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【絶頂脱出】十回イくまで出られない部屋で、初めて潮を吹く遥:vol.7(壁に手をついて)
遥の指先に触れたものは、ひどく熱かった。黒瀬の膝の上で、遥はそれをそっと握った。あの椅子に立っていたものと、寸分違わない形だった。同じ反り。同じ太さ。けれど、手のひらの中で、どくどくと脈打っていた。遥は息を呑み、黒瀬の顔を見上げた。
あの張り型は、自分の型から作った、と黒瀬は言った。遥は手のひらの中のものを見下ろして、頬を熱くした。三つ目の部屋で、自分が跨って、腰を振って、記録を超えた。あの形は、この人のものだった。遥の身体は、もう、この人の形を覚えていた。
「……じゃあ、私、もう……」
もう、知っている形だ、と黒瀬は言った。けれど、張り型には体温がない。脈もない。動きもしない。今度は、本物で、格好を試す。黒瀬はそう言って、遥を膝の上から下ろし、ベッドの横に立たせた。それから、自分も立ち上がった。
立ったまま。遥は、それがどういうことか分からなかった。黒瀬は遥の手を取り、部屋の壁際まで連れていった。灰色の、柔らかい布張りの壁だった。黒瀬は遥の両手を取って、その壁につかせた。腰を少し後ろに引かせ、脚を肩幅に開かせる。
壁に手をついて、腰を突き出す格好。後ろから見られる格好だった。遥は壁に額を押しつけた。さっき、うつ伏せで後ろから指を入れられたときよりも、ずっと無防備だった。立っているから、膝で身体を支えることもできない。脚が、細かく震えていた。
背後で、黒瀬が立ち上がる気配がした。衣擦れの音。遥は振り返らなかった。振り返ったら、きっと顔を見られてしまう。この格好で、どんな顔をしているのか、自分でも分からなかった。
後ろで、黒瀬が腰を落とす気配がした。熱いものが、遥の太ももの内側に触れた。それが、ゆっくりと上へ滑っていく。濡れた入口に、先端が触れた。遥は壁についた手に力を込めた。入れられる。立ったまま、後ろから。初めての格好で。
「立ったまま、なんて……初めて……っ」
初めての格好を試したいと言ったのは、あなただ、と黒瀬が耳元で言った。丸い先が、狭まった入口をじわじわと割りはじめた。立っていると、入口がいつもより狭く感じた。黒瀬はゆっくりと、少しずつ沈めてきた。反った幹が、背中側の壁をなぞりながら、奥へ入ってくる。
半分ほど入ったところで、遥の膝ががくりと折れかけた。黒瀬の腕が、遥の腰を後ろから抱きとめた。そのまま、黒瀬は残りを一気に沈めた。根元まで。立ったまま、後ろから、奥まで貫かれた。遥は壁に額を押しつけたまま、長い声を上げた。
壁の数字が、十四、に変わった。入れられただけで、イっていた。黒瀬は動かずに、遥の腰を抱いたまま、遥の中が自分を何度も締めつけるのを感じていた。黒瀬の息が、遥のうなじにかかった。荒くて、熱い息だった。
遥は壁に頬をつけたまま、自分の脚が床を踏みしめていることを確かめた。立っている。立ったまま、男のものを根元まで受け入れている。こんなことが、自分の身体にできるなんて。脚の震えは止まらなかったけれど、遥は崩れなかった。
張り型のときよりずっと強い、と黒瀬が呟いた。数字で見ていたのは、これだったのか。黒瀬はそう言いながら、ゆっくりと腰を引いた。張り型と同じ反りが、背中側の壁を擦りながら抜けていく。抜けかけたところで止まり、また奥まで沈んでくる。
「あっ……奥、届いて……っ」
立ったまま後ろからだと、奥のさらに下に当たる、と黒瀬は言った。うつ伏せのときよりも深い。黒瀬はそれを確かめるように、何度も同じ深さまで沈めた。遥は壁に手をついたまま、つま先立ちになっていた。突かれるたびに、身体が壁に押しつけられる。
黒瀬の手が、前に回った。片手で遥の胸を包み、もう片方の手を、脚の間に伸ばす。指先が、突起に触れた。後ろから突かれながら、前を撫でられる。遥の膝が、また崩れかけた。黒瀬の胸が、遥の背中に貼りついて、それを支えた。
壁と黒瀬に、挟まれていた。前には柔らかい壁。後ろには熱い身体。逃げる場所はどこにもなかった。逃げたいとは、少しも思わなかった。遥は壁に頬を押しつけ、黒瀬の突く動きに合わせて、自分から腰を後ろへ押しつけていた。
壁の布が、遥の吐息で少しずつ湿っていった。頬を押しつけたところに、小さな染みができている。遥はそれを見て、自分がどれほど声を上げているのかを知った。止めようとは思わなかった。この部屋には、もう計測器はない。
十五。十六。黒瀬が突くたびに、波が来た。立っていられなくなった遥の脚の間から、温かいものが噴き出して、床の絨毯に散った。黒瀬はそれでも止まらなかった。遥の腰を抱き上げるようにして、さらに奥へ、さらに深く。
「もう、立って、られない……っ」
黒瀬が、動きを止めた。遥の中に根元まで沈めたまま、後ろから遥の耳元に唇を寄せる。立てないなら、次の格好だ、と黒瀬は言った。最後の格好は、あなたが選べ。今日試した中で、一番よかった格好でもいい。まだ試していない格好でもいい。
遥は、壁に額を押しつけたまま、考えた。仰向け、後ろから、横向き、向かい合わせ、立ったまま。どれも違って、どれもよかった。けれど、まだ試していないものが、一つだけあった。三つ目の部屋で、張り型を相手にしかしなかった格好。
「……上に、なりたいです」
黒瀬が、遥の中で、ぴくりと跳ねた。遥はそれを感じて、自分の言葉が黒瀬に届いたのだと分かった。張り型の上では、一人だった。今度は、本物の上で。黒瀬は遥の腰を抱いたまま、ゆっくりと自分のものを引き抜いた。抜けた瞬間、遥の中から、溜まっていたものが溢れた。
黒瀬はベッドに戻り、仰向けに横たわった。遥は震える脚で、そのあとを追った。ベッドに膝をつき、黒瀬の腰の上を見下ろす。張り型と同じ形のものが、遥を待つように、上を向いていた。遥はゆっくりと、黒瀬の腰をまたいだ。
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