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【処女喪失】弱みを知られた上司に、二十七歳の初めてを教わる遥:END(目隠しの初めて)
桐生の手が、遥の両手を探り当てた。指を絡めて、頭の上のシーツに押しつける。手首を掴むのではなく、手のひらを重ねて握る形だった。遥は闇の中で、その手を握り返した。これだけは、見えなくても分かる。桐生の手だった。
息を吐け、と桐生の声が真上から降ってきた。遥は言われたとおりに、ゆっくりと息を吐いた。吐ききるのと同時に、入口に当てられていた先端が、じわりと押し込まれ始めた。遥の喉が、ひゅっと鳴った。
見えないせいで、入ってくるものの形が、全部入口の感覚だけで伝わってきた。丸い先端が、入口の輪を内側から押し広げていく。輪が引き伸ばされ、引き伸ばされ、焼けるような熱を帯びていく。どこまで広がるのか分からない。分からないまま、遥は桐生の手を握りしめた。
「あ……っ、ひろが、って……」
先端の一番太いところが、輪をくぐり抜けた。遥はそれを、音のように感じた。ぷつり、ではなく、とぷん、と。何かが水の中に沈むように、先端が遥の中へ収まった。潤滑と遥自身の濡れが、その瞬間をひどく滑らかにしていた。
桐生は、そこで止まった。真上から、遥の頬に唇が落ちてきた。瞼の上の、ネクタイ越しに。鼻の頭に。唇に。どこに来るのか分からない口づけが、遥の強張った身体を、一つずつほどいていった。遥は闇の中で、小さく頷いた。
玄関で目を塞がれてから、どれくらい経ったのだろう。一時間か、二時間か。そのあいだ遥は、一度も桐生の顔を見ていなかった。それなのに、今、自分の中に半分だけ入っている桐生の、表情までが分かる気がした。きっと、眉を寄せて、じっと堪えている。
桐生のものが、少しずつ奥へ進んできた。見えないから、どれだけ入ったのか分からない。半分なのか、もっと少ないのか。分かるのは、中が押し広げられていく感覚と、その熱さだけだった。指三本で慣らされた場所を、それよりも太いものが埋めていく。
そして、止まった。先端が、奥の何かに当たっていた。遥にも分かった。部長室の机の上で、指先が教えてくれた最後の壁。見えない闇の中で、遥の身体の一番深い扉に、桐生のものが触れていた。遥は息を止め、桐生の手を、骨が軋むほど強く握った。
いいか、と桐生が聞いた。今夜、何度目かの問いだった。遥は答えなかった。答える代わりに、握られた手を、ほんの少しだけ自分のほうへ引いた。それから、闇の中で、膝を桐生の腰に絡めた。自分のほうへ、引き寄せるように。
桐生の腰が、沈んだ。身体の奥で、何かが裂ける感覚があった。鋭い痛みが下腹から背骨を駆け上がり、遥は背中を反らせて声を上げた。紺色の闇に、白い火花が散った気がした。気づいたときには、桐生の腰が、遥の脚の付け根にぴたりと重なっていた。
「……い、た……っ、でも……」
全部入った、と桐生が言った。その声が、少し震えていた。遥は闇の中で、浅い息を繰り返した。中に、桐生のものが根元まで収まっていた。見えない。けれど、見えないからこそ、身体の中にあるその形が、隅々まで分かった。太さも、長さも、脈打つ熱さも。
痛みは、奥で脈打っていた。桐生は動かずに、遥の上に覆いかぶさったまま、遥の額に自分の額を押しつけていた。ネクタイ越しに、桐生の体温が伝わってくる。遥は握った手に力を込めたまま、痛みが波のように引いていくのを待った。
ネクタイの内側が、涙で湿っていた。いつ泣いたのか、自分でも分からなかった。痛かったからなのか、それとも、ようやく越えられたからなのか。濡れた絹が瞼に貼りつき、闇はいっそう深くなった。その深い闇の中で、桐生の鼓動だけが、胸越しに伝わってきた。
時計の針の進み方さえ、分からなかった。見えないと、時間の感覚まで曖昧になる。やがて、痛みの鋭さが和らぎ、代わりに満たされている重さが、下腹の奥にずっしりと広がっていった。遥は、ほんの少しだけ腰を揺らしてみた。
その小さな動きで、中が擦れた。痛みと、痛みではない何かが、同時に背筋を走った。桐生が息を呑む音がした。動いていいか、と聞かれ、遥は頷いた。桐生がゆっくりと腰を引き、またゆっくりと沈めた。
見えないまま揺らされていると、自分の身体がどこにあるのかも分からなくなっていった。上も下もない闇の中で、ただ、中を擦られる感覚と、奥を押される重さだけが、遥のすべてになった。痛みは、いつの間にか、その中に溶けて消えていた。
「部長、どこ……どこに、いるの……」
ここだ、と桐生が言った。耳元で。その声と同時に、桐生の片手が遥の手から離れ、繋がった場所の上に伸びた。指が、突起を探り当てる。見えない場所で、見えない指が、遥のいちばん感じるところを撫で始めた。
中と外から、同時に押し上げられた。遥は残った片手で、桐生の手を握りしめた。どこから来るのか分からない波が、闇の中から押し寄せてくる。逃げる方向も分からない。遥は、ただ身体を開いて、その波を待った。
波が来た。遥は闇の中で、背中を大きく反らせてイった。中で桐生のものを何度も締めつけ、絡めた脚で桐生の腰を引き寄せて。紺色の闇が真っ白に弾け、自分の声が、遠くから聞こえるように響いた。
遥の締めつけに、桐生の動きが乱れた。何度か深く突き上げたあと、桐生が遥の名前を呼んだ。初めて、名前で。遥、と。その声と同時に、中で桐生のものが大きく脈打った。遥はその脈動を、闇の中で、身体の一番奥で受け止めた。
しばらくして、桐生の指が、遥の後頭部の結び目にかかった。外すぞ、と言われた。遥は、少しだけ首を振った。もう少しだけ、このままで。桐生は手を止め、ネクタイの上から、遥の瞼にそっと口づけた。
ネクタイが外されたのは、それから十分ほど経ってからだった。寝室の明かりがまぶしくて、遥は目を細めた。ぼやけた視界の中に、桐生の顔があった。汗で額に髪が貼りつき、目元が少しだけ赤かった。初めて見る顔だった。
遥はその顔を、長いあいだ見つめていた。見えないまま全部を感じて、最後に、この顔を見た。それで十分だった。遥は桐生の頬に手を伸ばし、さっき呼ばれた自分の名前を、心の中でもう一度繰り返した。
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