▶ 名前変換:入力フォームを開く
【絶頂脱出】十回イくまで出られない部屋で、初めて潮を吹く遥:vol.3(挿れて座る椅子)
三つ目の部屋の扉を開けた瞬間、遥は足を止めた。部屋の真ん中に、背もたれのない丸い椅子が一脚。その座面の真ん中から、肌色の太いものが、まっすぐ上に突き出ていた。根元から先端まで、ゆるやかに反っている。男のものの形を、そのまま写したような張り型だった。
「……これに、座るんですか」
イヤホンの黒瀬が、そうです、と言った。三つ目の部屋の課題は、二回。それを自分で挿れて、座って、腰を動かして。張り型の根元に、締めつけを測るセンサーがついています。壁を見ると、表示がまた一つ増えていた。回数、声、湿度、そして、締めつけ。
遥は、張り型の前に立ち尽くした。さっきまでの部屋は、当てるだけだった。今度は、入れる。自分の手で、自分の中に。濡れたスカートの裾が、太ももに貼りついていた。湿度の表示が、八十八、と光った。二つ目の部屋で噴き出したものが、まだ乾いていなかった。
元彼とのときも、いつも明かりを消してもらっていた。上になってと言われても、恥ずかしくて、一度も応えられなかった。その自分が、今、知らない部屋で、作りものの男のものに、自分から跨ろうとしている。遥は壁の赤いボタンを横目で見た。それから、目を逸らした。
スカートを腰までたくし上げ、遥は椅子の両脇に足を置いた。張り型の先端が、脚の間のすぐ下にあった。遥は片手で張り型の根元を握り、もう片方の手で、自分の入口を指でそっと開いた。濡れていた。指が、ぬるりと滑った。
先端を、入口に当てた。硬くて、少しだけ冷たかった。遥はゆっくりと腰を下ろし始めた。入口が押し広げられ、太いものが少しずつ中へ入ってくる。二つの部屋でイかされ、潮まで吹いた身体は、思っていたよりもずっと柔らかく、それを迎え入れた。
「ん……っ、ふと、い……」
半分ほど入ったところで、遥は息を継いだ。太ももが震えていた。中が、張り型の形に押し広げられ、内側の壁が、反りに沿ってゆっくりと擦られていく。締めつけの表示が、五十、六十と上がっていった。遥は残りの半分を、ゆっくりと呑み込んだ。
座面に、尻がついた。根元まで入っていた。張り型の反った先端が、お腹の側の奥の壁を、ぐっと押し上げていた。そこに当たっているだけで、腰の奥にじんわりと熱が広がる。遥は浅く息をしながら、椅子の縁を両手で掴んだ。
動いてください、と黒瀬の声が言った。遥は爪先で床を押して、ほんのわずかに尻を持ち上げた。張り型が、中から少し抜ける。反った先端が、奥の壁を擦りながら離れていく。それから、また腰を下ろした。先端が、同じ場所を押し上げた。遥の喉が、ひくりと鳴った。
上がって、下りる。上がって、下りる。繰り返すうちに、膝の使い方を身体が覚えていった。下りるたびに、先端が奥の同じ場所を押し上げる。遥は気づいた。この張り型は、そこに当たるように反っているのだ。誰が座っても、そこに当たるように。
「……っ、これ、ずるい……」
思わず口から出た言葉に、イヤホンの黒瀬が、小さく笑った。そう作ってあります、と黒瀬は言った。遥は顔を熱くしながら、腰を動かし続けた。動かすたびに、中が張り型を締めつける。締めつけの表示が、七十を超え、八十に近づいていった。
声を出してはいけない。遥は唇を噛み、腰の動きを少しだけ遅くした。遅くすれば、声を我慢できるかもしれない。けれど、遅くした分、先端が奥に当たっている時間が長くなった。じっくりと押し上げられて、熱がかえって深く溜まっていった。
一回目の波は、静かに来た。遥は腰を一番深く沈めたところで、身体を硬直させた。中が張り型を強く締めつけ、何度も絞り上げる。遥は唇を噛んだまま、声を殺してイった。壁の数字が、五、に変わった。声は、基準以下だった。
そのとき、イヤホンの向こうで、黒瀬が息を呑む音がした。少しの間、黒瀬は何も言わなかった。それから、いつもより低い声で言った。締めつけの数値が、この施設の記録を超えました。遥は壁を見た。締めつけの表示が、赤く点滅していた。九十八。
「記録、って……」
この張り型のセンサーで、九十を超えた人はいません、と黒瀬は言った。開店してから、三年間。入口から奥へ、順番に締まっている。波のように。黒瀬の声には、さっきまでの落ち着きとは違う、かすかな熱がこもっていた。名器ですね、と黒瀬は言った。
名器。その言葉が、遥の耳の奥で何度も響いた。そんなことを言われたのは、生まれて初めてだった。元彼たちは、誰もそんなことを言わなかった。遥は自分の中に張り型を入れたまま、その言葉の意味を考えた。考えれば考えるほど、中が勝手に締まった。
締まるたびに、壁の表示が点滅した。九十九。九十八。九十九。数字が、遥の身体の中の動きを、そのまま映し出していた。遥は顔を両手で覆った。見られていない。けれど、黒瀬は、この数字を見ている。自分の中がどう動いているのかを、全部知っている。
二回目は、恥ずかしさに押し上げられるように来た。遥は腰を揺らし、張り型を奥まで沈めたまま、声を上げてイった。声の表示が、赤い線を越えた。中が張り型を何度も締めつけ、壁の締めつけの表示が、九十九で止まって点滅し続けた。
壁の数字が、六、に変わった。扉の上で、小さな緑の光がともった。けれど、黒瀬の声は、すぐには次の部屋を案内しなかった。少しの間をおいてから、黒瀬はこう言った。ここから先、コースが二つあります。選んでください。
一つは、通常コース。残りの二部屋を、これまでと同じように一人で進む。もう一つは、ハードモード。賞金が倍になる代わりに、ゲームマスターが部屋に入って、直接、課題を手伝う。黒瀬はそう説明してから、付け加えた。どちらを選んでも、リタイアボタンはいつでも押せます。
「……黒瀬さんが、部屋に入るんですか」
ハードモードなら、と黒瀬は答えた。遥は張り型を中に入れたまま、壁の表示を見つめた。名器。記録を超えた数字。その数字を見て、黒瀬は今、どんな顔をしているのだろう。遥は、それを知りたいと思った。思ってしまった自分に、また頬が熱くなった。
ここまで読んでくれてありがとう
選択を変えれば、結末は変わります。
別のルートを試すか、他の物語へ。



コメント