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【処女喪失・撮影】嫌と言えない遥が、カタログ撮影の代役で初めてを撮られる:END(自分で撮った初めて)
「入れるところ、私が撮ります」
湊は頷いた。遥は枕に背中を預けたまま、カメラを両手で構え直した。小さな画面の中に、入口に当てられた先端が映っている。湊が、ゆっくり入れる、と言った。遥は画面を見つめたまま、息を吐いた。
画面の中で、先端が入口を押し始めた。襞が押し広げられ、丸い形に沿って開いていく。同時に、遥の脚の間に焼けるような熱さが広がった。見ている映像と、感じている痛みが、まったく同じ速さで進んでいった。
遥はカメラを握る指に力を込めた。画面の中の入口が、押し広げられるたびに白く張り詰めていく。痛い、と思った。けれど、画面から目を離したら、この瞬間を見逃してしまう。遥は浅く息をしながら、レンズを下に向け続けた。
「ひろがって、る……見えてる……」
先端の一番太いところが、輪をくぐった。画面の中で、それがとろりと中へ呑み込まれた。遥の腰がびくりと跳ね、画面が大きく揺れた。遥は慌ててカメラを握り直した。揺れが収まると、画面の中で、入口が先端をきつく締めつけているのが映っていた。
湊は少しずつ奥へ進んだ。画面の中で、幹が数ミリずつ遥の中へ消えていく。遥はその一部始終を、自分の手で撮っていた。恥ずかしい、という気持ちよりも、見届けたい、という気持ちのほうが強かった。
昼間の自分なら、こんなものは見られなかった。更衣室で白いレースの染みを見ただけで、消えてしまいたいと思った。今は、もっと恥ずかしいものを、自分の手で撮っている。一日で、自分がどこまで変わったのか、遥にはもう分からなかった。
やがて、湊の動きが止まった。画面の中では、幹がまだ半分ほど外に出ていた。奥の壁に当たっている。湊が画面の外から遥の顔を見た。遥は画面から目を離さずに、小さく、いいです、と答えた。
その一言を口にするまでに、二十三年かかった気がした。頼まれて引き受けたのではない。押しつけられたのでもない。自分の口で、いいと言った。言えたことが、痛みへの怖さよりも、ずっと大きかった。
湊の腰が沈んだ。奥で何かが裂ける痛みに、遥は声を上げた。画面が跳ね、天井の照明が一瞬映った。遥は震える手でレンズを戻した。画面の中で、残りの幹がすべて遥の中に消えていた。根元までぴたりと繋がった場所に、ほんのわずかな赤が滲んでいた。
遥は、それを撮った。手が震えて、画面がぶれた。それでも、赤い滲みは画面の中にちゃんと残っていた。昼間、更衣室の鏡で見た白いレースの染みとは、まるで違う色だった。遥はその色を、長いあいだ見つめていた。
遥は、その画面を長いあいだ見つめていた。二十三年間、誰にも触れさせなかった場所に、今、湊のものが根元まで入っている。それを、自分の手で撮った。誰かに押しつけられた代役ではなく、自分で選んで、自分で残した。
画面の端で、録画の時間が進んでいた。遥はその数字を見て、今この瞬間が、もう二度と来ないのだと思った。初めては、一度しかない。その一度を、自分の手のひらの中の機械が、ちゃんと受け止めている。
痛みが少しずつ引いていくと、湊がゆっくりと動き始めた。画面の中で、濡れた幹が引き出され、また沈んでいく。そのたびに、入口の襞が引き込まれたり、押し戻されたりした。遥は、自分の身体がこんなふうに動くのを、初めて知った。
痛みは、まだ奥に残っていた。けれど、その痛みの輪郭が、少しずつぼやけていく。代わりに、引き出されるたびに中が寂しくなり、沈められるたびに満たされる、その繰り返しが身体に沁み込んでいった。遥は画面を見ながら、自分の呼吸が湊の動きに揃っていくのを感じた。
湊は時々動きを止め、痛くないか、と聞いた。遥はそのたびに、画面から目を離さずに首を振った。痛みはまだあった。けれど、止めてほしい痛みではなかった。自分で選んだ痛みだった。
引き出されるたびに、幹に遥の濡れが絡みついて光っていた。濡れやすい身体が、今夜はずっと遥を助けていた。痛みの奥に、甘い熱が少しずつ育っていく。遥の画面を持つ手が、だんだん揺れるようになった。
湊が、繋がった場所のすぐ上を指で撫で始めた。画面の中に、湊の指が入ってくる。粒を撫でる指と、出入りする幹が、同時に映っていた。遥はもう、カメラを安定させることができなかった。画面は揺れ、ぶれ、それでも遥はレンズを下に向け続けた。
湊が、少しだけ動きを速めた。画面の中の往復が、小刻みになる。遥の喉から、自分でも知らなかった声が漏れた。撮っているのに、撮られているような気がした。カメラの向こうに、もう一人の自分がいて、今の自分をじっと見ている。
「撮ってる、のに、イっちゃう……っ」
遥はカメラを握りしめたまま、背中を反らせてイった。画面の中で、入口が幹を何度も締めつけ、震えていた。湊が呻き、奥に押しつけたまま身を震わせた。画面の中で、繋がった根元が小さく脈打っていた。
遥はゆっくりと録画を止めた。カメラの小さな画面に、最後のフレームが静止していた。湊が、そのカメラごと遥の手に包ませた。これは、最初から最後まで、あなたが撮ったものだ、と彼は言った。
シャワーを借りて戻ると、湊は機材を片づけていた。いつもの、仕事のときの背中だった。遥はその背中に向かって、ありがとうございました、と言いかけて、やめた。代わりに、また撮ってください、と言った。湊は振り返らずに、頷いた。
遥はカメラを胸に抱き、湊の腕の中で目を閉じた。画面を見なくても、さっきの映像がまぶたの裏に浮かんだ。自分の手で残した、自分の初めて。誰かに押しつけられたものではない。遥が選んで、遥が撮った。
翌月のカタログが刷り上がった日、遥は自分の写った白いレースのページを開いた。顔のない身体だった。けれど遥は知っていた。その身体の続きが、自分の引き出しの中の小さなカメラに、全部残っていることを。
ここまで読んでくれてありがとう
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