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【騎乗位】自分で腰を沈めるしかない遥:vol.7(今からそっちに)
「……だ、大丈夫だから」と遥は慌てて言った。声が、明らかに上ずっていた。翔太が来たら、すべてが終わる。遥の部屋の扉を叩いても、遥はそこにいない。翔太は心配して、廊下を探すかもしれない。そして、管理人室の扉の前で、足を止めるかもしれない。遥の頭の中に、最悪の光景が次々と浮かんだ。
「でも、なんか変だよ、遥」と翔太は言った。「……本当に、大丈夫。もう寝るから」と遥は答えた。必死だった。声が震えないように、息が乱れないように。けれど、その必死さとは裏腹に、遥の腰は、男の上で動き続けていた。止められなかった。止めたくなかった。
堂島の身体は、ソファに縫いつけられたように動かない。ただ、遥が翔太を必死に止めようとする様子を、濁った目で見上げていた。男の喉が、大きく上下する。必死に言い訳を探す遥の奥で、男のものが太く脈打った。遥は、この男が今、何を楽しんでいるのかを、はっきりと感じ取っていた。
翔太が来るかもしれないという恐怖が、なぜか遥の身体の奥をいっそう敏感にしていた。管理人室の扉を叩く翔太の拳、驚いて振り返る自分、ソファの上で動かない男。その光景が頭に浮かぶたびに、内側が男のものをきつく抱きしめる。遥は自分の身体が、恐怖と快感の区別をなくしてしまったことに気づいて、唇を震わせた。
遥の腰が、少しずつ速くなっていった。翔太を止めようとする言葉とは裏腹に、身体は男の上で、ますます深く、速く動いていく。翔太の声が耳元で響くたびに、下腹の奥の熱が膨らんでいく。恋人を必死に遠ざけながら、別の男の上で腰を振っている。その事実が、遥の身体を、これまでにない高みへと押し上げていった。
翔太は、しばらく黙っていた。それから、分かった、と小さく言った。でも、明日の朝、電話するから、と。遥は「うん」とだけ答えた。それ以上の言葉を出したら、もう声を抑えられそうになかった。下腹の奥で、熱が限界に近づいていた。
けれど、翔太は通話を切らなかった。誕生日の店の話を、また始めた。遥のために、ずっと前から予約していたのだと。遥はスマホを耳に当てたまま、翔太の声を聞いていた。その声が、遥の胸を締めつける。それなのに、腰は止まらなかった。翔太の声を聞きながら、遥は男の上で、腰を上げては落とし続けた。
遥は、翔太の話す店の名前を、ほとんど聞いていなかった。耳に入ってくるのは声の響きだけで、意味は少しも頭に残らない。それでも、相槌だけは打ち続けた。うん、そうなんだ、楽しみ。自分の口から出る言葉が、まるで録音された誰かの声のように、遠く平らに聞こえた。その平らな声の下で、遥の腰だけが、熱を帯びて速くなっていった。
通話を切りたかった。けれど、切れなかった。自分から切れば、翔太はきっと心配して、本当にここに来てしまう。だから、翔太が切るまで、遥は話し続けなければならなかった。男の上で、腰を振りながら。遥は唇を噛んで、翔太の言葉に「うん」「うん」と相槌を打ち続けた。
遥の中を押し広げているものは、通話が始まる前よりも明らかに張りつめていた。奥へ沈めるたびに、先端が遥の中で震えた。その間隔が、翔太の話す声の拍子より速くなっていく。堂島の額には汗が浮かび、肘掛けの外に垂らした指が、ソファの布地を強く握りしめていた。この男も、もう長くはもたないのだと分かった。
遥の下腹の奥でも、熱が限界まで張りつめていた。沈むたびに、奥で張りつめたものが今にも切れそうに震えた。翔太の声と、男の脈と、自分の荒い息と。その三つが絡み合って、遥を一点へ押し流していく。遥はスマホを耳に強く押し当て、声を殺すことだけに、残った理性のすべてを使っていた。
スマホを持つ手が、汗で滑りそうになっていた。遥は両手でスマホを包むように持ち直し、耳に押し当てた。そのせいで、男の胸に手をつくことができなくなり、腰の動きはすべて膝だけに頼ることになる。支えを失った身体が男の上でぐらりと揺れ、そのたびに奥の違う場所が擦れて、遥は息を殺すのに必死だった。
「……っ」遥の喉から、短い息が漏れた。慌ててスマホを口元から離したが、もう遅かったかもしれない。翔太が、どうしたの、と訊いた。「……なんでもない、足、ぶつけた」と遥は答えた。嘘を重ねるたびに、下腹の熱が膨らんでいった。
ストップウォッチの数字は、とうに一分を切っていた。数字の意味は、もう遥の頭に入ってこなかった。時間が終わっても、通話が終わっても、自分の身体の奥で膨らんでいく熱は、どこにも行き場がない。遥はスマホを耳に当てたまま、腰をさらに速く、深く動かした。
堂島が、低い声で言った。「中に、出すぞ」。翔太に聞こえないように、唇の動きだけで。遥の膝が、思わず固まった。中に。翔太の声を聞きながら、この男のものを、奥で受け止める。遥はその意味を、スマホを耳に当てたまま理解した。
唇の動きだけで告げられた言葉を、遥は確かに読み取った。耳元では翔太が、店の窓から夜景が見えるのだと嬉しそうに話している。その声と、男の唇の形とが、遥の頭の中で重なった。
遥は、降りなかった。男の目を見下ろしたまま、小さく頷いた。耳元では、何も知らない翔太の声が楽しげに続いていた。遥のために予約した店の名前を、翔太は嬉しそうに話していた。遥はその声を聞きながら、男の上で、最後の数回のために、腰を持ち上げた。
遥の奥で、男のものがはち切れそうなほど膨れ上がった。遥はスマホを耳に強く押し当て、唇を血が滲むほど噛みしめた。翔太の声が、遠くに聞こえる。遥は腰を落とす直前、翔太の「遥、聞いてる?」という声を聞いた。「……うん、聞いてる」と答えながら、遥は持ち上げた腰を、落とそうとしていた。
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