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【名器】声を出したら次の道具、モニター試験で初めて中でイかされる遥:vol.6(鏡に映る数値)
鏡で、見ながらにしてください。そう口にしたとき、遥は自分が何を頼んだのか、半分しか分かっていなかった。ただ、これまで数字でしか知らされなかった自分の身体を、一度だけ、この目で確かめたかった。名器と呼ばれたものが、どんな形をしているのかを。
真壁は少し考えてから、部屋の隅の衝立を動かした。その裏に、キャスターのついた大きな姿見が立てかけてあった。製品の写真を撮るときに使うものだ、と真壁は言い、それを検査台の足元へ転がしてきた。角度を合わせると、鏡の中に、台の上の遥がまるごと映った。
「……あ」
思わず声が漏れた。鏡の中の女は、ガウンの前をはだけ、両脚を台の上で大きく開いていた。髪は汗で額に貼りつき、頬は赤く、唇は少し開いている。そして、開いた脚の真ん中が、照明を浴びて濡れて光っていた。遥は反射的に膝を閉じかけた。
閉じたら測れない、と真壁が言った。遥は膝を止め、震えながら元の位置に戻した。鏡の中の女も、同じように膝を開いた。それが自分だと、頭では分かっていた。けれど、あんなふうに脚を開いて、あんなふうに濡れている女が自分だとは、どうしても思えなかった。
真壁は新しい同意書に遥のサインをもらうと、センサーを手に取った。今度は、入れる前に、鏡のほうを指さした。見ていてください、と真壁は言った。どこに、どう入るのか。遥は息を詰めて、鏡を見つめた。細い棒の先端が、鏡の中の入口に近づいていく。
先端が触れた瞬間、鏡の中の入口が、ひくりと縮んだ。遥は自分の目を疑った。触れられただけで、あそこが動いた。まるで、何かを迎えようとしているみたいに。真壁がゆっくりと押し込むと、入口が棒を呑み込んでいく様子が、鏡にはっきりと映った。
「……こんなふうに、なってたんですか」
真壁は頷いた。三時間、ずっとこうだった、と彼は言った。あなたは天井ばかり見ていたから、知らなかっただけだ。モニターに線が現れ、濡れ具合が読み上げられた。九十三。鏡の中で、入口のまわりの光が、さっきよりも増えたように見えた。
真壁は鏡の位置をもう一度調整し、遥の顔と脚の間が、同じ画面に入るようにした。それから、モニターも鏡のすぐ横に動かした。鏡の中の自分と、画面の数字。その二つを、同時に見られるように。今日は、あなた自身に記録をつけてもらう、と真壁は言った。
指が、センサーの脇から入ってきた。鏡の中で、真壁の長い指が二本、遥の中へ沈んでいく。入口がその指に吸いつくように広がり、ゆっくりと呑み込んでいく。指の根元まで沈んだとき、鏡の中の遥の唇が、ぱくりと開いた。自分では、開けたつもりはなかった。
締めつけ、六十八。真壁が読み上げた。それから、中で指を軽く曲げた。鏡の中の遥の腰が、小さく浮いた。画面の赤い線が跳ねた。七十六。見えるか、と真壁が聞いた。今、あなたの腰が浮いた。その瞬間に、数字が上がった。
遥は見ていた。見たくないのに、目が離せなかった。真壁の指が中で動くたびに、鏡の中の女の顔が少しずつ崩れていく。眉が寄り、目が潤み、唇が震える。そのたびに、画面の数字が上がる。自分の顔と、自分の中の数字が、ぴたりと連動していた。
「やだ……こんな顔、してるんですか、私……」
してる、と真壁は短く答えた。指が、奥のあの場所を押し上げた。鏡の中の女が、首を反らせた。白い喉が、照明の下で震える。声が出かけて、遥は唇を噛んだ。鏡の中の女も、唇を噛んでいた。噛んだ唇の端から、小さな息が漏れていた。
真壁の親指が、突起に触れた。鏡の中で、その小さな粒が、親指の腹に転がされるのが見えた。こんなに膨らんでいたのか。遥は驚いて、また目を逸らしかけた。逸らすな、と真壁が言った。測定の記録は、あなたの目でつけてもらう。
親指が、ゆっくりと円を描いた。中の指は奥を押し上げ続けている。鏡の中の脚の間から、透明なものがとろりと溢れ出し、真壁の手首を伝っていくのが見えた。濡れ具合、九十九。自分の溢れさせたものを、自分の目で見る。それは、数字で聞かされるよりも、ずっと恥ずかしかった。
遥は、鏡の中の自分の脚の間から目が離せなくなっていた。真壁の指を咥えこんだ入口が、ひくひくと動いている。指が引かれると、入口がそれを追いかけるように盛り上がり、押し込まれると、奥へ吸い込むように窪む。自分の中が、男の指を離すまいとしているのが、はっきりと見えた。
「……私の、中……指、離さない……」
自分の口から出た言葉に、遥は驚いた。真壁は手を止めずに、それが名器だ、と言った。普通は、入口だけが締まる。あなたは、入口と奥が、別々に動く。鏡で見ると、よく分かる。遥はその言葉を聞きながら、鏡の中の自分の入口を見つめ続けた。
波が近づいてきた。鏡の中の女の太ももが、細かく震え始める。腰が浮きかけ、つま先が丸まる。それが自分の身体だと分かっていても、遥はまるで知らない女がイく瞬間を覗き見ているような気がした。それなのに、熱は確実に、自分の身体の奥に集まっていた。
イくときの顔を見ろ、と真壁が言った。目を閉じるな。重くなる瞼を、遥は意地で持ち上げた。鏡越しに自分と見つめ合った、その瞬間に頂が来た。遥は声を殺そうとして、殺しきれなかった。鏡の中の女が、口を大きく開けて、喉を反らせた。
それが、自分のイく顔だった。眉が寄り、目の焦点が消え、口が開いたまま閉じない。少しも綺麗ではなかった。だらしなくて、無防備で、恥ずかしかった。それなのに、その顔を見た瞬間、遥の中が、もう一度強く真壁の指を締めつけた。画面の赤い線が、上の端に張りついた。
指が抜かれたあとも、遥は鏡から目を離せなかった。鏡の中で、入口がまだひくひくと動いている。何もないところを、何度も締めつけている。真壁は記録用紙を遥の膝の上に置き、自分の目で見たことを書くように言った。遥はペンを握ったまま、何も書けなかった。
「……見ます。もっと、ちゃんと、見ます」
ようやく出てきた言葉は、記録ではなかった。真壁は少しだけ目を細め、遥の顔を見た。それから、鏡の位置を、さっきよりもさらに検査台に近づけた。今度は、もっと近くで見せる、と彼は言った。指ではなく、別のもので。
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