて布を落とす。もう一度つまみ、腹の上まで持ち上げたところで止まった。冷えた空気が肌へ触れ、腕に細かな粟立ちが浮かんだ。ひろしの視線が動くたび、遥の背中は少しずつ丸くなった。

「全部。途中で止めたら、録音を流す」

ひろしの指が再生ボタンへ触れ、冒頭の短い吐息がスピーカーから漏れた。遥は両手で耳を塞いだ。けれど自分の声は指の隙間から入り、今いる部屋の空気と重なった。先ほどまで一人きりだった記憶が、目の前の男に奪われていく。

遥は耳を塞いだまま一度だけ頷いた。再生が止まっても、両手はしばらく下ろせなかった。

音声が止まった。静寂の中で、遥の浅い呼吸だけが続く。ひろしは椅子へ深く腰掛け、端末を片手に構えたまま顎を上げた。録画中を示す印はまだ出ていないが、レンズは正面から遥へ向いている。

遥は上着を胸元までたくし上げ、もう片方の手をズボンの腰へ添えた。布を下ろせば、先ほどの行為の痕跡まで見られる。腰紐に触れた指は動かず、爪だけが掌へ食い込んだ。

「早く。俺は待ってあげてるんだよ」

「撮らないで」

「言うことを聞くかどうかで決める」

遥は震える手で腰紐をほどいた。結び目が緩み、布が腰骨から数センチ下がる。濡れた下着が肌へ貼りついているのを感じると、遥は反射的に脚をさらに閉じた。ひろしは画面から目を離さず、次の命令を短く告げた。

「横になって。脚を開いて、さっきと同じように触るんだ」

遥はベッドの中央へ身体をずらした。枕元には、まだ自分の体温が残っている。背中をつけても膝だけは閉じたままだった。ひろしが共有画面を見せると、遥は目を固く閉じ、ゆっくり膝を離した。下着の内側に残る濡れが冷え、露出した肌を伝った。

遥の右手は下着の縁で止まり、指を差し入れることを拒むように固く曲がった。

「まだ何もしてない。手を入れて」

遥の右手が腹の上を下り、下着の縁で止まる。指先の先には、先ほど自分だけで触れていた秘部がある。同じ動作のはずなのに、正面の視線と録音を握られた状況が、身体を硬く閉ざしていた。ひろしは端末を膝の上へ置き、送信画面を開いたまま、遥の指が動くのを待った。

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