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【強制絶頂】イッたら負けのゲームで、何度もイかされる遥:END(自分で終わらせる勝負)
遥は腰を高く持ち上げ、先端だけを入り口に残した。そこから一気に沈める。持ち上げて、沈める。駆け引きも、角度の工夫も、もうしなかった。ただ、全部の重さを、真っ直ぐに神崎のものへ叩きつける。肌と肌がぶつかる乾いた音が、部屋の中に高く響いた。
一突きごとに、遥自身の奥も深く抉られた。目の前がちかちかと瞬き、膝が笑う。それでも遥は止まらなかった。自分がイくかどうかは、もうどうでもよかった。神崎をイかせる。それだけを考えて、遥は腰を振り続けた。
神崎の手が、シーツを強く握りしめていた。約束を守って、遥の身体には触れていない。触れたら負けだと分かっているのか、それとも触れたら止まらなくなるのか。どちらにしても、その指の白さが、神崎の限界を物語っていた。遥は唇の端で小さく笑った。
「主任、顔、見せてください」
神崎は顔を背けかけていた。遥がそう言うと、神崎は観念したように、遥のほうへ顔を向けた。苦しそうに眉を寄せ、唇を噛み、目の縁が赤くなっている。会社で見せる穏やかな顔は、どこにもなかった。遥は、その顔をまっすぐに見下ろしながら、最後の数回を沈めた。
神崎の腰が、跳ね上がった。約束も何もなく、下から遥を突き上げる。同時に、遥の中で、神崎のものが大きく脈打った。熱いものが、奥へ噴き上がるように注がれる。一度、二度、三度。神崎の喉から、押し殺しきれない声が漏れた。
その熱に打たれて、遥もまたイった。けれど、今度の波は、それまでとは違った。追い詰められてイかされたのではない。自分の腰で、自分の意志で、相手と一緒に越えた波だった。遥は神崎の胸に崩れ落ち、震える身体を彼の汗ばんだ胸に預けた。
しばらく、二人とも動けなかった。神崎の鼓動が、遥の頬の下で激しく打っている。中で、神崎のものがまだ小さく脈打ち、そのたびに残った熱が奥へ押し出された。遥は目を閉じて、その脈が少しずつ落ち着いていくのを、内側の肉で感じていた。
やがて神崎が、遥の髪をそっと撫でた。それから、かすれた声で言った。俺の負けだ、と。遥は顔を上げた。神崎は天井を見上げたまま、苦笑していた。最後に下から動いた。反則負けでもあるし、先にイかされた負けでもある。どっちにしても、遥の勝ちだ、と。
「……勝った」
口に出した途端、遥の目からぽろりと涙がこぼれた。自分でも理由が分からなかった。悔しくて泣いたことは何度もある。けれど、勝って泣いたのは初めてだった。神崎は何も言わず、遥の背中に腕を回し、汗で濡れた肌をゆっくりとさすってくれた。
神崎が身体を起こし、繋がったまま遥を抱き寄せた。向かい合って座る格好になる。神崎の唇が、遥の濡れた頬に触れた。涙の跡を、唇でひとつずつ拭われる。それから、ようやく、唇と唇が重なった。今夜、何度も肌を重ねたのに、ちゃんとしたキスはこれが初めてだった。
長いキスのあと、神崎は遥の額に自分の額を当てて、賞品は何がいい、と聞いた。最初の賭けでは、来期の大口案件だった。二回戦では、来期の出張の担当も。勝った遥には、それを全部もらう権利がある。神崎はそう言って、遥の答えを待った。
遥は少しの間、考えた。大口案件。来期の評価。鉄の女として、ずっと欲しかったもの。けれど、今の遥の頭に浮かんでいるのは、それとはまるで違うものだった。遥は神崎の首に腕を回し、彼の耳元に唇を寄せた。
「案件は、自分で取ります。賞品は……もう一晩」
神崎の身体が、遥の腕の中で一瞬だけ固まった。それから、ゆっくりとほどけた。今夜はまだ終わっていない、と神崎は低く言った。遥は首を振った。今夜ではない、と遥は言った。次の出張の夜。今度は最初から、勝負なしで。神崎はしばらく黙っていた。
神崎は遥の顔を両手で包み、まっすぐに目を覗き込んだ。それは賞品になるのか、と彼は聞いた。俺のほうが得をしている気がする、と。遥は涙の残る目で笑い、だから賞品なんです、と答えた。私が欲しいものを、主任に払ってもらうんです、と。
その夜、二人はもう勝負をしなかった。狭いシングルベッドで抱き合ったまま、何度か目を覚まし、そのたびにどちらからともなく唇を重ねた。二度目は、遥が上だった。三度目は、横向きで、ゆっくりと。どれも、勝ち負けのない、穏やかな交わりだった。
朝、カーテンの隙間から差し込む光で目を覚ますと、神崎はまだ眠っていた。寝顔は、驚くほど無防備だった。遥はその頬にそっと唇をつけてから、ベッドを抜け出した。脚の間がずきずきと痛み、膝が笑っている。昨夜の勝負の、名誉の負傷だった。
取引先への挨拶では、遥が先に口を開いた。昨日の値引き要求について、もう一度こちらから条件を出し直す。部長は渋い顔をしていたが、遥は一歩も引かなかった。昨夜、自分の腰で勝ちを取った女に、怖いものはもう何もなかった。
ロビーを出たところで、神崎が遥に並んだ。いい交渉だった、と彼は言った。昨日の遥とは別人のようだった、と。遥は前を向いたまま、昨日の私は負けっぱなしでしたから、と答えた。神崎は小さく吹き出し、それ以上は何も言わなかった。
帰りの新幹線で、神崎は手帳を開き、来月の出張の日付に小さく丸をつけた。遥はそれを横目で見て、何も言わずに自分のスマホのカレンダーを開いた。同じ日付に、同じように印をつける。予定の名前の欄には、何も書かなかった。書かなくても、忘れるはずがなかった。
勝負に勝って手に入れたのは、案件でも評価でもなかった。もう一晩。その一晩を、遥は自分で選び、自分で勝ち取った。窓の外を流れる景色を眺めながら、遥は膝の上の手をそっと握った。来月まで、この手が覚えている感触を、ひとつも忘れないように。
ここまで読んでくれてありがとう
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