【絶頂脱出】十回イくまで出られない部屋で、初めて潮を吹く遥:END(いくつもの格好で)

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【絶頂脱出】十回イくまで出られない部屋で、初めて潮を吹く遥:END(いくつもの格好で)

黒瀬の腰をまたいだまま、遥は膝立ちで止まった。脚の間のすぐ下に、黒瀬のものがあった。三つ目の部屋の椅子と、同じ位置。同じ形。けれど、その下にあるのは、硬い座面ではなく、温かい身体だった。遥を見上げる、目があった。

遥は片手で黒瀬のものを支え、先端を入口に当てた。張り型のときと同じように。けれど、触れた瞬間に、先端がびくりと跳ねた。張り型は、決して跳ねなかった。遥はそれを感じて、思わず小さく笑った。笑った拍子に、腰がわずかに沈み、先端が入口をくぐった。

「……動いた」

遥がそう言うと、黒瀬は少しだけ困ったような顔をした。仕方ないだろう、と黒瀬は言った。その照れたような声が、イヤホン越しに聞いていたどの声よりも、人間らしかった。

「あ……っ、入っちゃった……」

遥はゆっくりと、残りを沈めていった。反った幹が、お腹の側の壁をなぞりながら、奥へ入ってくる。三つ目の部屋で、何度も味わった感覚。けれど、温かさが違った。脈が違った。そして、沈めていくたびに、真下の黒瀬が、息を詰めるのが分かった。

根元まで沈んだ。尻が黒瀬の腰につき、反った先端が、奥のあの場所を押し上げた。遥は背中を反らし、天井を見上げて、長く息を吐いた。壁の数字が、十七、に変わった。張り型のときは、二回イくのに長い時間がかかった。今は、入れただけだった。

遥は、黒瀬の胸に両手をついた。張り型の椅子には、手をつく場所がなかった。今は、黒瀬の胸がある。汗ばんで、速く上下している胸。遥はそこに体重をかけて、腰をゆっくりと浮かせた。黒瀬のものが、中から少しずつ抜けていく。

落とした。行き止まりまで、丸い先がずんと届いた。遥の口から声が漏れ、同時に、真下から黒瀬の低い呻きが聞こえた。二つの声が重なった。遥はもう一度、腰を浮かせて、落とした。また、二つの声が重なった。三つ目の部屋では、聞こえなかった声だった。

「黒瀬さんも……気持ち、いいですか」

黒瀬は答えずに、遥の太ももを両手で掴んだ。その手の力が、答えだった。遥は腰の動きを、少しずつ速めていった。浮かせて、落とす。前に傾けると、お腹の側に強く当たる。後ろに反ると、背中側に当たる。遥は、今日試した格好の全部を、この上で確かめていた。

前に傾けたまま、腰を落とした。仰向けで指に教わった場所に、先端が当たった。後ろに反って、腰を落とした。立ったまま後ろから貫かれた場所に、先端が届いた。どの格好でも感じた場所が、この上では全部、自分の動き一つで選べた。

自分の身体の地図を、自分で辿っている。そんな気がした。今日一日で書き込まれた地図。仰向けの場所、後ろからの場所、立ったままの場所。どこに行くかは、遥の腰が決める。黒瀬は、その地図の上を、遥に運ばれていた。

遥は、自分で選び続けた。前に、後ろに、また前に。腰を回すように動かすと、先端が中をぐるりとなぞった。黒瀬の喉から、押し殺した声が漏れた。遥はそれが聞きたくて、もう一度、腰を回した。黒瀬の腰が、真下から浮いた。

「ここ……っ、これ、一番、いい……」

十八。十九。腰を揺らしていた自分の動きで、遥はそのまま昇りつめた。黒瀬の胸に手をついたまま、腰を震わせて。中が黒瀬のものを締めつけるたびに、黒瀬の腹が大きく波打った。脚の間から溢れたものが、黒瀬の腰を伝って、シーツに落ちていった。

やがて、黒瀬の腰も遥の動きに応えはじめた。沈む腰と、迎えにくる腰。そのたびに、いちばん奥がずしりと揺れた。遥は黒瀬の胸に爪を立てて、声を上げた。上になっているのに、もう主導権がどちらにあるのか分からなかった。二人で、同じ速さで、動いていた。

黒瀬が身体を起こした。遥を膝の上に乗せたまま、向かい合わせに座る格好になる。さっき指で試した格好。今度は、黒瀬のものが根元まで入っていた。遥は黒瀬の首に腕を回し、黒瀬の顔を見つめた。黒瀬も、遥の顔を見つめていた。

「顔、見られてる……」

見たいと言った、と黒瀬は言った。それに、あなたも見ている。遥は頷いた。見ていた。眉を寄せ、唇を噛んで、自分の中の熱さに耐えている黒瀬の顔を。十回分、イヤホン越しに声だけを聞いていた人の顔を。今、すぐ目の前で。

遥は黒瀬にキスをした。自分から。唇を重ねたまま、腰を揺らした。黒瀬の舌が、遥の舌に絡んできた。上も下も、繋がっていた。黒瀬の腕が、遥の背中を強く抱きしめた。遥の胸が、黒瀬の胸に押しつけられて、潰れた。

黒瀬の動きが、乱れ始めた。唇を離し、荒い息をつく。遥の中で、黒瀬のものがひとまわり張り詰めたような気がした。遥は黒瀬の首にしがみついたまま、自分から腰を押しつけた。入口から奥へ、順番に、締めつけた。名器と呼ばれた動きを、今度は自分の意思で。

「中で……っ、このまま、中で、ください……」

黒瀬が、遥の腰を強く引き寄せた。根元まで沈めたところで、黒瀬の身体が大きく震えた。遥の奥で、熱いものが何度も溢れ出した。向かい合ったまま、遥は黒瀬の果てる顔を、すぐ目の前で見ていた。その顔を見た瞬間、遥もまた、黒瀬の腕の中でイった。

二十。壁の数字が、静かに光っていた。遥は黒瀬の肩に額を押しつけたまま、しばらく動けなかった。黒瀬の手が、遥の汗ばんだ背中を、ゆっくりと撫でていた。どの格好が一番よかったか、と黒瀬が聞いた。遥は顔を上げずに答えた。最後の、これ。

身支度を終えて部屋を出るとき、遥は振り返って、壁の数字を見た。二十。課題の倍だった。受付で賞金を受け取りながら、遥は思った。十回で出られる部屋で、二十回。けれど、数字よりも覚えているのは、六つの格好と、最後に見た黒瀬の顔だった。

帰りの電車で、遥は窓に映る自分の顔を見た。いつもの、人前で明るく笑う顔だった。けれど、その顔の奥に、今日初めて知った格好の一つ一つが、身体の記憶として残っていた。次に誰かと夜を過ごすとき、遥はもう、仰向けになって明かりを消してほしいとは言わないだろう。

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