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【絶頂脱出】十回イくまで出られない部屋で、初めて潮を吹く遥:vol.4(ハードモード)
ハードモードで、お願いします。自分の口から出た言葉に、遥は息を呑んだ。イヤホンの向こうで、黒瀬も一瞬、言葉を失ったようだった。念を押すように、黒瀬はもう一度たずねた。ゲームマスターが部屋に入ります。それでいいですか。
「……はい。いいです」
遥は張り型からゆっくりと腰を上げた。抜けきった瞬間、溜まっていたものが溢れて、座面を濡らした。扉の上のランプが緑に灯り、次の部屋への扉が開いた。その向こうは、さっきまでの部屋とは違う、少し暖かい色の照明の部屋だった。
部屋の真ん中に、低くて広いベッドが一つ。その脇に、道具を並べた小さな台車。壁には、これまでと同じ表示が並び、その下に、大きな声の計測器があった。マイクのような形で、ベッドのすぐ横に立てられている。遥がベッドの縁に腰を下ろしたとき、背後の扉が開いた。
入ってきたのは、黒いシャツを着た、三十くらいの男だった。背が高く、髪を短く整えている。黒瀬です、と男は言った。イヤホンで聞いていたのと、同じ声だった。遥は思わず、濡れたスカートの裾を握りしめた。この人が、ずっと自分の数字を見ていたのだ。
「……はじめ、まして」
こんな状況で挨拶をしている自分が、おかしかった。黒瀬は小さく笑い、遥の前にしゃがんだ。目線の高さが同じになる。ハードモードの課題は、二回、と黒瀬は言った。ただし、自分が道具を使います。声の計測器は、ベッドのすぐ横に置いてあります。声の上乗せは、倍。
黒瀬は台車から、見覚えのある機械を取り上げた。二つ目の部屋の電マと同じものだった。それから、遥の膝にそっと手を置いた。脚を開いてください。遥はベッドの上で、ゆっくりと膝を開いた。スカートはもうなかった。濡れた脚の間が、黒瀬の目の前にさらけ出された。
黒瀬は、そこを見ていた。じっと。遥は顔を背けた。これまでの部屋では、誰にも見られていなかった。今は違う。数字ではなく、本物の目で見られている。湿度の表示が、九十三、と光った。見られているだけで、また濡れた。
黒瀬の目は、静かだった。いやらしい目ではなかった。けれど、逸らしてもくれなかった。遥の脚の間の、濡れて開いた場所を、まるで記録の数字を確かめるように、じっと見ていた。その視線の先で、入口がひくりと動いたのが、自分でも分かった。
「……見ないで、ください」
見ないと、当てられません、と黒瀬は言った。電マのスイッチが入った。丸い頭が、突起のすぐ横に、そっと当てられた。自分で当てたときとは、まるで違った。どこに当たるのか、どれくらいの強さなのか、遥には決められない。決めているのは、黒瀬の手だった。
黒瀬は、電マを少しずつ動かした。突起の横から、上へ。上から、反対の横へ。真上には、決して当てない。周りだけを、ゆっくりと。遥の腰が、勝手に電マを追いかけた。真上に当ててほしい。腰の動きが、隠しようもなくそれを告げていた。黒瀬は、それを見て、さらにずらした。
「っ……ん、……っ」
声を我慢しようとするほど、脚の間から溢れたものが増えていった。湿度の表示が、九十六、九十八と上がる。黒瀬はそれをちらりと見て、電マを持っていないほうの手を、遥の入口に伸ばした。指が二本、ゆっくりと沈んでくる。張り型とも、機械とも違う、温かい指だった。
指が入ってきた瞬間、遥は黒瀬の顔を見上げた。黒瀬も、遥を見ていた。三つの部屋のあいだ、ずっと声だけだった人が、今、自分の中に指を入れている。その事実が、張り型よりも、機械よりも、ずっと強く遥の身体を揺さぶった。
指は、迷わずに奥のあの場所を探り当てた。三つ目の部屋で、張り型の先端が押し上げていた場所。黒瀬は、締めつけの記録を見ていたから、そこがどこか知っていたのだ。指の腹が、そこをぐっと押し上げた。同時に、電マが、突起の真上に当てられた。
遥の背中が跳ねた。声が、喉から飛び出した。計測器の表示が、赤い線を越えた。けれど、黒瀬は止めなかった。指で奥を押し上げ、電マで突起を震わせる。内と外から同時に。遥はベッドのシーツを掴み、腰を跳ねさせながら、一回目の波に呑まれた。
壁の数字が、七、に変わった。黒瀬は、それでも手を止めなかった。イったばかりの突起に、電マが当て続けられる。中の指が、奥を押し上げ続ける。遥は首を振り、黒瀬の手首を掴もうとした。掴んだ手に、力が入らなかった。
「だめ、イったばかり……っ、また、来ちゃう……」
来ていい、と黒瀬は言った。声も、出していい。その言葉に、遥の中で何かがほどけた。声を我慢する理由が、なくなった。遥は声を上げた。上げるたびに、身体の奥がさらに熱くなった。脚の間から、また温かいものが噴き出しそうになる。
黒瀬は、指を中で軽く曲げた。お腹の側の壁を、指先で掻くように。二つ目の部屋で感じた、あの張りが、下腹にまた広がってきた。出る。遥がそう思った瞬間、黒瀬は電マを外し、指の動きだけを速めた。張りが、一気に限界を越えた。
脚の間から、潮が噴き出した。黒瀬の手首に、腕に、シャツの袖に。遥は叫ぶような声を上げて、二回目の波に呑まれた。壁の数字が、八、に変わった。ベッドのシーツに、大きな染みが広がっていった。黒瀬は、濡れた袖のまま、遥の顔を見下ろしていた。
扉の上のランプが緑に灯った。課題は、終わりだった。黒瀬は指をゆっくりと抜き、遥の中から溢れたものを、指先で確かめるように撫でた。それから、立ち上がって言った。次の部屋へ、と。遥は、黒瀬のシャツの裾を、そっと掴んだ。
「……まだ、止めないでください」
自分でも、何を言っているのか分からなかった。課題は終わったのだ。次の部屋に行けばいい。それなのに、遥は黒瀬のシャツを離せなかった。黒瀬は少しの間、遥を見下ろしていた。それから、イヤホンを外して、ベッドの脇に置いた。
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