【処女喪失】弱みを知られた上司に、二十七歳の初めてを教わる遥:vol.6(ネクタイの目隠し)

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【処女喪失】弱みを知られた上司に、二十七歳の初めてを教わる遥:vol.6(ネクタイの目隠し)

「何も見えないまま、されたいです」

言ってから、遥は自分の目元に指を当てた。見えないまま。それは、見られることよりも怖いはずだった。けれど、見えなければ、恥ずかしい顔を作らなくて済む。目を逸らす必要もない。ただ、身体だけで感じればいい。そう思うと、怖さの奥に、ほっとするような気持ちがあった。

桐生は、自分の首元に手をやった。濃紺のネクタイを、するりと抜き取る。毎日、会議で見ているネクタイだった。桐生はそれを両手で持ち、遥の後ろに回った。今夜、少し試してみる、と言った。本番は、来週の土曜だ。

ネクタイが、遥の目を覆った。絹の滑らかな感触が、瞼の上に重なる。後頭部で、きゅっと結び目が作られた。視界が、紺色の闇に沈んだ。部長室の蛍光灯の明かりが、布の向こうでぼんやりと滲んでいるだけだった。

ネクタイからは、桐生の匂いがした。一日じゅう首元にあった布の、かすかな体温と、整髪料と、紙の匂い。目を塞がれているのに、桐生の存在だけが、かえって濃く感じられた。遥は自分の呼吸が、いつの間にか浅く速くなっているのに気づいた。

「……何も、見えません」

それでいい、と桐生の声がした。声がどこから聞こえたのか、遥には一瞬分からなかった。右か、左か。近いのか、遠いのか。見えないだけで、部屋の広さが急に分からなくなった。遥は机の縁を握り、自分がどこにいるのかを確かめた。

しばらく、何も起こらなかった。桐生の足音も、衣擦れの音もしなかった。遥は息を詰めて待った。どこから触れられるのか。何で触れられるのか。分からないまま、全身の肌が、触れられるのを待って粟立っていった。

突然、首筋に何かが触れた。遥はびくりと肩を跳ねさせた。指だった。指先が、首筋から鎖骨へ、ゆっくりと滑り降りていく。見えていれば、ただ撫でられているだけだと分かる。見えないと、その一本の指が、まるで全身を這い回っているように感じられた。

指が離れた。また、何もない時間。遥は次がどこに来るのかを必死に探った。胸か、腹か、脚か。待っている間に、肌の感覚がどんどん鋭くなっていく。空気の流れさえ、指の気配のように感じられた。

部長室の外の廊下を、誰かが歩いている気がした。もちろん、そんなはずはない。この時間、フロアには二人しかいない。けれど、見えないというだけで、耳は勝手に遠くの音まで拾おうとした。空調の音、窓の外の車の音、そして、自分の心臓の音。

次に触れたのは、膝の内側だった。予想していなかった場所に、遥は小さく声を上げた。今度は指ではなく、もっと柔らかく、湿ったもの。唇だった。膝の内側に口づけられ、そこから太ももの内側へ、ゆっくりと這い上がってくる。

「あ……っ、どこ、触って……」

どこだと思う、と桐生の声がした。声は、脚の間のすぐ近くから聞こえた。遥は太ももを閉じかけた。桐生の手がそれを押さえ、また唇が這い上がってくる。付け根の、ほんの手前で止まる。熱い息だけが、濡れた場所にかかった。

見えないせいで、遥は自分の脚の間がどうなっているのかを、感覚だけで知るしかなかった。熱い。濡れている。息がかかるたびに、ひくひくと縮む。見えないからこそ、そこにある感覚の一つ一つが、いつもよりずっと大きく聞こえた。

唇が、離れた。遥は息を詰めて待った。来ない。数秒。十秒。遥の腰が、勝手に浮いた。来てほしい場所に向かって、自分から差し出すように。そのとき、まったく別の場所に何かが触れた。胸の先端だった。

指でつままれた。遥は背中を反らせた。脚の間に来ると思っていた身体が、不意を突かれて大きく跳ねた。先端を転がされるたびに、さっき脚の間に溜まっていた熱が、胸から背中へと散らばっていく。どこを触られても、全部が繋がっていた。

見えているときには、身体はばらばらの部品のようだった。胸は胸、脚は脚。けれど目を塞がれると、身体は一枚の大きな皮膚になった。どこを撫でられても、その震えが全体に波紋のように広がっていく。遥は自分の身体が、こんなふうにできていたことを初めて知った。

桐生は、そうやって遥を何度も裏切った。来ると思った場所には来ず、思ってもいない場所に触れる。耳たぶを甘噛みされ、脇腹を指でなぞられ、足の甲に口づけられる。どこを触られても、遥の身体はそこから脚の間へと熱を送り込んだ。

濡れが、机の天板の上に広がっているのが分かった。腿の裏が、自分の溢れたもので濡れて、天板に貼りついている。見えないのに、いや、見えないからこそ、その感触がひどく恥ずかしかった。今、自分はどんな格好をしているのだろう。

脚は、どれくらい開いているのか。腰は、どれくらい浮いているのか。顔は、どんな表情をしているのか。何一つ分からない。分からないまま、全部を桐生に見られている。それは、鏡で自分を見るよりも、ずっと無防備なことのように思えた。

「部長、お願い……どこか、ちゃんと……」

ちゃんと、どこだ、と桐生が聞いた。遥は答えられなかった。答える代わりに、脚を自分から大きく開いた。見えない闇の中で、桐生がそれを見ている。そう思うと、開いた脚の間から、またとろりと熱が溢れた。

ようやく、指が脚の間に触れた。入口の縁をなぞり、突起を一度だけ撫でる。それだけで、遥の腰が机の上で跳ね上がった。待たされ続けた身体は、たった一度の接触で、頂上の手前まで駆け上がっていた。

指が二本、ゆっくりと沈んできた。見えないから、それが何本なのか、最初は分からなかった。中を広げられる圧迫で、ようやく二本だと分かった。指が中で動き、親指が突起を撫でる。遥は紺色の闇の中で、声を殺すこともできずにイった。

波が引いたあとも、ネクタイは外されなかった。遥は荒い息のまま、闇の中で桐生の気配を探した。すぐ近くで、桐生が息を吐く音がした。次は、もっと分からなくする、と桐生は言った。来週の土曜。何が触れて、何が入ってくるのか。全部、教えない。

遥は闇の中で、その言葉を噛みしめた。何が来るのか分からない。指なのか、舌なのか、それとも。その想像だけで、イったばかりの身体が、また奥から疼き始めた。見えないまま待たされる一週間を思って、遥はネクタイの下で目を閉じた。

「次に何が来るか、教えないでください」

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