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【絶頂脱出】十回イくまで出られない部屋で、初めて潮を吹く遥:vol.6(数えきれない回数)
「……何回でも、イかせてください」
言ってしまってから、遥は両手で顔を覆った。課題は、あと一回だった。それなのに、自分は何回でもと言った。黒瀬は少しの間、黙っていた。それから、遥の手首をそっと掴んで、顔から離させた。何回でも、と黒瀬は繰り返した。数えるのは、あの数字だけだ。
黒瀬は壁の上の数字を指さした。九。この部屋では、計測器は回数しか数えない。声も、濡れ具合も、もう記録しない。だから、遠慮しなくていい。黒瀬はそう言って、遥の膝の裏に手を差し入れ、脚を大きく開かせた。
遥の脚の間に、黒瀬が顔を寄せた。遥は思わず腰を引いた。そこに顔を近づけられるのは、初めてだった。元彼たちは、誰もそんなことをしなかった。黒瀬の息が、濡れた入口にかかった。温かい息に、入口がひくりと震えた。
舌が、触れた。入口の下から上へ、ゆっくりと一度だけ。遥の背中が跳ねた。指とも、道具とも違う、柔らかくて、温かくて、濡れたもの。それが、突起の手前で止まり、また入口の下へ戻る。遥はシーツを両手で握りしめた。
「あ……っ、そんなとこ、舐め……」
黒瀬は答えずに、舌先で突起をそっと持ち上げた。包んでいた皮膚がめくれ、敏感な粒が、舌の上に転がった。黒瀬はそれを、唇で軽く挟んだ。吸うでもなく、噛むでもなく、ただ唇のあいだに閉じ込めて、舌先でゆっくりと撫でる。
あっという間だった。二つ目の部屋で電マに叩きつけられたときとは違う、とろけるような波が、遥の腰の奥から広がった。遥は黒瀬の髪に指を絡め、腰を浮かせてイった。壁の数字が、十、に変わった。扉の上に、出口を告げる緑が点いた。
脱出、と黒瀬が言った。けれど、顔を上げなかった。舌が、イったばかりの突起を、また撫で始めた。遥は首を振った。終わったんじゃないんですか。黒瀬は唇を離さずに、何回でも、と言ったのはあなただ、と答えた。その声が、突起に直接響いた。
二回目は、一回目の余韻が引かないうちに来た。黒瀬の舌が突起を転がし、同時に、指が二本、中に沈んだ。奥の、張り型が押し上げていた場所を、指先がぐっと押し上げる。遥は声を上げて、また腰を跳ねさせた。壁の数字が、十一、に変わった。
黒瀬は、指を中で曲げたまま、舌の動きを速めた。指が奥を掻き、舌が突起を弾く。内と外から、休みなく。遥はもう、どこで感じているのか分からなかった。身体じゅうが、一つの熱の塊になっていた。十二。十三。数字が、遥の知らないうちに増えていった。
「待って、黒瀬さん……っ、数字、増えて……」
増えていい、と黒瀬は言った。ここは、増やすための部屋だ。黒瀬は指を三本に増やした。入口がさらに大きく押し広げられ、三本の指が、奥の壁を同時に押し上げた。遥の下腹に、あの張りが広がってきた。二つ目の部屋で、初めて感じた、あの感覚。
出る、と遥が言いかけたとき、黒瀬が指の動きを一気に速めた。下腹の張りが、限界を越えた。脚の間から、潮が噴き出した。黒瀬の顔に、胸に、シーツに。遥は叫ぶような声を上げて、十四回目を迎えた。黒瀬は顔を拭いもせずに、指を動かし続けた。
噴き出したあとの中を、指はまだ掻き続けた。遥の身体は、もう自分のものではないようだった。波が引かない。引く前に、次の波が来る。十五。十六。遥は数字を見ることさえ、もうできなかった。目の前が白く霞んで、天井の照明が滲んで見えた。
黒瀬が、ようやく指を抜いた。遥はベッドの上で、全身を震わせていた。脚を閉じることも、息を整えることもできなかった。脚の間から、溢れたものがとろとろとシーツに流れていた。黒瀬は遥の隣に横たわり、汗で額に貼りついた髪を、指でそっと払った。
「……いま、何回、ですか」
かすれた声で聞くと、黒瀬は壁を見上げた。十七、と黒瀬は言った。課題の十回を、七回超えた。この施設で、最後の部屋でここまで数えた人はいない。遥は目を閉じた。十七回。自分の身体が、知らない部屋で、十七回もイった。
黒瀬は、遥の手を取って、自分の胸に当てた。心臓が、速く打っていた。遥がイくたびに、黒瀬もずっと、こうなっていたのだ。遥は黒瀬の胸に手を当てたまま、その鼓動を感じていた。それから、自分の手を、ゆっくりと下へ滑らせていった。
黒瀬のものに、指先が触れた。熱かった。硬く張り詰めて、遥の指の下でびくりと跳ねた。三つ目の部屋の張り型と、同じ形だった。けれど、こちらは脈打っていた。遥はそれを、そっと握った。黒瀬の喉から、低い息が漏れた。
「黒瀬さんは……まだ、一回も、ですよね」
黒瀬は答えずに、遥の手の上から、自分の手を重ねた。遥はその手の下で、黒瀬のものをゆっくりと上下に撫でた。張り型を握ったときとは、まるで違った。撫でるたびに、手のひらの中で熱が増していく。先端から、透明なものが一滴、滲み出していた。
遥は、もう一度壁の数字を見た。十七。この人のもので、あと何回、この数字を増やせるのだろう。そう考えた自分に、遥は驚いた。十七回もイったのに、身体はまだ、何かを欲しがっていた。いや、ずっと欲しがっていたものは、まだ一度も入ってきていなかった。
遥は黒瀬のものを握ったまま、黒瀬の顔を見上げた。黒瀬も、遥を見下ろしていた。その目の奥に、さっきまでの穏やかさとは違う、熱いものが燃えていた。遥は、握った手に少しだけ力を込めた。言葉にしなくても、伝わった気がした。
「……もう、数えないでください」
数えるのは機械だ、と黒瀬は言った。自分は、数えない。黒瀬は遥の手をそっと外し、身体を起こした。遥の脚のあいだに膝をつき、遥の膝を両手で押し広げる。濡れきった入口が、照明の下でひくひくと動いていた。黒瀬はそれを、しばらく黙って見下ろしていた。
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