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【兄妹凌辱】終わらない悪夢の記録:vol.1(侵入者の影に怯える夜)
▶ 選んで結末が変わる物語(全60話・18結末)
夜の帳が静かに街を包み込んでいた。外泊中の両親に見送られ、広々とした家の中はどこか落ち着かない静けさに満ちていた。
遥の住む家は、学生街の片隅にひっそりと建っている二階建ての一軒家だ。玄関から続く廊下の奥、生活の中心となるリビングルームには、遥の兄――ひろしの姿があった。
社会人になったばかりの彼は、少し疲れた様子でソファに深く腰掛け、スマートフォンをいじっている。時計の針は夜の九時を指していた。
一方、遥は自室で大学の課題に追われていた。淡い灯りが机の上を照らし、ノートの隅には震えるような文字が並ぶ。
兄と二人きりの夜。思春期の頃から、兄に対する気持ちはどこか特別で、だがそれは恋愛感情とは違う、絶対的な安心感――家族としての信頼であった。男の人が苦手な遥にとって、唯一心から気を許せる男性。それがひろしだった。
静寂の中、不意に玄関の扉が激しく開く音が響いた。重い足音が廊下を踏み鳴らし、リビングのドアが乱暴に開かれる。
「動くな」
低く、凍りつくような男の声だった。手には鋭いナイフが握られ、リビングの照明を反射してぎらりと不気味な光を放っている。
ひろしはとっさに立ち上がろうとしたが、その場に釘付けにされた。強烈な恐怖がリビングを支配し、空気が凍りついたように重く沈む。男は目深に帽子をかぶり、顔半分を黒いマスクで覆っていた。何の前触れもなく家の中に現れたその男――明らかに強盗の風貌だった。
「金だ。どこにある」
男の目がひろしを射抜く。ひろしは咄嗟に財布を差し出し、震える声で答えた。
「や、やめてください。金なら全部渡しますから……妹には手を出さないでください」
だが、男は無言でひろしの腕を掴み、ソファの足元へとねじ伏せた。ナイフの先端が頬に触れる。冷たい刃の感触に、ひろしは反射的に身体を硬直させた。
男はポケットから黒いビニール紐を取り出し、ひろしの手首を後ろで力任せに縛り上げる。床にうつ伏せにされ、身体をさらに厳重に縛られ、足首までもが完全に固定される。
自由を奪われたまま、ひろしは必死で遥のことを思った。
ひろしは、せめて遥だけは守ろうと、縛られた両腕に力を込めた。
喉の奥が焼けつくように乾き、心臓の鼓動が耳の奥でやけに大きく響いた。男はひろしの口元にガムテープを乱暴に貼り付け、呻き声すら許さない状態にする。そして、無遠慮な足音を響かせながら、リビングを後にした。
廊下の奥、静まり返った遥の部屋の前で男は足を止める。静けさを破る激しいノックの音が、遥の胸に強烈な警鐘を鳴らした。
遥は慌てて立ち上がり、ドアノブに手をかけた。
だが、その瞬間。ドアが外側から乱暴に押し開けられ、黒ずくめの男が姿を現した。
手には鈍く光るナイフ。
目を見開き、遥は自身の身体が激しく震えるのを感じた。
「声を出すな。おとなしくついてこい」
凍りついたような絶対的な威圧感に、遥は抵抗する余地を完全に失った。呼吸は浅くなり、冷や汗が背中をどっと流れる。男は遥の細い腕を無造作に掴み、廊下を引きずるようにして歩き出した。
遥の心は、得体の知れない恐怖で打ち震えていた。頭の中では、お兄ちゃんの顔だけが浮かぶ。
声にならない悲鳴が、喉の奥で震えた。
リビングに引き戻された遥は、ソファの前でひろしの姿を見つける。
うつ伏せに冷たい床に倒され、動くことも喋ることもできない兄。目が合った。
お兄ちゃんの瞳が、涙ぐみながら必死に何かを訴えている。
遥の脳裏に、微かな決意の火が灯る。だが現実は残酷極まりなかった。
男は遥の両手首を背後に回し、ビニール紐で容赦なく縛り上げる。細い手首に紐が食い込み、鋭い痛みが走る。さらに足首もきつく締め付けられ、完全に自由を奪われた。
ひろしのすぐ隣、床に押し倒された遥。唇を噛みしめ、恐怖に顔を強張らせる。だが、それでもお兄ちゃんの前で泣くまいと、必死に涙を堪えて耐える。
「おまけがついたな」
男の低い声が、遥の耳にぞっとする冷たさで響く。部屋の空気が、明らかに変わった。電気の光はどこか薄暗く、照らされた二人の身体に濃い影を落とす。
遅れて、遥の滑らかな頬を一筋の涙が伝う。
兄の目前で、自分がこれからどうされるのか――想像したくなくても、考えずにはいられなかった。
ナイフの冷たい輝き。手足に食い込む紐の痛み。不自由な身体で、遥は必死に兄の顔だけを見ていた。それだけが、この狂気じみた現実の中で唯一の救いだった。
兄もまた、縛られた身体でもがこうとする。だが、何もできない。助けたい――けれど身体は縛られ、声も出せない。
遥は込み上げる嗚咽を必死に飲み込み、自らの唇をぎゅっと噛みしめた。
部屋には、強盗の荒い呼吸と、遥とひろしの微かな震えだけが残された。時が止まったような、永遠にも思える恐ろしい沈黙。夜の闇は窓の向こうで深く深く濃くなっていく。
「静かにしていれば、痛い目には遭わせない」
そう言い残し、男はリビングを物色し始めた。机の引き出しや棚、隅々まで手早く金目のものを探り当てる。
小銭入れ、封筒に入った現金、テレビのリモコンの下に置かれた財布――ひとつひとつを冷酷な手つきで確かめていく。金になるものを乱暴に鞄へと放り込む音が、静かなリビングに響き渡る。
遥とひろしは、冷たい床に並んで倒されたまま、時間だけが無情に過ぎていくのを感じていた。身体はきつく縛られ、視線だけが互いを探す。
遥の心の声が、沈黙の重い空気に溶けていく。兄もまた、必死で妹の無事を祈っていた。
金品をあらかた袋に詰め終えると、男の動きがふと止まった。十分な額にならなかったのか、苛立ったように舌打ちをする音が聞こえる。
そして、男はふたたび二人の方へとゆっくりと歩み寄ってきた。
見下ろすその瞳に、先ほどまでとは違うドス黒い肉欲の色が浮かんでいることに、遥は気づいてしまった。
空気が一層、粘りつくような不穏さに包まれる。
遥は祈るように固く目を閉じた。だが、現実は容赦なかった。
男の無骨な手が、遥の柔らかな頬へと伸びる。ぞくりとするおぞましい感触に、全身が粟立ち、激しく震えた。
「……っ、ひっ」
声を出してはいけないと分かっていても、喉の奥から小さな悲鳴が漏れる。男の指先は、遥の怯える顔をなぞり、そのまま華奢な首筋へと這っていく。
遥の目からせき止められていた涙があふれ出し、ぽつり、ぽつりと冷たい床にこぼれ落ちた。
男の視線は、遥の制服越しにふくらみを持った胸元や、無防備に投げ出された細い脚へとねっとりと絡みつく。それは明らかに、金目当ての強盗が向ける目ではなかった。若く純潔な肉体を蹂躙しようとする、獣の目だ。
ひろしは喉の奥で激しく唸り声を上げ、身体をよじって抵抗しようとする。しかし、厳重な縛りの前には無力だった。
リビングには、夜の静寂と二人の絶望的な震え、そして男の這いずるような視線だけが満ちていた。
――この時、遥もひろしも、これからの長い夜に待ち受ける終わらない地獄の始まりを、ただ肌で感じ取るしかなかった。玄関の鍵はまだ、乱暴に開けられたままだった。冷たい夜風が、細く開いた隙間からリビングへと吹き込んでいた。
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