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【名器】声を出したら次の道具、モニター試験で初めて中でイかされる遥:vol.4(自分の手で測る)
四枚目の同意書には、被験者による自己操作、と書かれていた。遥がペンを置くと、真壁はさっきの道具を消毒して、遥の手に握らせた。まだ温かかった。自分の中から出てきたばかりのものだと思うと、握る指に力が入らなかった。
自分で入れて、自分で動かしてください、と真壁は言った。どこが感じるか、どの速さがいいか、使う人が自分で探すときのデータがほしい。声の決まりは同じ。十分間、声を出さなければボーナス。真壁は検査台から一歩離れ、モニターの前の椅子に腰を下ろした。
「……見てるんですよね、そこから」
数値を見ています、と真壁は答えた。それが答えになっていないことは、遥にも分かった。モニターの位置からは、検査台の上の遥が、脚の間まで全部見える。遥は一度目をつぶり、それから道具の先端を、自分の入口に当てた。
さっきまで入っていたのに、自分の手で入れるとなると、まるで勝手が違った。どれくらいの角度で、どれくらいの力で押せばいいのか分からない。先端が入口の上を滑り、突起をかすめて、遥は小さく息を呑んだ。真壁は何も言わない。タイマーの音だけが、規則正しく鳴っていた。
もう一度、ゆっくり押し当てる。今度は、入口が先端を迎えるように開いた。遥は自分の手で、それを奥へ送り込んだ。凹凸が一つずつ内側を擦っていく。自分で入れているのに、入れられているのと同じくらい、いや、それ以上に恥ずかしかった。自分の手が、自分を求めているように見えた。
入口が道具を呑み込んでいくところを、遥は見ないようにした。見なくても、感触で分かった。自分の指先が、濡れた入口に触れる。そこがどれほど柔らかく開いているのか、指が勝手に知ってしまう。自分の身体なのに、初めて触れる場所のように感じられた。
奥まで入れたところで、遥は手を止めた。中がいっぱいになり、道具の根元を握る手のひらに、自分の入口の熱が伝わってくる。濡れ具合、九十。締めつけ、六十二。真壁が読み上げた。遥はぎゅっと目を閉じた。数字は、遥が何もしていなくても上がっていった。
動かしてください、と真壁が言った。遥は根元を握り直し、ゆっくりと引いた。凹凸が入口に引っかかり、腰が浮く。また押し込む。一往復するだけで、息が乱れた。真壁が動かしていたときよりも、ずっと遅く、ずっと不器用な動きだった。それなのに、熱は確実に集まってきた。
さっき真壁が押し上げていた場所を、遥は探した。お腹の側の、少し奥。道具の角度を変え、先端をそちらへ向ける。当たった。腰の奥で、重たい熱がじんと広がった。遥は唇を噛み、声を喉の奥に押し込めた。ここだ。自分の手で、見つけてしまった。
押し当てたまま、手首をほんの少しひねってみる。先端の向きが変わり、熱の広がり方も変わった。こうすると強く、こうすると柔らかい。遥は自分の身体の地図を、一つずつ書き込んでいくように、角度を確かめていった。
「……っ、ふ……」
息が漏れる。声ではない。遥は自分に言い聞かせながら、同じ場所を、先端で押し上げ続けた。最初はおそるおそる、それから少しずつ強く。自分の手の動きが、だんだん速くなっていくのが分かった。止めようと思っても、手が言うことを聞かなかった。
ふと目を開けると、天井の照明の脇に、モニターの画面が見えた。青と赤の線が、遥の手の動きに合わせて、波のように上下していた。自分の手の速さが、そのまま数字になっている。押し上げるたびに赤い線が跳ね、引くたびに少し下がる。真壁はその画面を、表情を変えずに見ていた。
二人の元彼に、一度も見せたことのない姿だった。自分で、自分の中をかき回して、感じている姿。それを、今日初めて会った男に、数字つきで見られている。恥ずかしさで頭が真っ白になりそうだった。それなのに、手は止まらなかった。
六分を過ぎたころ、奥のほうから、あの大きな波の気配が近づいてきた。さっきよりも早い。一度知ってしまった身体は、道を覚えていた。遥は手を緩めようとした。緩めれば、声を我慢できるかもしれない。けれど、緩めた途端、中が道具をきゅっと締めつけて、先端がまたそこに当たった。
締めつけ、八十八。九十。真壁の声がかすかに聞こえた。遥は空いているほうの手で、口を押さえた。声さえ出さなければいい。イっても、声さえ出さなければ、ボーナスはもらえる。そう考えた瞬間、自分が何を言い訳にしているのかに気づいて、また顔が熱くなった。
手が、勝手に最後の数回を刻んだ。奥を、強く、深く。波が、身体の内側から噴き上がった。遥は口を押さえた手のひらに顔を埋めるようにして、声を殺したまま、二度目の中イキに呑み込まれた。腰が台の上で跳ね、太ももが道具を握る手を挟みつけた。
声は、出さなかった。手のひらの下で、喉が何度も震えただけだった。中が道具を何度も締めつけるたびに、警告の小さな音がモニターから鳴った。上限です、と真壁が呟くのが聞こえた。遥は、その音が鳴り止むまで、身体を丸めて震えていた。
タイマーが鳴ったとき、遥はまだ道具を中に入れたままだった。抜こうとして、手に力が入らないことに気づいた。真壁が立ち上がり、検査台の横に来た。十分、声なし。ボーナス一万円。それから、遥の手に自分の手を重ねて、ゆっくりと道具を引き抜いた。
「……自分で、こんな……」
言いかけて、遥は言葉を呑み込んだ。自分でこんなふうにイけるなんて、知らなかった。そう言おうとしたのだった。真壁は記録用紙に数字を書き込み、自己操作でも上限に届いたのは、操作の仕方を身体が覚えたからだと言った。名器の人は、覚えるのが早い。
その言葉に、遥は唇を噛んだ。褒められているのか、恥ずかしいことを言われているのか、分からなかった。分かっているのは、身体がまだ熱を持っていて、次を待っているということだけだった。真壁が、五枚目の同意書を机の上に置いた。最後の段階です、と彼は言った。
ここまで読んでくれてありがとう
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