【名器】声を出したら次の道具、モニター試験で初めて中でイかされる遥:vol.1(声を出さない約束)

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【名器】声を出したら次の道具、モニター試験で初めて中でイかされる遥:vol.1(声を出さない約束)

▶ 選んで結末が変わる物語(全25話・6結末)

受付で渡された紙には、謝礼三万円と書かれていた。測定は全部で五段階。一段階ごとに十分間、声を出さずに耐えられたら、さらに一万円が上乗せされる。遥はその数字を、来月の奨学金の引き落とし額と頭の中で並べた。足りない分が、ちょうど埋まる。

案内された部屋は、病院の診察室に似ていた。白い壁に、白い棚。真ん中に脚を載せる台のついた検査台があり、その横にモニターが置かれている。白衣の男が椅子から立ち上がり、開発主任の真壁です、と名乗った。三十代の半ばくらいで、声は低く、表情はほとんど動かなかった。

「よろしくお願いします。……あの、本当に、声を出さなければいいんですか」

真壁は頷き、説明を始めた。中に細いセンサーを入れる。センサーは濡れ具合と、締めつける力を数値にして、このモニターに映す。製品の開発に使う大事なデータだから、正確に測りたい。声が出たら、その段階は終わり。次の段階の道具に進む。声を出さずに十分耐えたら、ボーナスが付く。

「次の段階に進むかどうかは、私が決められるんですよね」

もちろんです、と真壁は言った。段階ごとに同意書がある。サインしなければ、そこで終わり。謝礼はそこまでの分を払う。遥は一枚目の同意書を読み、震えそうになる指で名前を書いた。書いてしまってから、ここに来たことを少しだけ後悔した。

仕切りのカーテンの向こうで服を脱ぎ、前開きの薄いガウンに着替えた。下着も外すように言われていた。ガウンの紐を結んでも、胸の先が布に透けている気がする。カーテンを出ると、真壁は手袋をはめながら、検査台に上がるように言った。

台に腰を下ろし、背もたれに身体を預ける。両脚を左右の台に載せるように言われ、遥はゆっくりと膝を開いた。ガウンの裾が太ももを滑り落ち、脚の間に冷たい空気が触れる。真壁の視線が、そこに向けられているのが分かった。遥は天井の照明を見つめた。

元彼とのときも、明かりはいつも消してもらっていた。二人目の彼には、恥ずかしがりすぎだと笑われたこともある。その遥が今、煌々と明るい部屋で、初めて会った男の前に脚を開いている。三万円のためだと、遥は何度も自分に言い聞かせた。けれど、言い聞かせるたびに、心臓の音が大きくなった。

「……すみません、こういうの、慣れてなくて」

謝ることはない、と真壁は言った。皆さん最初はそうです。それから、ガーゼで入口のまわりを拭った。冷たい消毒液の感触に、遥の腰がわずかに浮く。真壁はそれを見ても何も言わず、ペンほどの細さの白い棒を取り上げた。先端に、小さな金属の輪がはめてある。

入れます、という声と同時に、先端が入口に触れた。遥は息を止めた。細いものが、ゆっくりと中へ沈んでいく。痛くはなかった。ただ、知らない男の手で、知らないものを入れられているという事実が、身体の奥をじわりと熱くした。

モニターに、二本の線が現れた。青い線が濡れ具合、赤い線が締めつけ。真壁が画面を見ながら、数値を読み上げた。濡れ具合、三十八。締めつけ、二十一。遥には、それが多いのか少ないのか分からなかった。分からないのに、自分の中のことを数字で言われるのが、たまらなく恥ずかしかった。

「それって……普通、なんですか」

測定中は話さないほうがいい、と真壁は言った。声として記録されると、判定が厳しくなる。遥は慌てて唇を閉じた。真壁はタイマーを押し、十分です、と告げた。カチリという音が、静かな部屋に響いた。

最初の数分は、何も起きなかった。真壁はときどきセンサーの角度を変え、奥へ少し押し入れ、また戻す。そのたびに、画面の青い線が小さく揺れた。遥は自分の呼吸の音さえ大きく聞こえる気がして、口をそっと開けて息をした。

五分を過ぎたころ、真壁はセンサーを入れたまま、入口のすぐ上を指先で軽く押し広げた。突起には触れない。ただ、そのまわりの皮膚を、ゆっくりと引っぱるだけ。それなのに、青い線がすっと上に伸びた。濡れ具合、五十二。真壁が淡々と読み上げる。

自分の身体が、勝手に反応している。それが画面に映り、声に出して読まれる。遥は唇を噛み、喉の奥に溜まった声を呑み込んだ。脚の間から、とろりと何かが溢れる感触があった。センサーを伝って、台の上の紙に落ちていく。

六十。六十四。数値が上がるたびに、頬が熱くなった。真壁の指は、それ以上のことはしなかった。ただ、測っているだけ。その冷静さが、かえって遥を追い詰めた。声を出したら負け。そう言い聞かせながら、遥は台の縁を両手で握りしめた。

頭の片隅で、遥は自分がどう見えているのかを考えた。ガウンの前ははだけかけ、脚は大きく開かれ、その真ん中に白い棒が刺さっている。棒のまわりは、きっと光っている。真壁はそれを、仕事の顔のまま見ている。想像しただけで、また青い線が跳ねた。真壁が小さく、六十八、と言った。

タイマーが鳴った。真壁がセンサーをゆっくり引き抜くと、細い糸が引いて、すぐに切れた。十分、声なし。ボーナス一万円です、と真壁は言った。遥は大きく息を吐き、脚を閉じようとして、閉じられないことに気づいた。膝が、まだ小さく震えていた。

「……一万円、もらえるんですね」

かすれた声で言うと、真壁は書類に目を落としたまま頷いた。声を出さなかったのは立派だ、と彼は言った。初回で声を出す人は多い。遥はほっとしたのと同時に、自分が何に耐えていたのかを思い返して、また顔が熱くなった。声を出さなかっただけだ。身体のほうは、少しも耐えていなかった。

真壁はモニターの数字を書き写しながら、二枚目の同意書を差し出した。次の段階は、センサーに加えて、外にも道具を当てる。濡れ具合の最終値は七十一だった、と彼は付け加えた。初回としては、かなり高い。遥はその言葉に耳まで赤くなりながら、ペンを受け取った。

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