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【処女喪失】弱みを知られた上司に、二十七歳の初めてを教わる遥:vol.6(出張先の窓)
「出張先の、窓の前で」
言った瞬間、遥の頭の中に、まだ見たこともないホテルの窓が浮かんだ。夜の街を見下ろす、大きなガラス。その前に立つ自分。向かいのビルの明かり。誰かがこちらを見ているかもしれない。想像しただけで、脚の間がまた熱くなった。
それから二週間、桐生は毎晩のように遥を部長室に呼んだ。机の上で、指で慣らしていく。一本から二本へ、二本から三本へ。出張の前の晩には、三本の指が根元まで沈んでも、遥はほとんど痛みを感じなくなっていた。
出張の準備をしながら、遥は何度も手が止まった。打ち合わせ資料をまとめ、取引先への手土産を手配し、新幹線の座席を確認する。いつもどおりの仕事のはずなのに、ホテルの予約画面を開くたびに、二十階という数字から目が離せなくなった。
大阪での打ち合わせは、木曜の午後に終わった。取引先との会食を終え、ホテルに戻ったのは夜の九時過ぎだった。部屋は別々に取ってあった。会社の経費で、隣り合った二部屋。遥はいったん自分の部屋に入り、シャワーを浴びてから、隣のドアをノックした。
廊下は静まり返っていた。同じ会社の誰かが、同じ階に泊まっているかもしれない。そう思うと、ノックの音さえ大きすぎる気がした。ドアが内側から開くまでの数秒が、ひどく長かった。バスローブの襟元を、遥は片手でぎゅっと掴んでいた。
桐生の部屋は、二十階の角部屋だった。ドアを開けた瞬間、遥は息を呑んだ。正面の壁一面が、床から天井までの窓になっていた。カーテンは開け放たれ、大阪の夜景が、宝石箱をひっくり返したように広がっていた。
「……すごい」
桐生は照明を落とし、ベッドサイドのランプだけを点けた。部屋の中が暗くなると、窓の外の光がいっそう鮮やかに浮かび上がった。遠くの高速道路を流れる車のライト。ネオンの看板。そして、すぐ向かいに建つ、同じくらいの高さのオフィスビル。
向かいのビルには、まだいくつか明かりの灯った窓があった。残業をしているのだろう。人影が、ちらりと動くのが見えた。遥は思わず窓から一歩下がった。こちらの部屋は暗い。けれど、ランプの明かりは点いている。向こうから、見えるのだろうか。
見えるかもしれないし、見えないかもしれない、と桐生は言った。それを、君が選んだ。桐生は遥の後ろに立ち、バスローブの紐に手をかけた。解いていいか、と聞かれ、遥は窓の外を見つめたまま、小さく頷いた。
ガラスまでの距離は、一歩半ほどだった。手を伸ばせば届く。その向こうは、二十階分の夜の空気だった。こんな場所で服を脱ぐなんて、二週間前の自分は想像もしていなかった。いや、想像はしていた。部長室の机の上で、桐生に三つ目を聞かされたときから、ずっと。
紐が解かれ、バスローブが肩から滑り落ちた。遥は窓の前で、裸になった。足元に落ちた白い布の上に立ち、夜景を見下ろしている。ガラスに、ランプに照らされた自分の裸の輪郭が、うっすらと映っていた。その向こうに、向かいのビルの明かりがあった。
窓に手をつけ、と桐生が言った。遥は言われたとおりに、両手のひらをガラスに当てた。ひやりと冷たい。二十階の高さが、手のひらから伝わってくるようだった。下を見ると、道路を走る車が、おもちゃのように小さく見えた。
桐生の手が、後ろから遥の胸を包んだ。ガラスに映る自分の胸が、男の手に揉まれている。その向こうで、向かいのビルの窓の人影が、また動いた。遥は息を詰めた。見られている。そう思った瞬間、桐生の指に挟まれた胸の先端が、きゅっと硬く尖った。
「あ……向こうの人、こっち、見てる……」
見ているのか、と桐生が聞いた。遥は分からなかった。人影は、ただパソコンに向かっているだけかもしれない。けれど、見られているかもしれないという想像だけで、遥の身体は熱くなっていった。脚の間から、とろりと熱が溢れ出した。
桐生は遥の背中を押し、胸をガラスに押しつけさせた。冷たいガラスに、胸の膨らみが潰れる。その感触に、遥は小さく声を上げた。外から見たら、ガラスに裸の胸を押しつけた女が見えるのだろうか。そう考えるたびに、膝から力が抜けていった。
桐生の手が、腰から尻へ、尻から脚の間へと降りていった。後ろから、濡れた入口に指が触れる。二週間の練習で慣れた指が、迷わず中へ沈んでいった。一本、二本。遥はガラスに額を押しつけ、目を閉じかけた。
ガラスの冷たさと、中に沈んだ指の熱さ。その落差に、遥の肌が粟立った。指が中で動くたびに、くちゅりと湿った音が鳴る。二十階の、ホテルの静かな部屋の中で、その音だけがやけに大きく響いていた。
目を開けていろ、と桐生が言った。外を見ていろ。遥は目を開けた。夜景が、目の前いっぱいに広がっていた。向かいのビルの明かり。その窓の中の人影。遥は、その人影を見つめたまま、後ろから指で中をかき回された。
指が三本になった。後ろからの角度で、前側の壁を強く擦られる。遥の腰がびくりと跳ね、ガラスについた手が滑りそうになった。熱い息がガラスを曇らせ、夜景が白くぼやけた。ぼやけたガラスの向こうで、明かりだけが滲んで光っていた。
「だめ、ここで、イっちゃう……見られてるのに……っ」
見られているから、だろう、と桐生が耳元で囁いた。遥は首を振ろうとした。けれど、否定できなかった。向かいの窓の人影が、こちらを向いた気がした。その瞬間、遥の中で何かが弾けた。ガラスに胸を押しつけたまま、遥は夜景の前でイった。
膝が崩れかけ、桐生の腕が遥の腰を抱えた。遥は荒い息のまま、ガラスにもたれかかった。向かいのビルの人影は、もういなかった。最初から、こちらを見てなどいなかったのかもしれない。それでも、遥の脚の間は、まだひくひくと疼いていた。
桐生が遥の身体を支えながら、耳元で聞いた。ベッドに移るか、と。遥はしばらく答えなかった。それから、夜景を見つめたまま、首を横に振った。二週間、この窓のことを考えて眠った。ここで、と決めたのは自分だった。
ランプを消そうかと言いかけた桐生の手を、遥はそっと止めた。明かりがなければ、向こうからは何も見えない。けれど、それでは、自分が選んだ窓の意味がなくなる気がした。
「明かりは、消さないでください」
ここまで読んでくれてありがとう
選択を変えれば、結末は変わります。
別のルートを試すか、他の物語へ。



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