オフィスレディーが堕ちる夜:vol.39(涙の奉仕と歪んだ純愛)

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オフィスレディーが堕ちる夜:vol.39(涙の奉仕と歪んだ純愛)

車内には冬の波音だけが、閉ざされた窓ガラス越しに遠くから静かに流れ込んできていた。

絶望の底で泣きじゃくる遥の震える肩を、ひろしの温かい腕がそっと包み込んでいる。

「何も心配するな」

その声は、優しさと哀しみが混ざり合ったような、酷く穏やかな響きだった。あんなにも汚らわしい映像を見せつけられた後だというのに、彼は遥を汚物のように扱うことはしなかった。それが、遥の壊れかけた心を余計に激しく揺さぶる。

「……ひぐっ……うぅっ……」

遥はこくりと喉を鳴らし、何かが堰を切ったようにぽろぽろと涙を零し続けた。

ひろしの広い胸にすっぽりと頬を寄せ、やわらかく震える指先で、彼のジャケットの布地をすがるようにぎゅっと掴む。もう、この世界に遥を受け入れてくれるのは、この優しい腕の中だけだった。

ふいに、ひろしの顔がゆっくりと近づき、その唇が遥の額にそっと触れた。

やさしく、全てを包み込むようなキス。

そして──ひろしの唇が、そのままそっと彼女の震える唇に重なった。

温かい。これまで男たちにされてきた、唇を噛み破るような暴力的な蹂躙とは全く違う。怖くない。

けれど……。

(……わたし……こんなことされる資格なんて、ないのに……っ)

遥の視線が、ふと下へと落ちた。

キスを交わしながらも、膝のあたりにあるひろしのスーツの生地が、わずかに、けれど不自然に盛り上がっているのが見えた。

……男としての、明らかな膨らみ。

それを見た瞬間、遥は身体の芯がきゅっと冷たく縮み上がるのを感じた。

羞恥。戸惑い。過去のトラウマによる根源的な恐怖。男という生き物は、結局は女の身体で性欲を満たすことしか考えていない。あの地獄のような密室で、自分をオモチャにした男たちと同じように、ひろしもまた自分に欲情しているのだという残酷な現実。

けれど、その奥底に、どうしても抗えない破滅的な衝動がどす黒く渦巻いていた。

(……私は、もう──普通の人間には、戻れないんだ……)

遥の心が、ぽつりと絶望の声を漏らした。

「もう……私は、戻れないんです……」

誰かに無理やり穢され、尊厳をズタズタに引き裂かれ、公衆便所として扱われることに適応するように壊されてしまった肉体。それでも、今、自分の意思でこの胸に触れ、彼の温もりにすがっている自分がいる。

もう、逃げたくない。そして、誰のせいにもしたくない。

自分が汚れた女に成り下がってしまったのなら、せめてこの優しい人にだけは、その身体を使って奉仕したい。それが、完全に狂ってしまった遥の脳が導き出した、歪みきった愛情表現だった。

遥はそっと、震える手をひろしの股間の膨らみへと伸ばした。

「……っ、遥……!?」

ひろしが驚いて何かを言いかけたが、遥の小さな指先がスーツの生地越しにその硬さを確かめるように撫でると、彼は息を呑み、動けなくなってしまった。

やがて遥の震える指が、ベルトのバックルにかけられる。

カチャリ、と小さな金属音を立てて、バックルが外れる。続いて、ジッパーをすぅ……と下ろす音が、静かな車内に異様に生々しく響き渡った。

車内の空気が一変する。外で鳴り続ける冬の波の音すら、どこか遠くの世界の出来事のように遠ざかっていった。

遥の指が、下着ごと熱を帯びた膨らみをそっと取り出し、その形を撫でる。

ひどく震えながら、しかし確かにそこに触れている。

「課長……」

声はか細く、涙声に震えていたが、そこには悲痛な決意がこもっていた。

下着の隙間から現れた、赤黒く充血した肉棒。それを見た瞬間、遥は一瞬だけ息を止めた。あの夜、自分を何度も貫き、無理やり子宮口を抉り続けた凶器と同じものだ。

しかし、遥の指先は逃げることなく、ゆっくりとその熱い輪郭をなぞっていく。

それは、今まで暴力としてしか知らなかったものとは違う感触だった。自分を無理やり組み敷いた男たちのそれとは違う。冷酷さも、暴力的な気配もない。ただ、不器用に温かくて、ひろしの鼓動に合わせて脈打っている。

遥の青ざめていた頬が、ふっと熱を帯びて朱に染まる。

ゆっくりと、遥の顔がひろしの股間へと近づいていく。自分を犯した男たちには無理やり口をこじ開けられて押し込まれたが、今は自らの意思で、その熱い形に唇を寄せていくのだ。

「あたし……怖いのに……課長のこと、口で、したくなってるんです……っ」

自嘲するように呟きながら、小刻みに震える遥の舌が、赤く張り詰めた亀頭の先端をそっと舐め上げた。

「……うっ……くっ……!」

ひろしは低く呻くような声を漏らし、シートの背に深く沈み込んだ。

遥は涙で濡れた目を伏せたまま、亀頭を小さな口に含み、ゆっくりと上下に動かし始める。

過去の屈辱。大勢の男たちに見られながら強制された破廉恥な行為。そして、世界中に晒された映像。あの夜に刻み込まれた恐怖と絶望は、一生消えることはないだろう。口内に広がる独特の男性器の匂いと味は、あの地獄のような光景をフラッシュバックさせ、遥の胃を激しく締め上げる。

(……ごめんなさい……わたし、もう、こんなことしか……)

でも今、この時間だけは──自分の意思で、自分のために行っているのだ。自分がどれほど汚い慰み者に成り下がろうとも、目の前にいるひろしに奉仕することで、彼から少しでも愛情をもらえるのではないかという、ひどく歪んだ依存心。

愛撫はゆっくりと、そして、徐々に深く、ねっとりとした粘着質になっていく。

あんなにも自分を乱暴に犯した男たちに強制され、叩き込まれた卑猥な奉仕の技術。それが今、この優しくて尊敬する上司の快感を煽っているという残酷な事実が、遥の心をズタズタに引き裂いていく。

ぬめる舌の動きが、竿の裏筋から亀頭のカリ首へと執拗に絡みつく。それは、男たちの暴力によって無理やり引き出された技術であり、それがひろしを喜ばせているという事実が、遥の心に愛おしさと底なしの羞恥を塗り重ねていく。

濡れた音を絶え間なく立てながられろぉっ……。

静寂に包まれた車内に、遥の口元から卑猥な水音が微かに漏れ続ける。強引に喉の奥を突かれるわけでも、無理やり飲み込めと命令されるわけでもない。ただ、ひろしの熱い肉棒をしゃぶることで、自分がまだ彼に必要とされているのだと錯覚したかったのだ。これ以外に、もう自分の価値を証明する手段など残されていなかった。

ひろしの手が震えながら、必死に奉仕を続ける遥の髪にそっと添えられた時。

遥は絶望の奥底で、小さくつぶやいた。

「私……もう汚いけど……愛されたい、のかな……っ」

涙がポロポロとこぼれ落ち、ひろしの太ももを濡らしていく。彼の太く硬い熱を口いっぱいに頬張りながら、遥はただ泣き続けていた。

ひろしの指が、遥の頬を優しく包み込み、そして汚れた唇にそっと触れる。

外で鳴り続ける冷たい波の音。

互いの熱い吐息と、卑猥な水音。

重苦しい沈黙が支配していた車内に響くのは、遥の悲痛なすすり泣きと、熱をはらんだ奉仕の音だけだった。もう二度と元には戻れない。その残酷な現実を抱えながら、遥は狂気に満ちた歪な純愛の泥沼へと、なすすべもなく堕ちていくしかなかった。

二人の関係は、もはや正常な上司と部下のそれではない。誰にも言えない秘密を共有し、互いの心の闇を舐め合うような、不健全で破滅的な依存関係へと変貌を遂げていた。遥はひろしの温もりにすがりつきながら、この先の自分の人生がどれほど悲惨なものになるのかを予感し、それでもなお、目の前の快楽とまやかしの愛情から逃れることができずにいた。

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